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魔法使いとトラウマと(前編)

第6話

死んでしまったお父さん、お母さん

今も生きていることを願うおじいちゃん、おばあちゃん

こんにちは、寿壮真(コトブキソーマ)です。

前回雷神ゼノス様とそのお付きのメイドサバトさんと冒険者の街ランサリアへ訪れて所持金を全て失いました。

お金が無いってこんなに悲しいことなんだって学ぶことができました。

家族へ、お小遣いと生活資金を僕にくれてありがとう。

さて、お金への感謝を覚えた僕ですが、今…

「ねえねえねえねえ!異世界ってなあに?この世界とは異なる世界ってことだよねえ!?君って悪魔?人魔対戦の時にこの世界にやってきた悪魔なの?ねえ教えて!知りたいの!僕が知らない君が知っている知識が!!お金ならいくらでもあげるから教えてえ!!!!」

ショタに大量のお金を積まれています

そこには、ジャラジャラと音を立てながら大量の白金貨をソーマに見せつける少年とドン引きするソーマの姿があった。

何故、こんなことになったのか?

それは三時間前

「……はああ…まさか冒険の第一歩で所持金全額失くすとはなあ…世の中世知辛すぎるよう…」

先程、ランサリアへ入る際にゼノンとサバトの分まで金を支払い、所持金が失くなりソーマは途方にくれていた

「すごい…いろんな屋台がたくさん並んでる…。

んん…いい匂いがするなあ…現代世界だと、焼き鳥?に近い香ばしい匂いがする。食べたいなあ…。でもなあ…はは…金がねえ…。」

無力、金が無ければ食事も満足に出来ない

ソーマは己の無力さに落胆していた

このまま腹を空かせてのらりくらりとゼノスとサバトを探すつもりだった

しかし、周りの者は彼を放っていかなかった

それはなぜか?

「へ~いそこのイケメンボーイ!」

ドンっと背中を後ろから叩かれるソーマ

「ひゃい!?だ、誰!?」

後ろを振り向くとそこには長身の女性がいた

「うっわw反応かわいい~wちょっとゾクっとしちゃったあ~w」

けらけらと笑う女性

「アンタ、名前は?アタシフレイア。」

「僕は、ソーマです。」

「ソーマ…いい名前じゃんw」

「あ、あの、僕になにか用ですか?」

「ん~…そうだねえ、用は…確かにあるねえ。」

「はあ、なんの用でしょうか?生憎今ちょっと手持ちがなくて、お金関係の頼みだったら申し訳ないけど聞けません。ごめんなさい。」

「あははwなんでアンタが謝んのさw意味わかんないwアンタ相当変わってるねえ…お姉さん気に入っちゃった…♡」

その時、ソーマはゾクッとした悪寒を感じた

なんだこれ…この感覚…感じたことがある…?

「アンタさあ、お金欲しいんでしょ?」

「え、ああ、はい!欲しいですね!ここの屋台にある食べ物を食べてみたいなあって思ってたんですがそれができなくて自分の無力を嘆いていたんですようw」

「あっはwなんそれw働けしw成人した男なんだから頑張って働かなきゃダメだぞ~マジでw」

「……はははwそっすよねえwほんとそれですそれですw」

…そっか、そうだよな、働けばいいんだよ!大金の金貨を失った虚無感ですっかり抜けてた!無一文なら、体を使って稼げばいいんだ!

冒険者として薬草採取や、魔獣や魔物の討伐!稼ぐ手段はなんだってある!

「ありがとうお姉さん!僕目が覚めたよ!」

目が覚めて嬉しさの余り、フレイアの手を握るソーマ

「ああ!ごめんなさい!手握っちゃって!嬉しくて…つい…!」

「え…ああ!いいんだよいいんだよ。落ち込みが治って良かったね!」

「……!!」

ソーマは嬉しかった

現代世界で、神様に雷を直撃させられてこの世界に転生、転生直後に愚痴ばかり言う神様&ノンデリイカれメイドと同行することになり、そのせいで金を全て失った

ぶっちゃけ不幸続きだった

その時に明るい言葉を貰い、共に笑い合うことができて、暗かった思考も明るく吹き飛んだ

だから嬉しかった

「じゃあ僕!今から冒険者ギルドに行ってきますね!働いてきます!」

これから異世界の定番!冒険者としての活動が待っている!ここから始めよう!一から……いいや!ゼロから!!

心のなかで現代世界のアニメのテーマソングが流れている気がする

「ちょっと待って~!」

「…………え?」

「別にい、冒険者ギルドになんか行かなくてもう…今すぐ大金を稼げるいい話があるのよねえ?」

ゾクッゾクッ

また、同じ悪寒が電流のように首筋に流れる

「それって…一体…どんな話なんですか…?」

「ああ、そんなに警戒しないでw犯罪とか危険なことはしないから!むしろう…すっごく簡単でえ…気持ちいいんだよう…♡」

ゾクゾクゾクゾクッ

悪寒がどんどん酷くなる

そして気付く、この悪寒の正体が自分を外部の危険から護る"警報"なのだと

「……!?」

瞬間、今までで一番強力な電流がソーマに流れ警報が鳴り響いた

「ねえソーマ♡アタシと…一発○んない?」

「お断りしまあああああああああああああああああああああああああああす!!!!!!!」

その言葉をいい放った直後、全速力でフレイアから逃げた

もう一度、先程の問いを繰り返そう

周りの者はなぜ彼を放っていかなかったのか?

「ああ!ちょっと!?どこ行くのよ!?…ああ…クソ…エルフの男並みにめっちゃイケメンだから抱かれたかったのに…ちぇっ!」

理由は明白!彼がこの世界において、

めっちゃイケメンだったからである!

こんのくそったれが!!

ええ…ごほんごほん…失礼

物語を再開しよう

「はあはあ…あれだ…あの目だ!雷に撃たれた時にきっと頭が壊れて忘れていたんだ!今…思い出した!」

その時、幸か不幸か彼が現代世界で身につけた第六感が蘇った。

ゾクッ

ゾクゾクゾクッ

ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクッ

「!!?」

…視られている…!

あらゆる方向から…あらゆる者に…視られている!!

彼は、自分に向けられるあらゆる「視線」、特に「性的な視線」を感じ取れる特殊能力があるのだ

「!?」

警報が発せられる方向を確認する、全速力でフレイアから逃げてきたせいもあるが、今、彼はあらゆる方向から視られていた

肉屋の親父、果物屋の隅でお菓子を食べている少年少女、そして特に強い眼を向けるのは、そこら中にいる女たちである。

「ここいちゃまずい…ここにいたら…!!」

ソーマはまた全速力でそこから逃げた

その場にいたら警報で体がどうにかなってしまいそうだからだ

ソーマが逃げ回っている間にこの世界の知識をいくつか教えよう。このオルフィリア大陸に存在する、王国を築いている代表的な種族は7つある

人間(ヒューマン)

(ドラゴン)/龍人(ドラゴニュート)

・エルフ

・ドワーフ

獣人(ビースト)

吸血鬼(ヴァンパイア)

魔族(デーモン)

人間の世界ができて1820年

種族の恋愛観も発達し昔とは違い、強さだけでなく見た目も重要になっている。

この世界で一般的な美しい容姿を持っているのはエルフである。

長命で容姿端麗、しかも老いが表面上に現れにくいエルフは、人間にとって美の象徴とされる生物であり、その美しさは数多くの絵画、書物で表現されておりドワーフ以外の種族は全て、特に女性はエルフの容姿に憧れと好意を抱いているのである。

エルフの外見的特徴は容姿端麗で身長と耳が長く、金髪と緑の瞳を持つ者が多い

ソーマも186cmの長身で容姿端麗、金髪で緑の瞳を持っている

一言でまとめると

見た目がほぼエルフなのである

しかも、騎士の王国レオンハートとエルフの王国ユグドライアは国交があり、たまにユグドライアから何人か使者や観光客がくることがあり実物のエルフを見たことがある人が多い

そのため、他の国よりもエルフへの好意が強くソーマへの熱視線が止められないのである

さて、ソーマもそろそろ走り疲れたろうから話を本筋に戻そう

「はあ…はあ…はあ…はあ!!」

ソーマは息の続く限り走りつづけた

警報から逃げるために、そして目的の場所を探すために

そして、目的の場所に辿り着いた

「見つけた…冒険者ギルド…!」

そこには大きな文字で

冒険者ギルド アルカディオ ランサリア支部

と書かれている

「ううん…まだびりびり感じる…思い出したばかりだから感度が常に最大出力になってる…昔みたいにコントロール出来るようにならないと…でもまずは…!」

"扉"の前に立つ

まさか自分がこの扉をくぐることになるとは思っても見なかった…

冒険者ギルドの扉…!

この扉を開け中に足を踏み入れた瞬間から冒険者人生が始まる!

異世界ファンタジーの物語が始まるんだ!

「きっと、開けたら目立つんだろうなあ僕…さっきの市場みたいに…視線が来るのは嫌だなあ…定番の初心者いびりとかされちゃうかも…はあ~…嫌だけどされてみたい~…ふーふーふー…」

「…お母さん?あの人なんでギルドのドアの前でゴニョゴニョ言っているの?」

「こら!見ちゃいけません!将来あんな人になるよ!まったく、何をしてるんだが気持ちわ…あらやだ…めっちゃイケメンじゃない♡」

「……ママ!見ちゃダメだよ!あの人になっちゃうよ!!」

「いいじゃない♡もうちょっと見ていましょうよ♡はあ…うちの旦那もあれくらいかっこよけりゃあねえ…」

「…ママがパパの悪口言ってる!何かされたんだ!!…まさか…呪文詠唱!?悪魔の使いか!?」

ソーマの知らないところで彼を好きな人と嫌いな人が1人ずつ増えた。

「よし!よし!!よし!!!開けるぞ!頼もー!とかは言わないで普通に開けるぞ!開けたあ!!」

ギイっとドアが開けられ、力強く前進し、ギルドの中へ足を踏み入れた

ソーマは自身に向けられる視線を初手警戒してがその警戒は無意味だったとすぐ知ることになる

なぜならば、ギルド内にいる誰も、入ってきたソーマのことなど眼中に無かったからである。

「………あっれ~…?」

異世界人コトブキソーマ

憧れの冒険者ギルドに足を踏み入れ最初に放った言葉は、…あっれ…~?

という、おそらく全冒険者の中で一番ダサい言葉となった。

ソーマは無事冒険者ギルドで冒険者をできるのか!この話の冒頭の少年は一体何者なのか!?

なぜ前後編とわけたのか!?

次回で全てわかったりわからなかったりする!

ランサリアは、今日も平和です

第7話「魔法使いとトラウマと(後編)」に続く

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