愛人④
にっこり。
男はさも当然と言いたげに微笑み、整った顔がまたマヤに近づいて降りてくる。
あまりにも自然な仕草と動きに、マヤは呆然とあっけにとられてしまう。
「ちょ…、ふざけるのもいい加減にしなさい…!!」
マヤはすぐに正気を取り戻し、必死に顔を背けて男の唇から逃れる。
「………信じられないなら唇以外にもたくさんキスしようか?耳とか首とか他にもいろいろ…。耐えられる?」
「……~~~っ!!!?」
顔を背けたマヤの耳に向かって発せられる男の過激な言葉。
マヤの顔から火が噴く。
彼女の顔は、悔しさやら怒りや何やらでゆでだこのような状態だ。
ダメだ…。あり得なさすぎてめまいがする。
火事場の馬鹿力で必死に抵抗するが、完璧な羽交い締めで力が入らず、まったく意味はない。
(この男、いったい何なのよっっ…!?)
必死に抵抗するマヤだが、男は何食わぬ顔だ。
チュ。
「っ??!」
今度は言葉通り首筋にキスをしてきた。
「ちょっ、ほんとにする奴が…っ!?」
「本当にするよ。君は話してくれる様子も無いし、時間も無いし…。とりあえず既成事実だけでも作っておこうって思ってるんだよね」
(!!??)
男のとんでもない言葉に、マヤは思わず両目をぎょっと見開いてしまう。
「いうなれば…子づくり?」
………ブチッ。
マヤの思考はここで途切れた。
(…………殺す)
(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!)
(絶っ対に殺してやる……………っっ!!!!)
マヤの限界は臨界点を突破した。




