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愛人③
……男の顔が
マヤの顔に降ってきたのだ。
「っ……!?」
マヤに衝撃が走る。
マヤの唇に男の柔らかい唇が重なっていた。
「…っ!!!」
とっさにマヤは頭が真っ白になり、男の唇から逃れようと必死にもがく。
「んん゛!!っ…、んっ、んんんん―――っ!!」
しかし逃れる所か、口づけは余計深くなる一方で…。
(なっ…)
(何なのっ!?この男………!!?)
ガリッッ!!!
「っ…!」
限界を突破したマヤの牙が強烈に男の唇と舌を襲う。
男の唇が途端に離れ、マヤの口には男の血の味がかすかに広がっていた。
「っ……………。なかなか手厳しいね」
男は指で自分の唇の血を拭う。
少し痛そうではあるが、何かを企むように楽しげに笑みを浮かべている。
「何…、考えているのよ」
思いも寄らない男の行動に、マヤは状況を把握出来ない。
冷や汗が吹き出す。
「何をって…?」
マヤに問われた男は、別に何も考えていないとでも言うように、きょとんと不思議そうに答える。
「何って別に…」
「口づけしたいと思ったからしただけだけど……?」




