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悪魔討伐の後に 2

「――さまっ! 付き人様っ! 付き人様っ!」


 龍樹はファベルの大声によって目を覚ました。ファベルがそこまで焦っているのは珍しいな、寝ぼけた頭でそう考えながら目を開けた。


「付き人様、目を覚まされましたか。落ち着いて聞いてください。……聖女様が攫われました。私どもの警備の甘さか、相手が上手だったのか。申し訳ありませんっ!」


 寝ぼけた頭では彼女の言っていることを理解するのに時間がかかる。そして、その言葉を理解するのを脳が拒んでいるような感覚が来るが、それでも彼女の言葉を理解してしまった。その瞬間に、焦燥感に襲われた。最後に彼女を見たのは、眠る寸前だ。彼女は自分に抱き着いて一緒に眠っていたはずである。彼女が先に起きて他の場所に移動していたのか、それとも、自分が馬鹿みたいに寝こけて気が付かなかったのか。どちらにしろ、彼女を速く探し出さなくてはいけない。


「どういうことだ。小鳥は、今どこにいる? 速く教えてくれ」


 彼は落ち着いているような話し方をしていたが、語気は強くファベルも一瞬だけ怯んだ。しかし、彼女は今、起こっていることを説明してくれた。簡潔に言えば、騎士は悪魔との戦いで疲弊して、警備もままならない状態で、侵入者が三名、王宮に入った。警備の騎士がいなければ、侵入者の発見も遅くなり、そのせいで、侵入者に気が付いたベルシャインがこれを撃退しようとしたが、一人で三人を抑え込むことはできずに、龍樹と小鳥の部屋への侵入すらも許してしまった。そして、そのまま小鳥を攫って、王宮の窓から出て行った。現在も捜索しているが、未だに小鳥を発見できていないとのことだった。


「なるほど。あの悪魔のせいか。で、どこの誰が小鳥を攫ったって?」


 彼の眠気が覚めていくと同時に、その語気が強くなっていく。魔気が抑えきれていないため、その放出にもファベルが押されて、彼から離れてしまう。


「この町に残っていて、聖女様を攫う可能性があるのは、暗殺者ギルドのハイド、バイフィル、セルスターズの三組織のようです。そして、ベルシャイン殿下のお考えですが、その三組織が組んでいいると見ているようです」


「他の組織の可能性は?」


「それが、ギブラッドとカルトの抗争からの悪魔の復活により、ほぼ全ての犯罪者組織がこの町を出ています。既に活動が確認されていないのがほとんどで、ピットランドとマスカレード、先ほどの三組だけが確認で来ているのです。マスカレードは金に代わるものにしか興味がありませんし、ピットランドは価値の低いものを高く売りつけて、金銭を稼ぐことにしか興味がありません。ですので、残りの三組が組んでいるという判断だそうです」


 ファベルは彼に対して畏怖の感情を抱いていて、彼の座るベッドの前に膝をついていた。彼の表情はいつもの変わらないが、彼が放っているプレッシャーは周りの者を畏怖させるだろう。彼が部屋から町に出れば、町人がパニックになるだろうが、誰も彼を止めることができる術を持っていない。


「その他の三組はどんな組織なんだ? 暗殺者ギルドってのはわかったが、それ以外は」


 ファベルは彼に怯えながら説明した。暗殺者ギルド、ハイドは文字通り暗殺や戦闘の依頼をこなす人が集まっている表には出ていないギルドであり、誘拐もその仕事の内。セルスターズとバイフィルは繋がっていて、バイフィルが人を攫い、攫った人をセルスターズに売り、セルスターズがその誘拐してきた人を奴隷として売るという組織。


 彼はその話を聞いた瞬間に、さらに焦燥感にかられ、ベッドから立ち上がる。ファベルはもはや、あの悪魔を前にしているかのような心境だ。彼が暴れだせば、自分は生き残れないかもしれないと思えるほどだ。


「俺はもう行く。ベルシャインに探しに来るなと言っておいてくれ」


 彼はそう言って、半開きになっていた窓から外に出て行った。ファベルは彼を止めようと手を彼に伸ばしたのだが、彼をずっと見てきて、小鳥を最優先に行動していたのを見ていた。そのため、彼にとって、小鳥がどれだけ大切かは知っていた。それに、彼に逆らって何かされれば、自分はどうしようもない。そのせいで彼を止めるための言葉は一つも出てこなかったのだ。彼女の視界の中、彼はすぐに消えて行ってしまった。


 ファベルは立ち上がり、とりあえず、ベルシャインに今のできことを伝えなくてはいけないと思い、部屋を出た。その足取りは急ぎ足だった。彼女はできる限り急いで、ベルシャインに今の事実を報告して、彼がどう動くのか判断してほしかったのだ。おそらく、単純な戦闘力で比べれば、龍樹の方が強いのだろう。ハイドの人間はあの悪魔には勝てないだろう。しかし、相手が人間であれば、話は変わるだろう。彼が死なないうちに、ベルシャインにその対策を取ってほしいと、彼女は急いでいた。

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