♧… : So thAt YoU wouLdN’t sEe my tRUe nATuRe…
♧… : So thAt YoU wouLdN’t sEe my tRUe nATuRe…
『よっ、見知らぬウサギさん』
こいつに出会ったのは何十年も昔のことだった
行方不明者の掲示紙を眺めてるオレに
そうやって話しかけてきたんだ
》んだぁ?《
『見ない顔だったから、話しかけちゃった』
》はっは、オレは知らねーイキモノについてくなって言われて育ったもんでなぁ…《
『あははっ、そんなんじゃないよ〜
こんな掲示物をまじまじと見て、どうしたんだい』
》他所の坊っちゃんにゃカンケーねぇよ
お前どーせどっかのボンボンだろ《
『あはっ、さすがにバレちゃうかっ
ボクはカイト、よろしく』
変な奴だと思った
初対面の奴に…
尾を引きちぎれるんじゃねぇかってくらいに振る奴なんざ初めてだ
》オレは……好きに呼んでくれ《
『ウサギの化け物は呼び名に無関心なのかい?』
》長ぇなぁ…ウサギでいいだろ
うさぎのように可愛がってくれよ《
『えぇー?
口悪くって面倒くさがりっぽそうなうさぎ
可愛くないじゃないかー』
┈┈┈┈┈ 金持ち坊や 1/5 ┈┈┈┈┈
》行方不明者…多いな、相変わらず
知った名前ばかりだぜ…《
『そうなの?
そりゃ…苦しいだろうね…』
》…………そうか、普通はそうだな《
苦しいなんて…思ったことはなかった
居るなら居る
居ないなら居ない
ただそれだけの違いだ
『変な化け物……』
》酷い種族名だぜ…人間サマも大したもんで《
帽子を深く沈める
そのまま俯く
視界にはほとんど何も映らない
変な情にも感染りたかぁねぇ
》人間が手を出してこなけりゃ…《
『イキモノも何もしないのにね、あははっ』
》ほんとーだな、ははっ……
でも、結局どっちから…ってのは分かってないんだろ?歴史書にも書いてねぇだとか《
『そうなんだよねー…気になりはしちゃうなー
…あっ、キミはそーいえばいくつなのっ?歳…』
》あ?…歳、か…………ハクサイ、ハクサイ《
『ちゃんと教えてくれてもいいじゃないかー!
ちなみに〜…ボクは15だよ!』
》へぇー…にしては大人びてんなぁ…《
『そうかいっ?嬉しいなぁ』
》そうだそうだ、そのままでいろよー《
『わかっているよ!』
》ホントかよ…どうだかなぁ…………はぁ…ははっ《
カイトは尾を振りながら笑った
純粋な笑み
可愛い
(オレは相当なガキ好きらしい…)
いつしかのウサギを思い出す…
可愛らしく、純粋に、そして真っ白な邪の笑顔
子供ってのはそんなにもんだ
よく分からないのに…好いてしまう存在
愛してしまう
つい可愛がってしまう
大人にもそんなところがある
それすらも愛おしい────
⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘⫘
ザザッ…ザッ…ザッ…ザッ
カラカラ……サアアアァァァァ────
オレの足音を縫うように聞こえる小石の転がる音
そして白くて長い耳を揺らす風が通り過ぎていく
ザッ…ザッ…ザッ……カサッ…
道が乾いた土から、豊かな緑へと変わった
すね辺りまである背の草々
帽子が飛ばされないように抑えながら顔をあげる
紅い月
瑠璃色の空に浮かぶ星々を感じさせないほどの色
空が埋まってしまうほどの紅い月は
先が鋭く…三日月を描いていた
ァオォーン────
何処かから風に乗って聞こえてくる狼の遠吠え
》月狼が出たか…へぇ、、《
ニヤッと口角が自然と上がってしまう
そんな口元を抑えながら、
オレは遠吠えに背を向けて、草原へと歩き出す
背後で、空が白むほどの眩い輝が放たれる
オレは目をそっと閉じながら歩き続けた
輝がゆっくりと消えていくと
頬に冷たいものを感じた
…雪だ
ピシッ…ピキッピシッ…
パリーーンッ────
空が割れ
地が割れ
空気が割れ
が割れた
》終わったんだなぁ…まっ、壊れたくらい…
どーってことねぇけどなぁ《
パチンッ
指をひとつ鳴らす
何事も無かったかのように…元の景色に戻っている
オレも、何事も無かったかのように歩き出す
》次は何奴が月狼を目覚めさせるかな…
楽しみだぜー……なぁ?異界の人間サマよぉ…《
ククッと詰まった笑い声を風に預けて
崩れ、壊れ、苔むして死んでいった街に向かった
風に草花が揺れる
頭上には雲ひとつない快晴
乾いた土のヨルとは大違いの
壮大で清々しいヒル
ここには3つの地域に分かれている
蕣、貌、暁
またそれらも別れていた
蕣 : ウミノチ・トノチャノチ・アスノチ
貌 : ニキョクノチ
暁 : コクセツノチ・キノチ
貌がこれらの地域の中心部だ
そしてそれよりも内側にあるもの…
それが此処、『丈』だ
丈は全ての世界に繋がっている
その通り道のような…架け橋のようなものが、
蕣、貌、暁
その中にある、中の地境がウミノチなど…
もっと細かく見てしまえば…沢山の小さな場境はある
》相変わらず…綺麗なところだ…はは…っ《
今にも崩れそうな町
ブラウン管テレビと映る砂嵐の音
人間の、小さな子供の靴
干しっぱなしで植物に呑まれた布団や洗濯物
》もう、生き物は1匹もいねぇがな…《
久しぶりの更新ということで…楽しんで頂けたでしょうか
長く間が開いてしまって申し訳ありません…
うちのブロコリくんは、思い出話が好きなようで…回想シーンが多々ありますが、楽しんでくださいっ




