12.王国の危機です!!
生徒会メンバーとの交流を通して、エレノアの学園生活は充実していた。
しかし、その平穏は長くは続かなかった。
王国全土で、植物が次々と枯れていくという「大地の病」が発生したのだ。
最初は辺境の村で確認された現象だったが、瞬く間に王都にまで広がり、王宮の庭園やユニティ魔法学園の敷地内の植物までもが、見るも無残な姿になっていった。
魔法管理局が調査しても原因は不明。魔力を持った植物だけでなく、普通の草木や農作物までが枯れていくという異常事態に、王国中がパニックに陥っていた。
「このままでは、食糧危機になる……!」
生徒会室に集まったフェリックスたちは、深刻な面持ちで話し合っていた。
フェリックスは、王族として民を救う責任を感じ、焦燥に駆られていた。
クロードは、国の財政が破綻しかねないと危惧し、合理的な解決策を見つけようと必死になっていた。
ライエルは、王国の秩序が乱れていくことに憤りを感じ、解決策を模索していた。
ノアは、この現象を「興味深い」と呟きながら、古文書から手がかりを探していた。
その中で、エレノアだけが、異変の「声」を聞いていた。
「土が……苦しんでいます。精霊たちの声が聞こえないくらい……」
エレノアが触れる土は、まるで熱を出したかのように、乾いてひび割れていた。
彼女の加護も、いつもより弱くなっているように感じる。
生徒会メンバーは、エレノアの言葉に半信半疑だったが、王家の庭園を蘇らせた彼女の力を思い出し、最後の望みを託すことにした。
フェリックスに連れられ、王国の中心にある「聖なる大樹」のもとへ向かったエレノア。
そこは、王家の魔力の源であり、王国の豊穣を司る場所だった。
しかし、大樹はすっかり葉を落とし、まるで枯れ木のように立っている。
エレノアが震える手で大樹の根元に触れると、彼女の耳に、精霊たちの悲鳴が響き渡った。
「私たちの……声が……届かない……」
原因は、王国の土から「精霊の力」が急速に失われていることだった。
精霊の力を取り戻さなければ、王国は滅びてしまう。
エレノアの加護は、精霊と直接対話できる唯一の力だった。
しかし、この巨大な問題を前に、彼女の力はあまりにも小さすぎた。
「どうすればいいの……」
エレノアは、なすすべもなく大樹にもたれかかった。
その時、フェリックスが優しくエレノアの肩を抱き、クロードとライエル、そしてノアが彼女の周りに集まってきた。
「君一人で抱え込む必要はない」
フェリックスの温かい言葉に、エレノアは顔を上げる。
「君の力は、我々が守る」
クロードが冷静に言い放つ。
「規律を守るために、私は貴女の盾になろう」
ライエルの目に、強い決意が宿る。
「君の力を、僕の理論で最大限に引き出す」
ノアが、真剣な眼差しでエレノアを見つめる。
生徒会メンバーは、エレノアという存在が、この問題を解決する唯一の希望であることを理解していた。
「エレノア、君の力を、僕たちに預けてくれないか?」
フェリックスの言葉に、エレノアは力強く頷いた。
彼女の小さな加護が、王国全体を救う鍵となる。
そして、エレノアと生徒会メンバーの絆が試される、最後の戦いが、今、始まろうとしていた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
少しでもエレノアたちの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。
次回は、ソフィアとの友情が深まる場面が描かれる予定です。お楽しみに!
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