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的外れな催眠チート ~面倒臭がりが召喚されました~  作者: 山田 武
大きな戦いに挑もう

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物語ってみよう

皆さん、大変お待たせしました!



 中継地点となる場所は……えっと、名前は忘れたが村だ。

 ずっと前に依頼で来て、初めて魔人族と遭遇した場所でもある。


「今日はここで一泊だ。明日になったら、目的の国まで一直線の予定だな」


「ぱむ、おなかすいた」


「……俺も魔力がな。魔石でも食べて我慢をしてろ」


「ぱむ……わかった」


 魔石のエネルギーでも食事ができるので、そちらで渇きを潤おさせておく。

 問題は、ラームの渇きが癒えることはほぼほぼ無いということだけだ。


 屋敷の奴隷たちが強くなるための一環として、魔力強化訓練が存在した。

 その中には、自分の魔力を魔石に籠めて保存する、というものがある。


 ……話の脈絡を折って説明したので分かると思うが、ラームに与える魔石は奴隷たちが籠めた魔力入りの魔石だ。


 レアスキルの持ち主やレア種族の場合が多いので、ラーム的にはフルコースを食べているような感覚になると聞いたことがある。


「……ぱむ、やっぱりぱむのがいい」


「魔力ってそんなに旨いのか?」


「いちどすったらとまらない、みわくでこわくでゆうわくのあじ」


「……全然上手そうじゃないな、俺の魔力」


 なぜ魅惑して蠱惑して誘惑するんだか。

 最後のだけならまだしも、どの辺りが魅惑で蠱惑なのか……スキルの影響か?


「まあいいや、これから明日の準備をするけど……このままここに居るか? それとも、誰かと替わるか?」


「ぱむ、といっしょ」


「その理由は?」


「おこぼれ」


 シンプルな理由で何よりだよ。

 ほぼ無いであろうそれに期待するラームを隣に配置して、夜の準備を行う。


 前回の依頼で俺の人となりを理解してくれているのか、それとも王から命令があったのか……基本的に介入してこない村の者。


 だが、そういうことができるのは理屈を分かっている大人たち。

 つまり──


「なあなあ、兄ちゃん。何やってんだよ」


 暇なガキたちがうろうろと集まってくる。

 そりゃそうだ、空き家も使わないで野宿しているんだ……しかも二回目。


 好奇心が旺盛な奴らには、うってつけのネタだろう。

 ラームは……ああうん、半透明になって隠れているな。


「なあ、兄ちゃん……」


「野宿だよ、野宿。特に面白いものでもないから、さっさと自分の家に帰れ」


『えー!』


「えー、じゃねぇ。そのうちお前らの親が迎えに来るぞ、さっさと離れとけ」


 結界でも張っとけばよかったのだが、まだ餌が足りなかったし釣るために不注意を装っていたのだ。


 しかし釣れたのはガキ、さすがの俺もラームにこいつらを喰わせるような真似をする気にはならない。


「だって兄ちゃん、前にも来たぼーけんしゃなんだろう? なんか面白い話してよ!」


「……面白い話?」


「満足したら帰るから! なんか教えてくれよ兄ちゃん!」


 代表のガキがそう言うと、周りのガキたちも同じ意見なのか頷いている。

 ……面白い話か、別に実体験じゃなくてもいいかな。


「俺の話じゃなくてもいいか? それなりに俺の国だと有名な英雄の話だ」


「いい! それでいいから、教えてくれ!」


「じゃあ始めるぞ──『桃太郎』」


 子供の絵本レベルの内容なら、記憶してあるので読み聞かせられる。

 あとは一部分をこっちの世界観と照らし合わせて……著作権とか面倒臭そうだな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 魔物使いとして技術を得た東の国のサムライということになった桃太郎が、オーガキングのアジトから金銀財宝を略奪した。


 そんな感じに纏め上げた『桃太郎』モドキで満足したガキたちは、それ以上邪魔をすることなく帰っていく。


 退屈で餓えていたから絡んできたのであって、わざわざ見知らぬ人とずっと居たいと思うようがガキが居なくて助かった。


「──音読だったから、寝てたな。やっぱり自動化モードは便利すぎる」


 桃太郎の朗読、そうコマンドを入力しておけば勝手にやってくれる。

 催眠魔法によって刻んだ命令中、俺は自らの意識を眠らせることができた。


 所持しているスキルの中には、(隔離思考)や(白昼夢)なんてモノがあるからな。

 一部の音読を離した思考に行わせ、残った部分で夢を見る……なんてこともできた。


 そこで先ほどの刺客たちの情報を確認、いちおう便利なスキルが無いかを調べてあとは普通にあれやこれやと調べていただけだ。


「ふわー、意識だけ寝ても体は起きていたからなー。やっぱり疲労感は残るか……」


「ぱむ、だいじょーぶ?」


「そこだけ訊かれれば、問題ないな。ラームこそ、不調は無いか? 明日からは相当面倒臭い奴らが絡んでくるぞ」


「……フェイより?」


 フェイとは俺の従魔の一人だ。

 見た目が子供なラームとは違い、ある程度成熟した見た目なので……お姉ちゃんぶってラームを甲斐甲斐しく世話しているんだよ。


「──まっ、だからこそだよな」


「?」


「面倒のベクトルが違うぞ。ただ、多少の我慢が必要だと覚えておいてくれ」


「……らーじゃー」


 そろそろ寝ておいた方がいい。

 敵が現れれば暗示で勝手に起きられるだろうし、ラームを狙うなら……そいつが不幸な目に遭うだけだ。


「──『おやすみ』」


「ぱむ、おやすみ」


 俺とラームはそう言葉を交わし、眠りにつくことにする。

 ──あとはもう、ゆっくり寝て待つだけでいいわけだな。



それでは、また一月後に!

……来年もよろしくお願いいたします

<○>

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