魔法使いは知りたがり(中編)
第7話
前回のあらすじ
ソーマが憧れを抱いて冒険者ギルドの扉を叩いたら、無視された
「はは…はははは…ははははははw」
冒険者ギルド アルカディオ ランサリア支部の右下側の隅っこでソーマは笑っていた
「どしたん?はなしきこか~?」
「どうしたんですか?壊れた人形みたいになって、あなたみたいな人が人形になったところでサンドバック以外の需要はありませんよ。ゼノス様のラ○ドールは最高ですけど。」
「………は?おまえを蝋人形にしてやろうか?」
「蝋ではなく魚で包んで○体盛りにしてみるのはどうでしょうか?」
「ホオジロザメを釣る生き餌にしてやるよ。」
ちらっとソーマを見るゼノスとサバト
しかし、返事も反応もない
ただの生きた屍のようだ
ちなみに二人はソーマよりも早くギルドに来ていた
「……………重傷だな。」
「……………重傷ですね。ちなみに私も重傷で治療のためにゼノス様の○液がいるのですがいただいてもよろしいですか?」
「あなたの病気は救えません。安楽死をおすすめします。」
「ゼノス様をテク○ブレイクさせてから安楽死で後を追いますね。」
「安楽死より死刑がお望みのようだな。」
「読者そっちのけで下ネタ漫才やってんじゃねーぞこらあ…!」
「「あ、生き返った。」」
「復活の呪文ってテク○ブレイクだったんですね。」
「俺はお前のヘッドをブレイクしたいよ。」
「脳○キしたいってことですか?今夜オ○サポASMR立体音響でお届けしてあげますね。」
「おまえの心臓が握りつぶされる音を4DXでお届けしてやるよ。」
「おまえらもうしゃべんな。」
酷すぎる復活の呪文でソーマ
息を吹き返す
「んで…まじでどしたんソーマくん?」
「いや、ははは、なんというかほら…僕この物語で勇者って呼ばれてるじゃないですか?」
ゼノスとサバトがキョトンした顔をする
「…なに言ってんの?」
「自分のことを勇者と思ってるとか、三十歳超えても童貞のおっさん並みに恥ずかしいですよ。ゼノス様は今夜私に○下ろしされて童貞を卒業しますけど。」
「おまえは人生を卒業することになるけどな。」
「下ネタ殺人漫才流行ってんですか?周りの人が噂してるのでやめてください。」
小声でしゃべっているわけではないので当然周りに聞こえており、こちらを見ながらひそひそと話しているグループが二個くらいあった。
「大丈夫ですよ。この世界の住民が現代世界の単語を理解できているはずがありません。なので、皆様にゼノス様と私の関係はセ○レだと教えていいですか?」
「うるさいぞ黙ってろメイド。安心しろソーマくん、どうやら"そういう目"で見られてはいないらしい。…はあ、めんどくさい事になりそうだな。」
ゼノスがため息をつく
「え、ひそひそ声聞こえるんですか!?さすが神!」
神は聴力が優れているらしい
「バカッ!でかい声を出すな!…で、勇者がなんだって?」
「あの…僕この世界に転生する時にアナさんから、あなたは勇者として生まれ変わりますって教えられたんですよ。生活に困らないように普通の人より強い人間にするんだ〜って…。」
「普通の人より強い…人間?……アナライズ。」
「ん?今何かしました?」
一瞬だが、ゼノス様の目が光った気がした
「いや、続けてくれ。それで?」
「それで…自分正直調子乗ってたんです。勇者のことはよく分かんないけど、勇者って存在に生まれ変わって異世界に来て…これから大いなる物語が始まるんだ…的な?そんなことを考えていたんですけど…何か思ってたんと違うなって…いろいろと。」
ソーマは、今までに自分に起きた出来事を振り返り完全に心が折れていた。
冒険開始直後に雷神が地面に突き刺さっていたこと、雷神が呼び出したのが何故かメイドでめっちゃ下ネタを連呼するノンデリだったこと。初めて来た街ではメイドが門番をどうでもいい理由で怒鳴り、所持金を全て奪われたこと。励ましてくれた女性は自分の体目当てで、そこら中から性的な視線を向けられたこと。憧れの冒険者ギルドの扉を開けても、誰も眼を向けてくれなかったこと。
どれも自分が現代世界のゲームなどで見た異世界ファンタジーの展開とは、勇者の物語とは余りにもかけ離れている現実に打ちひしがれていた。
「ん〜…なるほどねえ…。何か、いろいろごめん。半分は俺たちのせいだな。」
ゼノスが申し訳なさそうな顔をする。
「もう半分はソーマ様自身のせいですけどね。」
「おい、死体蹴りやめろ。人の心とかないんか。」
「ゼノス様に対するスケベ心しか持っていません。」
「祓われろ特級呪霊。……あ。」
ソーマが歪んだ目で自分たちを見ていることに気づくゼノン
「ゼノス様は良いですよね。いつでもどこでも漫才ができる相手がいて、きっといつも楽しくてテンション下がるなんてこと無いんだろうなあ…。」
「いや…別にそんなことは無いんだが…。ふう…困ったなこりゃ…。」
困惑するゼノス
「レ◯プ目になってどうしたんですか?ケツでも掘られました?」
ぷくくっとサバトが微笑しながら言う
「お前は地面に埋まって二度と出てくるな!もっと優しくしてあげて!17歳の思春期なんだぞ!繊細な時期なの!!」
「ゼノス様より年上じゃないですか。なのに下らない理由で勝手に落ち込んで、なんてみっともないのでしょうね。恥を知りなさいこの木偶の坊。」
「バカ!思春期に歳は関係ないの!俺等と関わったからソーマくんは王道ファンタジー路線から外れたんだぞ!ちったあ反省しろノンデリ駄目イド!」
「はじめからこの作品はゼノス様と私のエロラブコメディです。このモブ木偶の坊が目立つことなんてありえません。漫画の1コマの端っこに背中だけ写ってるようなキャラですよコイツ。」
「バリバリの主人公ですけど!?神に特別扱いされて、さらに悲しい過去も持ってる王道主人公だよ!◯ャンプでも充分やっていけるレベルだよ!つーかさっき黙ってろって言ったよな!命令違反だぞ!」
「ゼノス様にとって私はただ黙って言うことを聞くだけの道具ですか?」
「あ?何論点ずらしてんだ?お前は家族だろ。」
「…………。」
ゼノスの言葉の後、少しの静寂が訪れた。その時、サバトの目は瞳孔が開いていた
「…大体お前はな、思ったことを言い過ぎ…」
呆れたゼノスがサバトへ説教を始める
その光景を見て、ソーマは何だか悲しくなってきた
神のメイドとはいえ女の子に木偶の坊と馬鹿にされ、神とはいえ年下の男の子に気を使ってもらった挙句、フォローされてしまっている
ていうか神に気を使わせるって、人間としてやっちゃアウトなことではないか?
金が無くなって落ち込んで、誰にも見てもらえなかったからってさらに落ち込んで…落ち込んでばっかりじゃないか?
サバトが怒るのは至極当然で全部自分が悪いんじゃないのか?
そんなことを考えてしまって、何だか涙腺が熱くなってきたことを感じるソーマ
「………うう…ぐす…(泣)」
「…ええ!?泣いてんの!?ウッソマジか!!?」
泣いてしまったソーマを見てゼノスが驚愕する
「泣くんですか?泣くんですね?泣けばいいと思ってるんですね?ゼノス様は泣いている者への対応が一番苦手なので困らせないでください。ゼノス様の前で泣いていいのは、ゼノス様に愛の告白をされて嬉し涙を流す私だけです。」
「お前が流すのは俺にフラレて流す悲しみの涙だけだ。ソーマくんを追い詰めるな。」
「うう…ひっぐ…ぐっす…(泣)ごめんなさい…ごめんなさい…(泣)」
さらに泣いてしまうソーマ、泣くだけでなく謝り始めた
「ああああ…もう…あの、全然謝んなくたっていいんだよ…。よしよし…。泣かないで〜…。」
苦笑いしながら優しくソーマの頭を撫でてあげるゼノス
「あ!ズル!!ズルいですゼノス様!私もよしよししてください!ディープキスしながらしゅきしゅき囁いてよしよししてください!」
「どんなよしよし!?もうホント黙れ!殴るぞ!!」
「親父にもぶたれたことないのに!?私DVは流石に◯けないのでやめてください!!暴力は悪いことです!」
「殴って何故悪い!俺が一番うまくお前を殴れるんだ!君が泣くまで!殴るのをやめない!!」
拳をギュッと握りしめるゼノス
「な!!何だってえ!!?」
ドゥギュウウウウウウウウウウウン!!
という謎の効果音と文字が、驚いたサバトの周囲に現れた気がした
「HEEEEYYYY(泣)!!!」
ソーマがさらに号泣する、奇声をあげ始めた
「ああああ!!こっちは◯シディシかよ!!どうしてこんなことに!?どうして俺がこんな負け犬みたいな台詞吐かなきゃならんのだ!!」
「ソーマさんに話しかけた時点で最初から負け犬ムードだったようですね。ドイツの科学力で黙らせましょうか?」
サバトが右手で銃のジェスチャーをする
「世界一の科学力で今すぐお前の口を塞ぎたいよ。」
「キスしたら塞げますので世界一のキスをお願いします少佐。」
目をつむり唇を突き出しキス待ちの姿勢をとるサバト
「テレポート。」
その瞬間、サバトの姿がその場から消えた
「一回家に帰って頭冷やしてこい駄目イドが…。さて、大丈夫だよ〜…泣かなくていいんだよ〜。いろんなことあって辛かったよね。大変だったよね。ぜ〜んぶ話して楽になりな〜?」
不出来な苦笑いでソーマを励ますゼノス
「うう…すいません…ごめんなさい…僕なんかと関わったせいでこんなことになっちゃってえ…神様に気を使わせるなんて、なんて駄目な人間なんだ僕は…。」
泣きながら自分を責めるソーマ
「いやいや良いんだよう〜…いくらでも迷惑かけていいのさ、人間だもの。それに俺の方がよっぽど駄目な生活送ってるよ。毎日ゲームで遊んでは漫画読んでぐーたらしてるだけなんだぜ。ソーマくん頑張ってる!これから王道ファンタジーに路線修整していこう!大丈夫!アナ姐が言ったことは間違ってないから!ソーマくんは勇者っていう人間の変異体で特別な存在だから!!」
「……え?変異体…?何それ?」
聞き慣れない言葉に興味を示すソーマ
「お!興味ある〜?めっちゃかっこいい設定背負ってっから中二病に目覚める覚悟決めて話聞けよう〜?」
「……!!」
コクコクと首を頷いて両目を羨望で輝かせるソーマ
「ようっし〜!じゃあ話すよ。始まりは今から220年前、異世界から悪魔と魔族と魔物がやってきて人間たちと戦争を…」
その時、二人の間にひょこっと小さい頭がどこからともなく生えてきた
「面白そうなこと話してるね君たち!僕にも聞かせてくれない?」
ゼノスの話に割って入ってきたのは、小柄で黒髪の、紫の瞳をした美少年だった
「……え?どうして俺たちのところにリア充が?さっきまでギルドの奥で人に囲まれてキャッキャウフフしてたよな?」
「……え?もしかして僕がギルドに入って一歩目で全無視喰らったのって、このショタが注目を集めていたからだったの…!?」
それぞれの理由で驚くゼノスとソーマ
「リア充?…キャッキャウフフ…??…ショタ…???ねえ?その言葉なに?初めて聞いたんだけど君たちが作った造語?それとも……?」
美少年がゼノスの瞳をじっと見ながら質問する。
「……?おい…何してる?」
不思議な感覚を覚え警戒するゼノス
「……へえ…抵抗できるんだ…。」
そうつぶやくとその後、美少年はソーマの瞳をじっと見つめてさらにつぶやく
「その造語って、君たちの世界の言葉なの?ソーマくん?」
「………ああそうだよ。あの言葉はこの世界とは違う異世界の言葉で…」
感情があまりこもってない言葉で回答するソーマ
「あ…!バカ!!しゃべるな!!!」
「あっはあw早速見つけた!!僕の知らない知識の宝庫!!ジャンプ!」
そう言った瞬間、ソーマと美少年の姿がその場から消えた
「!?」
驚くゼノス
今のは空間転移…!対象はおそらく自分と視認した物!よって魔法の名前は空間魔法!
種族は見た目からしておそらく人間、この魔法が使える人間は…!
「くっそあのガキ…!神族か!!人間界にはあの女がいないから探知切ってて気づかなかった!」
バタン!っとギルドの扉を強く叩きながら外に出るゼノス
「待ってろソーマくん!今探知で見つけてや…」
「遂に私を探す決心をしてくださったのですねゼノン様。見つけてもらいたくて見つけられに来ました。姫を見つけたので後は宿屋でお楽しみタイムですね。店主にベッドがギシギシ揺れ動く音を聞かせてやりましょう。」
ゼノスの言葉をまたも遮ったのは、転移して帰ってきたサバトだった
「……………。」
「どうしたんですかゼノス様。いつもの冷たいツッコミは無しですか?私は何時でもゼノス様に熱い棒を突っ込んでもらいたいのですが。」
珍しくツッコミのなかったサバトがさらにボケながら質問する
「……俺の言葉を遮んじゃねえよう!話ちゃんと聞いてよう!!?(泣)」
その場でいきなり何故か泣き出すゼノス
「あらあらまあまあ…。ゼノス様メンブレ状態になってしまわれたのですね。これはいけない!」
そう言うとサバトはゼノスを抱きしめた
「よ〜しよちよちよちよち。お話聞いてもらえなくて悲ちかったでしゅね〜。サバトママが来たので、もう大丈夫でちゅよ〜。すんすん…ヤッベ、ゼノ吸いたまんね。ジャスミンみたいな匂いがします。この状態でしか抱きつけないから貴重なんですよねえ。一体誰ですかゼノス様の言葉を遮りこんな状態にした不届き者は!名誉を与えます!」
赤子をなだめるような言葉使いで、ゼノスの頭を撫でたり吸ったりほっぺをまさぐるサバト
周囲の人間は当然訝しんだ
「それお姉ちゃんだよね。」
「………。」
サバトの怪行動を見ていた少年がツッコミを入れる
「それお姉ちゃ…」
「お黙りなさい未だ○通もしていないジャリガキが!ゼノス様と私の赤ちゃんプレイはR18なんですよ!未成年はママと赤ちゃんごっこでもしてなさい!!」
「???」
人生6年、今まで周りの馬鹿な兄弟のように、親から怒られたくなくて正直に賢く生きてきた少年ヒロユッキ、初めて逆ギレでキレられる。なお、キレられた内容や理由は全く理解できなかった
後にヒロユキはこの時の経験から、逆ギレする人間こそ最も愚かな人間と考え論破する力を習得、ランサリアの論破王として名を轟かせる
口癖は、「それって、あなたの感想ですよね」である
一方そのころ
「ああ…ああああ……。」
「ぐへへ…ぐへへへ…ねえねえ頂戴…。君の大事なモノ…全部僕の中にブチ込んでえ!!」
どこかの部屋に転移していたソーマは、美少年に追い込まれていた
ソーマはこれから美少年に何をされてしまうのか!
ナニをされてしまうのか!!
ショタがイケメンを責めてしまうのか!?ショタイケだと!
個人的には…あり寄りのあり!!
失礼、語り部の感情が熱盛りになってしまいました
次回に続く
ランサリアは、今日も平和です。
第8話魔法使いは知りたがり(後編)」に続く




