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お友達は出来ましたか?【4】

『森田浩輝 君、森田浩輝 君、面談室までお願いします』

放送部による、呼び出しの校内放送が流れる。

「何か呼ばれてるな。悪い事でもしたのか?」

「別に何もしてないんだけど、とりあえず行ってみるよ」

浩輝はクラスの友達と別れ、一人面談室へ向かった。

本当に何も心当たりがない。しかし面談室に呼ばれるというのは、大体が問題事だろう。

まだ1年生だし、進路について教師と二人で面談する事も無い。

悶々としながら歩いていると、面談室前に立っている堂島が見えた。

「先生、さっきの放送は何の事ですか」

「ああ、何か放送が流れていたな。あれは俺じゃないぞ。俺は風紀検査の生徒誘導でここに立っているだけだ」

ここだと邪魔になっていたか、と堂島は面談室の扉から少し離れた。

確かに、この廊下には風紀検査を受けに行く生徒の通り道になっており、生徒の人数が多かった。



先生でないなら、誰が自分を呼び出したのか。

浩輝は不可解な状況に戸惑いながらも、面談室の扉を開けた。

「やあ。待っていたよ」

そこには、ソファに座っている燕太がいた。







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







浩輝に正面から話しかけても取り合ってくれない。

それならば、他者を使うしかない。

クラスメイトに浩輝を呼び出すように依頼しても、来る可能性は低いし、正直、今の段階ではクラスメイトもどこまで信用出来るか曖昧なところだ。

となると、不特定多数を利用する。

校内放送を使って呼び出せば、学校内の生徒が浩輝は面談室に行かなければならないという情報が入る。そんな中、放送を無視しているようであれば、不思議に思う周囲の目が自身に向けられる事になる。

燕太は放送室を尋ねると、燕太の姿を見た放送部が「どうぞ!何なりと!」と半泣き状態で譲ってきた。

まさか顔パスでいけるとは。

今回ばかりは『堤 燕太』の素行が生きてきたと思う燕太だった。





そして、教師はどうするのか。

堂島に頼めばよい。

「いやいや、さすがにそれは協力出来ないわ。だって森田はお前の事怖がってんだろ?それを強制するような真似は絶対にダメだし、俺が呼び出したって事にするのも勘弁な」

「そうですか。では、ここからはワタシの独り言なので」

燕太は堂島に背を向けて、話を続けた。

「先生は面談室の近くで立っていて下さると有難い。あくまで、用事があって立っているだけです。例えば、今日は2年生が体育館にて風紀検査を順に受ける事になっている。その移動には面談室の前を通過する。貴方はその誘導をしているだけ。先生は風紀検査の係でもありますから。元々、生徒を体育館へ向かわせるために中間地点で誘導しなければならない。それを今回は面談室付近で行っているだけです。一見すれば森田浩輝を呼び出したのは貴方だと勝手に勘違いする人もいるでしょう。他の先生方も、指導の一環による個別面談で貴方が森田浩輝と事前に約束していたが、一向に来ないので校内放送を使ったと思うでしょう」

「だから、そういう意味合いでも出来ないって……」

「生徒がクラスメイトに馴染もうと努力している。それを教師は見て見ぬふりをするのでしょうか。その手段の規模が大きいからと言って、事情を知っているにも関わらず、今の自分の立場や学校内の均衡を保つために一人の生徒を見放す。何という社会至上主義だ。学校とはそういうものなのか」

「全く……好き勝手言いやがって。お前が森田に対して攻撃しない事は分かっているが、森田が拒絶するような声を聞けば、俺は面談室に乗り込むからな」

溜め息をつき、堂島はその場を去った。

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