生徒会と生徒会戦 その1
今日はいい天気だ…………
最高の勉強日和ってやつだな……
春臣と夜々木は別のクラスだけど上手くやってるかな?
……………たぶん大丈夫だろうな。
春臣は基本的に社交的で性癖さえ隠せば典型的な王子様の様な存在だし、夜々木だって意外とねこをかぶるのが上手だ。
…………………………今日はいい天気だな……
ちなみに俺は天気についてのコメントを休み時間に入ってから20回以上している。
何で俺がそんなしょうもない事ばっかり考えているかって?
簡単な話だ………………
話す相手が誰もいないのだ
別に俺はコミュ障じゃない………と思う
たぶん、きっと
けど俺がクラスメイトに話しかけると速攻で話を打ち切られる。
そして話しかけた相手は速攻で別のグループに行き、こちらを見ながらコソコソと話している。
ぶっちゃけ避けられているし、理由もわかる。
生徒会の腕章を付けているのがマズイ…………
完全に悪目立ちしている。
そりゃ……俺みたいなやつが入学した次の日に生徒会に入っていたら怪しむと思う。
名家の生まれでも、名の知れた魔法使いでもない。
ちなみに名家とは基本的に三つの家系を示しているらしい…………
雪姫
月光ヶ原
歪花
と、この三つが魔法界では有名な雪月花の御三家というやつらしい。
つまりあの悪魔の化身の様な畜生は、超が着くほどのお嬢様らしい。
…………話が逸れてしまった。
話し相手がいないと考え事が増えるな。
そんな思いにふけっていると話し声が耳に入った。
「ねぇ?あの腕章ってさ?」
「間違いねぇ……生徒会役員の腕章だぜ!!」
「入学した次の日に生徒会入りとか何者だよ?」
聞こえてますよー
ったくよー……人の気も知らないで………………そんなに腕章が気になるのかよ
呆れながら耳をすませるとクラスの至る所から、俺と生徒会の話がきこえる。
「何か違法な手段使ったのよ!」
「それか金でもつぎ込んだのかもな?」
「インポ野郎」
「実はすごい魔法が使えるのかもよ?」
「パッと見、そんなに大した奴ではなさそうだけど」
「クサレマゾヒスト」
「じゃあ一体どうやって生徒会に入ったんだよ?」
ま、確かに俺みたいなやつが生徒会に入れるってのは不自然だよな…
てかさ、何か悪口混じってるんだけど?
俺が寝たふりでもしようと思っていたら、坂本が話しかけてきた。
正直、今の俺と話してくれるのは彼くらいしかいない。
最初は軽くてチャラい奴だと思っていたがそんな事はなく、人を噂や外見で判断しないいい奴だ…………
「おお、クソマゾインポ野郎!調子はどうでござるか?」
「悪口言ってたのお前かよ!!!」
坂本にボディブローをかましながら叫んだ。
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本日の授業が終了しました。
結局、坂本以外のやつとはほとんど喋らなかった。
俺はさっさと荷物をまとめて教室を出る。
春臣と夜々木の所に行こう。
これ以上教室に居たくないし、生徒会室に3人で行く事になっている
昇降口で待っているという手段もあったが周囲の視線が思っていたよりキツイ…
なので2人のクラスまで直行する事にした。
周りの生徒達の視線に気付かないフリをしながら廊下をひたすら歩いていると、春臣達の教室の前で人だかりが出来ていた。
その人達の中心にいたのは春臣と夜々木の2人だった…………
何事だ?と思いながら近づいて行くと、春臣と夜々木の2人が他の生徒達に質問責めにあっていた。
「どうやって生徒会に入ったの?」だとか「2人はどういう関係?」だとか、他にも家柄や使える魔法について根掘り葉掘り聞かれているって感じだ…………
だが実際に春臣と夜々木は腕章が似合っているというか、俺みたいな怪しい感じがない。
美男美女だし話しかけて見たくなるのもわかる。
人だかりを静観していると2人も俺に気付いたようで
「こーちゃん!遅いよ!!」
「早く生徒会に行きましょう」
と、俺に向かって投げかけてきた。
当然周りの生徒たちも「3人目の役員か!」と俺の方を見たが、
全員が「コイツが生徒会役員?」みたいな顔をした。
何だこの対応の差は…………泣きそうなんだが…
俺は上を向きながら1人で生徒会室に向かった。