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生命は廻り世界は続く  作者: 桜坂 春
四章 〜儚き夢の如く〜
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第二十一話

 ――また来年も、二人で桜を見に行こう。


 それは、簡単な約束のはずだった。




 自分が攫われたのだという事実に気がついたのは、目が醒めてすぐのことだった。

 取り囲んでいた炎の温度も人の温度もそこにはなく、ひたすらに静かで冷たい部屋の中に私は寝かされていた。無事に逃げられたのだと思いたかったが、どうしても兄の魔力を見つけることができず、そういう訳でもないらしいので、つまり自分は攫われたのだという結論に至ったのだ。

 つい先ほどまで迫っていた死の恐怖から解放されたためか、そう考える今の自分は妙に落ち着いていた。

 だからきっとそのせいだ。何度も忘れようとした昔の記憶が、こうも色鮮やかによみがえってしまったのも。いや、本当は常日頃から心の奥底に潜んでいたのかもしれない。忘れよう、忘れようと心の中で繰り返す度に、その記憶は強烈な印象とともに、私の心を侵蝕していった。

 炎の中に取り残された、今よりずっと幼い自分。四年の時を過ごした屋敷が焼けていくのを、ただ見ているだけしかできなかった無力な自分。真っ赤に染められた兄の姿。そして、両親の最期。その全てが、自分の記憶には色濃く刻まれている。兄が失ってしまった記憶を、私は今でも鮮明に憶えている。宿屋で兄に助けられたとき、確かに嬉しかった。でも、その光景があの記憶と重なり、安堵と同時に恐怖も感じたのだ。

 こんな、決して心地の良いものではない記憶を、どうして兄は取り戻そうとしているのだろう。だが兄が心から望んでいる以上、私が意見する必要はないし、するつもりもない。

「はぁー……」

 私は肺の中が空になるまで、長い溜め息を吐いた。膝を抱き寄せ、顔を埋めるようにして額を膝に乗せる。

「お兄ちゃんのところに戻ったら、色々聞こうかな」

 そのためにも、まずはここから逃げる事を考えようか。そう思い、立ち上がって戸口の方に歩を進めた。戸の取っ手に腕を伸ばす。

「っ……?」

 その時、向こう側に人の気配がした。慌てて手を引っ込める。突然の来訪者に肝を冷やしていると、ゆっくりと戸が開き、自分と同じくらいの背丈の人影が姿を現した。

「藤神白花、君は逃げなかったんだ。いやあ、やっぱり良い子だね!」

 無邪気な、しかし色の無い声が響く。

 確か、夕とかいう子供だ。みすじという女性と共に何度か対峙した事がある。要は味方ではない。よりにもよってこの人達に捕まったのかと頭を抱えたくなった。

 いや、それよりも。

「君はって、私以外にも誰か捕まったの? もしかして……」

「あはは、心配しなくても君のお兄さんじゃないよ。あれを捕まえられるなら、そもそもこんな回りくどい事しなくても済むんだけどね。まあ、じきに分かるよ」

 そう言って、夕は私に部屋から出るよう促した。ここは従う他にない。

 まさかとは思ったが、兄が無事なのならひとまず安心だ。あの優しい目を吊り上げながら、何とかして私を助けようとするだろう。他のみんなも同じだ。祖父は私にそこまでしてくれるか分からないけれど、きっと協力してくれているに違いない。そう信じる事にした。

 冷たい廊下を夕に先導されつつ進むと、やがて下へと続く階段に辿り着いた。それまでは、僅かながらも灯りが廊下を照らしてくれていたのだが、そこは段差が全く見えないほどの暗闇に包まれており、ともすれば穴でも開いているのではないかという恐怖に見舞われた。その中を夕は臆する様子もなく進んでいく。私は壁に手をつきながら、一段ずつ着実に足を下ろしていった。

 ひたひたと二人の足音だけが暗闇に響く。どこまで降りるのかと口を開こうとした途端、前を歩いているであろう夕が言葉を発した。

「お兄さんか君自身、どちらかを選べって言われたら、君はどっちを選ぶ?」

 突然の問いかけに窮するも、考える必要のない二択の答えはすぐに口を衝いて出た。

「私は、可能性の高い方を選ぶ。それがお兄ちゃんだと思ったから、私は手助けをしてきたんだよ。これまでも、これからも」

「なるほど、それが記憶を持つ者の判断かあ。だったら仕方ないかな」

 その時、夕の足音が消えた。

「……先に謝っとく。ごめんね」

 夕の神妙な声を聞いたのは初めてだった。その物言いに呆然としていると、再び規則正しい足音が響き始めた。私は慌てて後を追った。

「君がどの道を選ぼうと、最終的に選択した意味はなくなる。僕らは、その可能性を0パーセントにするために動いてるんだから」

「ぜろぱ……?」

「僕らがいる限り、君の言う『幸せが得られる可能性』は無いってこと。僕らが望むものと君たちが望むものは対極にある。……いや、もしかすると同じ場所にあるのかもね。どちらにせよ、結果的に僕が君の未来を阻むことに変わりはないんだ」

 それにしても、と今度は嫌味たらしく言葉を続ける。

「あの事件の記憶を持っているのに、よくお兄さんを信用できるねえ」

「お兄ちゃんは何もしてない。あんなことするはずない!」

 私が叫ぶと、夕は高らかに笑い出した。

「そっか、君はそう盲信するんだ……哀れだね」

 頭に血が上りかけたが、すんでのところで自制する。唇を噛み締め、危うく飛び出そうになった言葉を呑み込む。

 侮辱されたのが嫌だったのではない。心の中を言い当てられたのが悔しかったのだ。あの日兄がした事を、私は今でもはっきりと憶えている。それでも、兄のことを信じたかった。そこに理由なんてない。ただ、信じたかったのだ。

 ようやく闇に目が慣れてきた頃、進む先に光が見えた。どうやらそこが目的地だったようで、着いたよ、と夕が合図する。その光に足を踏み入れた途端、私は驚きに目を見開いた。眼前を舞う白いもの。それは雪ではない、季節外れの桜だ。薄く色づいた桜の花びらが、ここでは真冬の雪の代わりに舞っていた。静寂だけは、変わらずに響いている。

 そんな、異様ながらも美しい光景の中、一つの人影が佇んでいるのを見つけた。

「水望ちゃん……?」

 見知った姿に思わず声が漏れる。その声を聞きつけたのか、目の前に立っていた少女が、ゆらりとこちらを振り返った。

 私は、その時確かに少女が発した不気味な笑い声に、全身の血が凍りつくような錯覚を覚えた。違う。これは私の知ってるあの少女じゃない。彼女はこんな笑い方はしない。もっと元気で明るい、女の子らしい笑い声だった。こんな低く粘ついた笑い方なんかじゃなかった。

 無邪気な声が響く。

「あれっ、行かなくていいの? せっかくの仲間とのご対面なのに。ねえ?」

 深く耳朶に突き刺さった夕の言葉をきっかけに、募る不信感は、やがて恐怖へと変わった。今すぐこの場から離れたい。そう強く思うのに、体が意に反して動いてくれない。まるで足が鎖に囚われているかのように動かない。

 おいで。

 彼女の口が言葉を紡いだ。一歩、また一歩と緩慢に足を引きずって、薄暗い微笑を浮かべた少女が歩み寄ってくる。嫌だ。来ないで。違う、これは偽物だ。胸中に渦巻くいくつもの言葉は、恐怖に塞がれた喉を通ってはくれず、空気を震わせる事はなかった。

 私の足を鎖で縫い留めていたのは、彼女が放つ殺気だった。僅かな曲線を描くその口元から、光を宿していないその目から、鞘に手を伸ばしているその手から、底知れない殺気を感じる。今までずっと仲間だと思っていた彼女から発せられる殺気が、私の足を捕らえて離そうとしなかった。

 また一歩少女が近づいてきたため、私は足がもつれて、腰が砕けたように後ろへと倒れ込んでしまった。その時、左腕から、からりという何かのぶつかり合う音が微かに聞こえた。かろうじて視線を動かすと、瑪瑙の輝きが目に飛び込んできた。兄がくれた瑪瑙の腕飾りだ。あの時私に見せてくれた、少し照れたような、恥ずかしがっているような兄の笑顔が脳裏に蘇る。

 刹那、私の足を捕らえていた鎖が、音を立てて砕け散った。その瞬間大きく息を吸い込み、立ち上がる。

 〈我が身を守れ、フォースフィールド!〉

 魔導師であるあの少女には無意味だと分かっていても、少しでも逃げる時間を確保しようと、防御魔法を自分と彼女との間に展開する。そして何本もの桜の木が立ち並ぶ中を、私は地面を蹴って駆け出した。

「追え!」

 夕の声が背後で響いた。その次の瞬間、防御魔法がいとも容易く破られる。追ってくる足音は一人分。恐らく夕のものではないだろう。

 私は唇を噛み締めた。

 これは何かの間違いか、それとも夢か。そのどちらかだと思いたかった。しかし、頬を掠める桜吹雪も、踏みしめる地面も、残念ながら本物だった。どうして三条水望の形をした少女が殺気を纏いながら追ってくるのか、彼女が本当に三条水望なのか、もしそうなら、なぜ敵の指示に従って追ってくるのか。何もかもが全く理解できなかったが、それでもこれは現実だ。泣きたい。泣いて全てを忘れてしまいたい。だが、今ここでそれをするという事は、全てを諦める事だと分かっていた。だから私は、必死に涙を堪えた。涙を堪えて走り続けた。

 なだらかな起伏が続く地面には、立派な桜の木が空をほとんど覆い尽くしてしまう程にそびえている。どこまでも変わらないその景色は、徐々に遠近感を狂わせ、ここが永遠に続く無限の回廊であるかのような錯覚を私に植え付けた。だが、いつまでも逃げている訳にはいかない。どうにかしてこの状況を好転させないと。その時、桜の木々の間から、微かに水の流れが聞こえてきた。

(確か、水望ちゃんは火属性の魔導師だったはず……なら、あそこまで行けば!)

 水は火を制す。水属性のマナが豊富にある川沿いまで行けば、もしかしたら何とかなるかもしれない。

 水の音は徐々に近づいている。ちらと背後を顧みると、いつの間にか刀身を煌めかせている少女が木々の間をすり抜けてきていた。確実に距離は縮まっている。だが、川まで逃げきれなくはなさそうだ。

 そう確信した私は、瑪瑙の腕飾りを一瞥して、走り続けた。




「氷波! 蛍を頼めるか!」

 色葉は走りながら声を飛ばす。

「分かった!」

 氷波は返事を返し、視線を受けた蛍は小さく頷く。二人はそのまま色葉達とは違う方向に走っていった。

 社殿の先にあった洞窟。長く暗いそれを抜けると、季節外れの桜が咲き誇っている巨大な地下空間に出た。その美しさに呆気にとられていた色葉達だったが、渦巻く魔力に思わず駆け出した。その魔力はどうやら二か所から発生しているようで、一つは遠目に見える滝の付近から、もう一つは反対側にある一際大きな桜の大木のあたりから感じられた。何か強大な力――おそらくこの島の神気だろう――が邪魔して、それらが誰のものかまでは判別できなかったが、そのどちらかが白花と水望のものである可能性は大いにあった。そう考えた色葉は、二手に分かれる事に決めたのだ。

「戦力を分散させて良かったの?」

「今は各個確認している時間が惜しい。それに、俺はあの二人を信頼してるから」

 道風の問いはもっともだが、あの魔力のどちらか、あるいは両方が白花達のものであるならば、それは何者かと交戦状態にあるという事だ。悠長に構えている暇はない。

「案ずるな道風、向こうには魔導師である蛍殿がいる。こちらにも色葉様がいる。何かあれば魔法で空だって飛べるんだ。心配する事は無い」

 魔導師がいるから大丈夫、という陸の言葉に、色葉は心の中で溜め息を吐いた。

「だったら、こっちは大丈夫じゃなさそうだねぇ」

「は? お前は何を言って」

「二人とも黙って。急ぐよ」

 色葉の低い声に、道風は気の抜けた返事をする。そんな彼に色葉は視線を向けた。いつまでも隠し通せるとは思っていなかったし、最初に気付くのも道風なのだろうとは思っていた。それでも色葉は、自身が魔力切れ寸前である事実を隠した。無用な心配を掛けたくなかったからだ。

「……まあでも、僕達がいるから大丈夫だよ」

 しかし、そのつまらない意地すら見透かしていたのか、彼の瞳には優しい色が浮かんでいた。生島の姓にもある通り、こと生に関わる事は彼に適わないと思う。

 今度は現実に溜め息を吐いた色葉は、桜の向こうに見える滝を見据えて地面を蹴った。




 目指していた川がようやく私の視界に飛び込んできた。たどり着いた川岸で振り返り、息を整えるために深呼吸を一回する。追ってきた少女も、口元のみに湛えた微笑を絶やさないまま、私の目の前に少しの距離を置いて立ち止まった。

「水望ちゃん、じゃないよね。あなた、誰?」

 返答は期待していなかったが、それを問わずにはいられなかった。案の定答えは無く、少女は気味の悪い笑みを浮かべながら、無言で一歩距離を詰めてくる。

「私は全部の属性の魔法が使える。火属性しか使えない水望ちゃんの身体じゃ、私には勝てないよ」

 そう言う私に刀身が向けられる。

「それなのに、まだ私にその目を向けさせるの?」

 ついに少女の間合いに入った。もし今彼女が刀を振れば、私の細首なんて枝を手折るように簡単に飛ばせるだろう。それでも私は、足を踏ん張ってその場に留まった。

「目を覚ましてよ水望ちゃん!」

 生気のない瞳を射抜く。放たれる殺気は収まるどころか、距離が詰まるごとに強くなっている気がする。私は背後の川を流れる水に意識の半分を向け、水属性のマナを自身の周囲に集め始めた。少女はゆっくりと刀を持ち上げ、私の肩に刃を置いた。ひやりとする感覚が心臓を掴む。だがそれでも、少女の殺気から視線は外さない。

 その時、ようやく少女が、僅かに唇を震わせた。

「……おまえたちが、おかあさんを、ころした」

「えっ……?」

 予想だにしなかった言葉に、私は肩に食い込む凶器の存在を忘れて唖然とした。刀身分の距離すら一瞬で詰められ、少女と私はほぼ抱き合う形になった。無論、私の垂れ下がった両手には少女を退けるマナが、背中に回された手には私を殺す刀が握られている。

「おまえが、ころしたんだ」

 耳許で囁かれる低い声に、私は完全に呑まれてしまった。

「何を、言って……?」

 鼓動が跳ねる。

「お前がお母さんを殺したんだっ!」

 少女は私を突き放し、手にした刀を振り上げる。我に返った私は急いでマナに命令式を与え、口の中で小さく唱えていた呪文スペルを引き金に彼女の周りに水の竜巻を発生させた。

(今のうちにっ!)

 川下の方角に向かって走り出す。だが向かう先に道は無く、川も水しぶきを上げて忽然と姿を消していた。崖だ。しかし、水属性の魔法に少女が怯んでいる今なら、方向転換して再び桜の森の中に身を隠す事は十分可能だ。


 そのはずだった。


 振り返れば、私の意のままに動いていたはずの水流が、いつの間にか少女の命令に従って私の足元に迫っていた。当の彼女は怯む様子を微塵も見せずに、私の許へと向かってきている。

 なんで。どうして。彼女は水属性の魔法は使えなかったはず。そんな疑問は瞬く間に激流に翻弄され、私の身体ごと宙に浮いていた。先程まで立っていた地面が見る見るうちに離れていく。

 私が落ちるよりも早く、少女の腕が私を捕まえた。その時見えた水飛沫の一つは、私には彼女の目から零れ出たようにも見えた。けれど、もはやそれを確認する事はできない。私の胸から飛び散った赤い飛沫が、一瞬にして視界を埋め尽くしたからだ。


 ああ、懐かしい声が聞こえる。

 また来年も、二人で――

 その続きは何だったかな。もう分かんないや。


 次々と感覚の糸が断ち切られていく中、最後に感じたのは、左手首に付けられた瑪瑙の腕飾りが、ぷつりと切れる音だった。




「白花ーーーっ!!」

 目指していた滝に到着した瞬間、色葉は思わず妹の名を叫んでいた。その声が響き渡るのとほぼ同時に、崖の上から姿を現した二人が水しぶきと共に滝つぼへと落ちる。

 その中途、確かに水望の刀が白花の身体を貫いていたのが見えた。確かに見えたのだ。居ても立っても居られなくなり、色葉はただ呆然とする二人を置いて、水しぶきを上げる滝の底へと身を投じた。慌てふためく道風の声が聞こえた気がしたが、完全に黙殺する。澄んだ水に混じる赤を辿り、一緒になって沈んでいく二人を追いかける。水底に達する前に二人の身体を掻き抱き、反転して水面を目指す。

 無我夢中で二人を川岸まで引き上げた時には、赤は全て水に洗い流されており、白い肌に穿たれた刀傷が、破れた服の隙間から覗いているだけだった。

「おい! 起きろ、白花っ!」

 半ば叫ぶように呼びかけるが、反応が無い。刹那、全身から血の気が引いた。胸が熱くなり、息が詰まる。脈拍ばかりが浅くなる。一切の音が消え、静かに横たわる妹の姿だけが視界に映った。そっと彼女の首筋に触れてみる。冷たい。水で冷えただけではない事は明らかだ。そこに生命の脈動はなく、滞留する死気が徐々に広がっていた。

「嘘、でしょ……? 起きろ、白花。ねえ、起きてよ……」

 とうに、冷静さは失われていた。助けないと。何をしてでも、助けないと。たとえ自分を犠牲にしてもでも助けないと。でなければ妹は、死んでしまう。なら、今自分がやるべき事は、一つしかない。

 目を瞑り、息を吐いた色葉は、死の淵にいる白花の胸元に手を当てて意識を集中させた。

 もう魔力は残っていない。これ以上魔法を使えば、自分の身が危うい。全身を巡るマナが枯渇し、全ての感覚が途切れ、やがては心の臓が働きを止める。

 それがどうした。

 なぜ自分は生きているのか。世界を変えるためだ。なぜ世界を変えるのか。普通でない魔導士が普通に生きるためだ。なぜそうするのか。妹を、守るためだ。

 だったら何を迷う。

 ここで命を捨てて妹を助けても、きっと彼女は怒るだろう。泣くかもしれない。とにかく、ひどく悲しませてしまうに違いない。それでも自分は、不出来な兄なのだ。

「……ごめん、白花」

 白花の言う通り、俺は本当に馬鹿な兄だと思うよ。


 そう呟いて、色葉は詠唱を始めた。

 もしかすると、禁忌を犯す事になるかもしれない、ある魔法を。


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