第五十・五話(スピンオフ) 「畑の会議・議事録編」
世界が揺れている最中。
なぜか畑の横に“会議室”が建っていた。
しかも木造。
やけに落ち着く作り。
◇
中には机がある。
椅子がある。
そしてホワイトボードがある。
書かれている文字はこうだった。
『世界揺らぎ対策・臨時会議』
フィオが座りながら言う。
「もう何でもありだね」
リゼも頷く。
「会議多すぎる世界って終わってる」
ゼルは机に突っ伏す。
「前回の会議から5分も経ってない気がする」
ソレアは冷静。
『時間感覚はもう壊れてる』
◇
レインは普通に座っている。
鍬は当然のように隣に置かれている。
「で、今回の議題は?」
その瞬間。
扉が開く。
世界ちゃん登場。
「議題はこれです!」
ホワイトボードに書き込む。
『現状まとめ(最新)』
空に裂け目あり
管理者は観測中
外側存在も干渉中
レインは原因であり観測対象であり農民
フィオ。
「最後おかしくない?」
世界ちゃんは即答。
「全部正しいので問題ありません!」
◇
リゼが手を挙げる。
「そもそもさ」
「これってどう終わるの?」
沈黙。
世界ちゃんは一瞬固まる。
そして。
「未定です!」
元気だった。
◇
ゼルが机を叩く。
「正直に言うな!!」
ソレアがため息。
『一番やばい情報だそれ』
◇
その時。
会議室の窓の外。
畑の“世界の木”が見える。
ゆっくりと揺れている。
そこに。
新しい枝が一本増えた。
その枝には札がついている。
『スピンオフ領域』
フィオが固まる。
「え?」
リゼが小声。
「え?」
ゼルが机に突っ伏す。
「もうやだこの世界」
◇
レインは札を見て一言。
「増えたな」
世界ちゃんが嬉しそうに言う。
「はい!新機能です!」
ソレアが低く言う。
『機能じゃない』
『事故だ』
◇
世界ちゃんはホワイトボードを更新する。
『今後の方針』
観測継続
保留維持
畑の拡張
スピンオフ増殖(予定)
フィオ。
「4いる?」
世界ちゃん。
「楽しいので!」
◇
沈黙。
レインは鍬を肩に乗せる。
「まあいいや」
「畑増えるなら」
ソレアが呟く。
『完全に壊れてるのに、成立してるのが一番怖い』
◇
窓の外では。
畑が少しずつ広がっている。
空の裂け目はそのまま。
管理者の目もそのまま。
でも。
会議だけがやけに平和だった。




