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生命は廻り世界は続く  作者: 桜坂 春
終章 ~光への道~
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第三話

 人はいつも、亡くす心を忘れてしまう。亡くした灯を、亡くした泡を、忘れてしまう。

 それは罪というより、罰なのではないだろうか。明滅を繰り返す灯火と、消滅を繰り返す水泡とを、別のものとしかみなせない我々への啓示。

 火傷を負ったのは誰のせいか。忘れっぽい我々に、その答えは見つかるのだろうか。

 灯が消えても灰は残る。泡が消えても水は残る。残ったものが姿を変えすぎたばかりに、我々の目に映らないだけで。だのに我々は、灯を、泡を、亡くしたままにしてしまう。

 我々は、あまりに忘れっぽいために、火傷をしたことさえ忘れて、灯の消えた灰に再び手を伸ばし、そしてまた火傷をする。そのくせ人は問うのだ。火傷を負ったのは誰のせいか、と。


 それにしても、生命いのち灯火とは、血脈大河ながれとは、忘れっぽい我々にしては、うまいことを言ったものだ。




 空気が重いとは、まさにこのことだろう。

 ひそひそという木々のざわめき。そして、地面を踏み鳴らす音と、金属のぶつかり合う音。草木が生い茂る山道は、こんなにも無味な音を放つだけだっただろうか。前方と後方に十人ずつ。黒に統一された装備を全身に纏った兵士らが、二列の隊を成して自身の前後を固めている。あまりの息苦しさに耐え兼ねて空を仰いでみるも、ほんの先程まで青が勝っていたはずの蒼穹でさえ、今では曇天の向こうにその姿を隠してしまっていて、少しの慰めにもならなかった。色を求めて、時折覗く雲の隙間を目で追ってみても、灰色の壁がすぐに視界を埋め尽くし、鬱蒼とした空の表情が、肌にまとわりつく空気をさらに重くさせていた。

 陸様が隊長だったらなあ。

 溜め息交じりのそんな声が背中に突き刺さる。最後尾の若い二人だ。

 俺達は誇り高き山村の兵だぞ。それがどうだ。よりによってこんな。

 よくもまあここまで嫌われたものだと、静かな面持ちの裏で薄ら笑いを浮かべる。いくら藤神の家紋があしらわれた槍を手にしていても、四年前までは敵同士だった彼らとの間には、依然として大きな隔たりがあるのは事実だ。そんな中でも、今まで大きな衝突もなく同じ道を歩めたのは、どの領地にも分け隔てなく善政を布く祖父と、そんな祖父に忠誠を誓う陸の存在があったからこそだ。祖父自ら指揮を執るならまだしも、よりによってこんな小童風情が指揮官であるなら、当然不満が出てもおかしくはないだろう。実際、誰も彼らの私語を諌めようとしないことからも、ここにいる全員が多かれ少なかれ似た感情を抱いているのは手に取るように分かった。

 俺だって、こんな仕事は。

 思わず漏れそうになった恨み言を慌てて飲み込む。気の乱れは体の乱れ。名ばかりとはいえ、彼らの命を預かる身としては、いかなる状況下であったとしても集中を欠かしてはならない。

「止まれ」

 先行する兵に指示を飛ばす。ようやく作戦区域に到着したのだ。彼らを見渡す位置に立ち、一人ひとりを真っ直ぐに見やった。

「此度、我らに下された命は、この近辺の山林に潜む山賊の討伐だ。まずは偵察。五人一組で奴らの居場所を探し出す。発見でき次第、増援を待ってから事にあたる。すでに旅商人や近隣の集落にも被害が出ている。心してかかれ」

 静かな森に、自分の声がよく通る。

「色葉様はおひとりで大丈夫なのですか?」

 不躾な態度を隠そうともしない声を上げたのは、つい今しがた不満を垂れていた兵の一人だ。

「私はお前達を心から信頼している。以上だ」

 話を早々に切り上げ、一人森の中を進んだ。嫌悪の目を向けられる場に居続けたい者などいはしない。大勢の兵を指揮するのとは勝手が違うこの状況には、正直辟易していた。

 この辺りは山村家の支配下にあった土地だ。だからこそ地理に明るい彼らが選ばれたのだろうが、それならば彼らの希望通り陸を隊長に、そうでなくとも適当な者を充てればよかったと思うのだが、祖父直々の指名とあらば断るわけにもいかないだろう。確かに陸の担当は鍛錬であり、ちょうど手の空いていた俺が選任されるのは分からなくもないが、適任者がいる以上、多少の機転があってもよさそうなものだ。

 それだけ、信頼されていないということなのだろうか。兵を率いて暴れるだけが能だと思われているのだろうか。確かに、他人と対話する、とりわけ、目を合わせることは、得る情報量が多すぎて疲れる上に、何より見たくないものまで視えてしまって、昔は苦手だった。だが、今は違う。

「俺だって、手合わせの相手役くらいできる……よな」

 眼前の樹だけが、大きな枝を揺らして応えてくれた。小さく溜め息を吐いて、その太い幹に腰掛ける。ちょっとした広場のようになっているここなら、適度に視界も開けており、さっきの場所からでも少し探せば見つかるはずだ。隊を指揮する立場としては、あまり遠くに行くのもよくない、ということも最近学んだ。

 そうだ、俺は学んだんだ。自分の役割も、力も。過去は所詮過去。過ぎ去ったことをあれやこれやと考えても仕方がない。もし仮に、過去とは対をなす現在や未来が視える者がいたならば、それは俺の想像を絶する心労を有しているのだろう。そうでないだけましではないか。

「お前の歴史は、こんなにも分かりやすくて、温かいのにな」

 そう呟いてから、木に向かって話しかけている滑稽な自分を俯瞰し、口の端を僅かに吊り上げた。

「それに比べて俺は……」

 ちりりと疼いた胸を押さえ、反対の手で膝を抱き寄せる。過去はどうにもならない。分かっている。だからもう、嫌なことは全部――


 わすれるの?


 時が、止まった。呼吸も、鼓動も、何もかも。森のざわめきでさえ、その時を。

 はじめ、これは自分の記憶が作り出した幻聴ではないかかと疑った。ふとした瞬間に、またこの声が聞こえるのではないかと常々思っていたから。しかし、そうではない。今、確かに聞こえたのだ。

 俺の中の理性はそれほど馬鹿ではなかったらしく、すぐに周囲の気配を注意深く探った。その時、ようやく自らの失態に気付き、先ほどまでの自分を心底呪った。森があまりにも静かすぎる。生命の息吹が全く感じられないほどに。異変はこの森に足を踏み入れてからすでにそこにあったのだ。

 深く息を吐き出し、そっと柄に手を添える。そして、もう一度その声がするのを待った。


 あのときの、ままなのに。


 聞き間違えるはずがなかった。三年の歳月は、それほどまでに無意味で、無価値で、記憶に残らないものだった。まるで世界が「あのとき」のままのようで。だって、俺はこの声を、この声は。

 視界の中心で、白い花弁がひとつ、ひらひらと舞っていた。

「──黙れっ!」

 一閃。白く輝く刀身が、それを真っ二つに割いた。錆びついた四肢を無理矢理動かし飛び込むように前に跳ぶ。数瞬の後、先ほどまで背中を預けていた大木が、数えきれないほどの白い花びらと化して崩れ落ちた。

 感じる。八方から自分を射抜く、十六の眼を。

 刀を握る手に力がこもる。

「真似をするなら、せめて似せる努力をするんだな」

 足元に広がった白藤色の絨毯を踏みつけ、薄く長い息を吐く。

「あいつの色は、雪よりも白くて、月よりも明るくて、もっと……」

 濁りなどどこにも見受けられない、正真正銘の、純白。その時、別の女の声が響いた。

「それは残念だ。私はその色も好きなのだがな。ちょうど藤の色、貴様らの色も混ざっているではないか。何が不満だ?」

 正面の眼が、そう笑っていた。女の声は続ける。

「そうか、真に無垢なる白がいいのだな。穢しがいのある、純白が。何にせよ、貴様はそれを亡き者にした。そして、貴様は今、二度目の死を与えようとしている。ああ、可哀想だ。その花弁のように、風に吹かれ、誰の記憶にも留まることなく、ただ土に還る運命なのだな」

「土に還る? 笑わせるな。俺たちのような魔導師はずれものは、この大地に受け入れられない。マナになって消えるだけだ。この魔物と同じようにな!」

 背後に忍び寄っていた巨大な鼠の魔物の首を叩き切る。金属が軋むような不快な断末魔を上げ、魔物は幾千もの白い粒子となって虚空に消えた。

「あのときだってそうだったじゃないか! あいつが、妹が生きた証は、もう何も残ってない!」

「ではなぜ動こうとしない。知っているのだろう? あの光のことを。あの光さえ手に入れられれば、何もかも思うがままではないか」

「それはお前も同じだろう、みすじ――いや、三条!」

 そう名を呼んでやると、ようやく彼女は姿を現した。

「全てお見通しという訳か。まあ、三条みすじの名をここまで安直に名乗っているのだから、気付かない方が愚鈍というものよ。あの小娘にもそう伝えておけ」

 顔の上部を覆っている布を剥ぎ取る。その下から出てきた面影は、よくよく見知ったものだった。

「俺にかまわず、自分で光の許へ行こうとは思わないのか」

「いいんだよ私は。あの子さえ無事でいてくれれば、それだけで。それに、私が光を手にしたとて、なすことはあの方と同じ。全てはあの方の計画通りに進んでいる」

「あの方?」

「貴様が一番よく知っている……いや、あるいは一番知らぬお方だ。もう、潮時なのだ」

「それは、どういう」

 意図を掴みあぐね、胡乱げな表情を浮かべた色葉の言葉を、みすじは悪戯っぽい笑みを浮かべて遮った。

「長話はここまでだ。私とて暇ではないのでな。あとはこの子たちと遊んでいるがいいさ」

「おい、待て!」

 みすじの姿が森の中に消える。後を追おうとするも、大蛇の形をした魔物が進路を塞ぐ。周囲に視線を巡らせると、蛇の他に、牛、兎、馬、猿、猪。なるほどと唇を舐める。これは山賊討伐などと言っている場合ではない。早急に隊と合流して撤退しなければ。

 おそらく魔物は全部で十二体。先の化け鼠を除けば、残りは十一。個々の力はそれほど強くないようだが、どうにも数が多い。それに、残り五体の姿が見えない。いくら屈強な兵達とはいえ、魔導師でないものがこれだけの魔物を相手にするのは、いささか無理が過ぎるだろう。

 眼前の白く濁った蛇を睨む。深紅に染まった眼。人間程度なら容易に丸呑みしてしまいそうな口。血のように赤いそこから覗く鋭い牙。何より奇妙なのは、全身を覆う白い鱗と、その隙間から顔を出す、所々に黒い斑点を滲ませた白い花。形こそ違っているが、他の魔物もおおよそ同じだ。どこぞの神話にでも出てきそうなほど凶悪な風貌だが、とりわけ強い魔力は感じなかった。物理攻撃にさえ注意すれば、何とかなるかもしれない。無論、一体だけならの話だが。

 正対しつつ、一歩足を後ろに引く。その時、やけに柔らかな感触が足裏から伝わってきた。白藤色の花弁だ。そういえばさっき、この中のどれの攻撃かは分からないが、大木が一瞬にして花弁に変わっていた。もしも、全ての魔物が同様の能力を持っているとすれば、少々厄介だ。

 潮時。みすじの言葉が脳裏によみがえる。

「ははっ、まさか」

 確かに俺はまだまだ弱い。体格だって小さいし、腕力も抜きん出てる訳じゃない。でも、俺は魔導士だ。しかも、代々血を受けついでいる、藤神の。

「花、植物、土……だったら、風がつ」

 詠唱をしている暇はない。だが、風を起こして隙が作れさえすれば、あるいは。

「お前たちのその花、俺が全部、散らしてやる!」

 言葉と同時に地面を蹴る。狙うは顎の下。最も花が密集している部分だ。迫りくる頭を左へかわし、勢いのまま刀を払う。数枚の花が散り、霧散する。転身、再び眼前にあった牙をはじき背後へと跳んだ。すかさず右前方から白猪が飛び込んでくる。迎えうつ形で刀を構え、牙ごと叩き切るつもりで鼻頭に叩き込む。ありったけの魔力を込めてもなお伝わる衝撃に腕が痺れた。

「っ……!」

 息が詰まる。肉を裂き骨を断つ感触に背筋が震える。胴の中央まで刃が通ったあたりで、猪の体が透け始めた。その向こうに蛇と牛が迫っている。だが、僅かばかりの距離がある。

 今だ。左手を花弁の山に向け、手の平を上にして持ち上げるように腕を掲げた。間を置かず、意識を向けた先の地点を中心にして旋風が巻き起こり、元あった大樹の大きさにまで花弁を舞い上げる。そうして生まれた藤白の竜巻は、まさしく竜のようにうねりながら牛の巨体へと襲いかかった。視界を覆われた猛牛は一瞬の怯みを見せたが、すぐに全身を振るわせて角をこちらに向ける。しかし、その時にはすでに間合いにあった。刀を振り下ろし、今度は首の後ろから魔物を叩き切る。空気の抜けるような音に見上げると、獲物に噛み付かんとする大蛇が真っ赤な口を見せつけていた。取って返す刀でその牙を受け止める。

(いける!)

 腰を沈めて深く踏み込み、下から喉元を切り裂く。花が散り、大蛇は片鱗も残さず消えた。

 あと三体。

 しかし、事はそう簡単に進んではくれなかった。眼前に躍り出た白兎を視認した瞬間、突如天地が反転し、地面の緑と空の灰が交互に眼前を流れた。宙を飛んでいたと分かったのは、そばにあった木にぶつかり、目の前を星が散ったときだった。数瞬遅れて全身を襲う痛みに呻く。空気を求めて喘ぐも、喉の奥に何かが絡まっているようで思うように息ができない。黒いもやにかかった視界に映るのは、剛毛に覆われた筋骨隆々の猿。木々を利用して背後に回り込み、その太い腕で殴り飛ばしたのだろう。

 右の脇腹がやけに熱い。しかし、出血を確認している時間を状況は与えてくれなかった。猿の腹を覆っている花が仄白い燐光を発し、深紅の眼が嘲笑に歪んだ。散漫としていた意識でも、嫌な予感はしっかり感じ取れた。その巨体に似つかわしくない俊敏さで距離を詰め、淡い光を纏った腕を振り上げる。俺が地面を転がってその攻撃を避けたことで、俺を受け止めてくれた木が先の大樹と同じ運命を辿った。

 これで確信した。花を持つもの、つまり全ての魔物が花に変える能力を持っている。やはり、自分一人だけでは少々荷が重い。ここで倒し切るのではなく、一度退く方が賢明だろう。あの巨体では森を抜けるのに難儀するはずだ。うまく地形を利用して隊との合流を目指そう。

 湿った右の脇腹を左手で押さえつつ立ち上がる。そして、先と同じように背後にうずたかく積もっている花弁を巻き上げた。時を稼ぐにはあまりに心許ないが、何もしないよりはましだ。それに、幸い骨は折れていない。走れる。そう自分に言い聞かせ、近くにあった坂を滑り降りた。

〈癒しの女神よ、力を分け与え給え、ヒール〉

 木々の間を駆ける途中、自身に治癒魔法をかける。予想より出血がひどく、地面を蹴るたびに頭の芯が揺れた。せり上がる吐き気を飲み込み、兵士たちと別れた方角へとひた走る。まだそれほど離れてはいないはずだ。

「せめて、彼らだけでも、陸の許に……!」

 そう決意を口にし、気を奮い立たせる。残る魔物は七体。撤退の時を稼ぐくらいは、必ず。

 しかしその瞬間、どういうわけか足が前に出なくなった。彼らのことを考えれば考えるほど、頭の片隅に黒いもやがかかり、全身が鉛のように重くなっていく。時を追うごとに呼吸が浅くなるのは、どうやら出血のせいだけではないらしかった。

 心の中で、黒い何かが問いかけてくる。どうして一人で逃げないのかと。非魔導師のために命をすり減らすことに、何の意味があるのかと。俺は答えられなかった。もっともらしい理由を挙げることができなかった。

 ついに膝が折れた。地面についた手が、小刻みに震えている。疲労か、恐怖か、判然としないそれが思考を掻き乱す。

 俺はいったい何がしたいんだ。今の俺は、何をしているんだ。子供の時分は、何も見えていなかったから、簡単に世界を変えたいなどと無邪気に願えていた。生まれ持って課された悲劇を盲目的に憎み、唯一となっていた妹を拠所に据え、ただひたすら魔導士の世界を作ると声高に叫んでいた。いや、それは今も変わらない。大きく違っているのは、信念ではなく状況の方だ。世の中の片鱗を垣間見て、己の力量を把握し、少しは物事を考えられるようになった。そして何より、頼りの妹を失った。それでもなお、胸に掲げる理念は変わらない。だのに俺は、何を成そうとしているのか。何を成そうとして、こんな行動をとっているのか。

 非魔導師の足軽兵二十人と、主家の直系の魔導師。戦略的な重要性を鑑みれば、そのどちらが生き残るべきかは明らかだろう。分かっているはずだ。それならばどうして、俺はその結論を見ようとしない。

 土を握り込んでいた指の隙間から、赤く滲んだものが見える。

 ああそうか。俺は、苛立っているのか。

 何に対して。

 現状に追い込まれている自分に。理解できない行動をとる自分に。そして、妹のことを忘れようとした自分に。

 そっと目を閉じ、口の端を吊り上げる。

 遠くから地鳴りと咆哮が近づいてくる。あの魔物共はすぐそこまで来ているはずだ。

「……分かったよ、うるさいな」

 掠れた声が喉の奥から這い出てきた。鉄の味がする唾を飲み下し、息を詰めつつ立ち上がる。もう、手は震えていなかった。

 これは罰だ。贖罪を放棄しようとした自分への、嫌がらせのような罰。妹のことを忘れようとした罪に対する罰。

 魔法陣を展開した色葉の眼に、青白い炎が揺らめいていた。

「言ったはずだ。お前たちのその花は、俺が散らしてやると」


 これが罰だというのなら、それを甘んじて受け入れよう。

 それが罪だというのなら、これで贖うことにしよう。

 赦しを請うことが許されるなら、俺は願いの全てを捨て去ろう。

 もう忘れない。もう迷わない。だからどうか、機会をくれはしないだろうか。


 世界なんてどうでもよかった。俺はただ、白花と、おじい様と、幸せに暮らせれば、それだけで。それ以外の願いなんて、俺には。


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