表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末から来た男  作者: 北田 龍一
第八章 海上編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

769/769

在り処

前回のあらすじ


機械かしたゴブリン、サイボーグゴブリンは、ゴブリンらしさが欠落していたらしい。しかし同時に、その背後に『誰かの悪意』が滲んでいたとも海賊は証言する。どうやら……処置をする特殊な領域内から、遠隔でゴブリン共を操作している『誰か』がいる可能性が高そうだ。

『新型の悪魔の遺産』を生産し、ゴブリンをサイボーグ化し、海賊に『処置』を施している何者か……地球の知識や発想のある何者かの所業は、目的は不明瞭だが悪意だけは明確だ。あの武器を量産しておきながら、安価に海賊へ提供している時点で……平和的な発想で事を進めているとは考えにくい。

 そこでふと気になった。目の前に協力的な海賊が居るので、試しに質問してみるとする。


「これも想像で答えてもらって構わないが……最初に『ゴブリン島』を発見したのがお主ら『ルーフェ海賊団』で無かったとしたら? 例えば別の海賊団だったとしてら、サイボーグのゴブリン共は協力したか?」

「した……と思う。あんまり拘っている感じはしなかった。縁があったとか、そういうんじゃないし……」

「誰でも良かった……そういう事かいな」

「多分。ドンパチやって、最初に漂流した奴なら……あぁでも、海賊に限定しているかも。確か『なんでこんな武器を提供してくれんの?』って質問したら『新技術を試して欲しい』みたいな事言ってたし」


 これはもしもの話なので、絶対的な正解はない。けれど対面し、何度か交流した上でなら、想像力を働かられる。相手方の回答が建前の可能性もあるが……この内容であれば『テストしてくれるなら誰でも良かった』とも解釈できる。

 つまり――新型を使って、使用者やその組織が周囲を荒らしても別に構わなかった。荒らす奴でさえ誰でも良かった。これでは……


「……隠れ蓑にされたな。お主らの海賊団は」

「え?」

「やな。どう見たって上手い事使われとる。もうわかっとると思うけど、わいら私掠船は新型を追っとる。てっきりルーフェ海賊団連中が、新型を開発したんやと思っとったが……これやと仮に海賊団を撃滅した所で、別の奴が『ゴブリン島』に上陸したら同じことが起きてまう」

「この近辺の治安の悪化が狙いか……さらなる計画があるのか……何にせよ、島を叩く必要がありそうじゃな」


 間違いなく、今回の事件の元凶は『ゴブリン島』にある。伝説の島で、悪意をばらまく誰かがいる。今までの緩めな口調を引っ込めて、厳粛なる声で晴嵐が詰問した。


「一番重要な事を聞こう――ゴブリン島はどこだ?」


 悪意の震源地……その在り処を問う。誤魔化しを許さぬと冷たく睨むが、海賊は苦し気に俯いた。


「……分からない」

「あ?」

「は? ふざけんなよお前!? 指一本折っとくか⁈ アァン⁉」


 ギリギリで我慢した晴嵐を横目に、ヒルアントはブチ切れていた。気持ちは分かるが、暴力は控えろとレオに言われていたはずだが……この恫喝はセーフなのか? 胸倉を掴まれた海賊は、慌てて釈明した。


「落ち着けって! 話したいけど話せないんだ!」

「何度も上陸しといてンなワケあるかいな! ライフストーンの地図で――」

「載ってないだよ! ゴブリン島のある場所は何もない海なんだ! そもそも地図を見て上陸できるなら、伝説の島になってないだろ⁉」


 必死に弁明する相手に、ヒルアントは全く緩まない。胸倉を掴んだまま目を逸らさずに、嘘を言うなと詰め寄っている。しばらく沈黙していたが、発言を撤回する様子はない。しかし信じ切る事も難しく……晴嵐もキツい口調で問い詰めた。


「じゃったらどうやって、もう一度『ゴブリン島』に向かうんじゃ? 一度見失ったら二度と上陸できんだろ」

「『処置』した人が案内するんだ」

「なんやと……? 確か幹部格や腕の良い奴が『新型を使う処置』するんやったな。そいつら航海士なんか?」

「いや。違う。俺と同じような役職か、銃撃が得意な奴が多い。中にはちょっと学のある人もいたけど……全体で見れば少数派だったと思う」

「オイオイオイオイ!?」


 晴嵐は航海については素人で、これが如何に狂った事かを理解できていない。しかし業界で長いヒルアントは即座に反応した。


「ンな馬鹿な事があるかい‼ 昔は海図があっても方角を見失ったり、自分の船の座標を見失うのがザラやったんやで!? ポッと出の素人が、地図に無い島に何度もたどり着けるなんてありえん‼ そもそも『新型』を使うための処置やったんやろ⁉」

「そのはずだ。なのに……あいつらどんな場所からでも、島の位置が分かってたんだ。共鳴石も置いてないし、それどころか……ライフストーンも使っちゃいない!」

「はああぁあああ!? なんやそれ⁉ まさか、頭の中に直接呼びつけられたとか言い出すんやないやろうな⁉」

「分かんねぇよ! でも……これら全部ひっくるめて、不気味で仕方ねぇだろ⁉」


 もしも海賊の男に自由があれば、ここで取っ組み合いの喧嘩に発展しただろう。そうでなくとも、ヒルアントが一発ブチ込みそうな気配がある。だが――

 だが――晴嵐はそれどころでは無かった。今のヒルアントの一言で、ある可能性に思い至ってしまったから。


(馬鹿な……そんな事があり得るのか? いやしかし……)


 何故『新型』をすぐに使用できるようになるか? 既存の兵器と比べて扱いは容易だが、全くの無訓練で使えるかは怪しい。マスケット銃が基準の文明圏に、いきなり『あのアサルトライフル』は早すぎる。

 何故『何の海図や技術も持ってなかったのに、一度行っただけの島の位置が精確に分かるのか?』

 何故『ゴブリンが知性化したのか』――これはサイボーグ化という、地球基準から見ても未来の技術を行使したからに思える。その目的は、何らかの操作を『黒幕』がするためにも見えた。

 一見してバラバラに思える、これら三つの事象。

 しかし『崩壊前より未来の技術を使えた』とするならば……これらを『体のある一か所に手を加えた』と仮定すれば、晴嵐の頭の中で一本の筋が通る―ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ