表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話:パンチラ少女、襲来

暇潰しに見ていただけたら嬉しいです。

 4月の風が新人生女子のパンチラを誘発させる今日この頃。


 ここ聖黒守セイントクロス学園高等部の屋上では決闘が行われようとしていた。


 それは青春学園モノの1コマであり、己のプライドをかけたガチンコ勝負であり、野球界に激震とざわめきをもたらしたりしなかったり……


 ちなみに、入学式の放課後の出来事である。


「一打席勝負!」


 パンチラを見事に誘発させる少女は対戦相手にルールを説明した。


「ルールは簡単!ピッチャーのボクが投げてバッターのキミが打つ……じゃなかった!打たれたら駄目だ!ボクがピッチャーでキミがバッター!ボクがキミを空振り三振にすればボクの勝ち!約束通りに野球部に入ってもらうよ!神鳴辰巳かみなりたつみ!!」


「あーはいはい。だが俺が打てば俺の勝ち。野球部には入らない……ふあぁ」


「ふっ、欠伸とは随分余裕だね。だけどね、その余裕もどこまで持つかな!」


 相手にとって不足無しとはこのこと。


 小波エミルは今日この日を待ち望んできた。


 目の前の対戦相手から勝利をもぎ取るために女を磨いてきた。


 死んだ魚の目をしたヤンキーと一緒に野球をするために腕を磨いてきた。


 一般生徒向けに開放された校舎の屋上にはマウンドはないが、パンチラ少女のエミルはセットアップに入る。


 もちろん、左手にはグローブをはめ込んでありボールは硬球。そして、キャッチャーにはモブメイトを座らせて本格的だ。


 遠慮なんかいらない。


 全力で三回投げるまでだ。


 イメージした仮想ピッチャーマウンドのプレートの1番右端から大股に足を開き、大きく腕を振りかぶり横殴りのサイドスローが対角線上にあるホームベースの左端へ狙いを定めた。


 エミルのクロスファイヤーは右バッターである決闘相手の視界からボールを消した。そのあと自慢のスライダーが突然現れたかのように飛び出し横切っていくだろう。


 モブメイトな素人キャッチャーじゃ捕れないほどの精度だ。


 汗水流し努力に努力に重ね闘志を燃やし貪欲に勝利をもぎ取るために身につけた必殺球だ。


 この必殺球を第一球目から投げて相手をけん制させる。自分はこんな球種を持っているのだ。どーだ、びびったか!と威嚇する効果もあるだろうに。


 さらに、パンチラは計算されて誘発したものである。


 今日は勝負下着を履いてきた。黒だ。


 パンチラに気に取られて本気のクロスファイヤーに火が点いて負ける要素は見当たらなかった。


 そう、思春期真っ盛りな健全な一般かつ平凡な高校球児が相手なら。


「ふわぁ、眠みぃ……」


「そんなバカなっ!!ボクのパンチラが効いてないだと……ッ!??」


 カキーン!


 死んだ魚の目をしたヤンキーは欠伸をしながら、エミルの本気を打ち砕いてみせてた。


 キレイな放物線を描き、エミルを完全敗北の四文字を叩きつけるのに十分であった。


 数秒後、どこかで何かがパリンと割れる音がした。


「あ、あははー……」


「「………」」


 今日も聖黒守学園の屋上に風が吹く。


 しかし、少女のパンチラはもうすでに勢いをなくしてしまった。

基本短めです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ