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success!  作者: kimberlite
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episode21・1回戦の朝

 梅雨の合間の快晴、だいぶ汗ばむ天気になってきている6月下旬の朝、聖ラムタラ学園の夏が幕を開けようとしていた。

「おはよう」

「おはよう、若菜。今日はいよいよ試合の日ですネ。頑張ってくだサイ」

 達也はそういって、朝ごはんを作り始める。葵は食材を仕入れるべく市場へ向かうため、若菜の家では達也が朝ごはんを作る。今日の献立はカツ丼とお吸い物にリンゴジュース。初戦からゲンを思いっきり担がせている達也は若菜に言う。

「無茶だけはしないでくだサイ」

 高校野球の大会はほぼ例外なく短期間で集中的に行う。それゆえに疲労や消耗が激しく、3年夏は甲子園へ出ない方がスカウトにいい印象を持たれることも決して少なくない。特に選手管理の概念が強いアメリカ出身の達也からみれば、勝利よりも無事の方が大事であった。

「うん、わかってる。ごちそうさま」

 カツ丼を食べ終わった若菜は、部屋に戻り、荷物の入ったカバンを肩にかけて達也にこう言った。

「じゃあ、行ってきます」


 1回戦が行われる球場に現地集合する予定のラムタラナイン。一足早く到着した若菜と真弓は更衣室にて白と緑を基調にしたユニフォームに袖を通す。

「はあ、今年はお互いにレギュラーにはなれなかったね」

 背番号「10」のユニフォームのボタンを閉めながら若菜が愚痴る。背番号「12」をつけた真弓はそんな若菜をフォローする。

「まだ2年間あるし、そのうちなれるよ」

「そうだね」

 若菜が真弓のフォローで気を取り直すと更衣室がノックされ、今井の声が聞こえてくる。

「おーい、氷室たち。着替え終わったか?」

「「はい」」

 若菜たちが更衣室を出ると男子たちがそこへ入っていき、扉がしまる。部屋の外で待つしかない若菜たちはとりあえず、クーラーの利いてる場所に移動する。その時、白いユニフォームを着た数人の男たちとすれ違った。


「あれ、ラムタラの選手たちですか?」

 すれ違った選手たちに呼び止められた若菜と真弓は振り返って返答する。すると、男たちは笑い出した。

「マジかよ、ラムタラ野球部って女がいるほど弱小なのか」

「これは楽勝フラグだな」

 男たちの発言が聞き捨てならない若菜たちは男たちの方を見て睨みつける。男たちはそんな若菜たちを見て、詰め寄ってきた。

「お、でもよくみると結構かわいいじゃん」

「試合後に飯でも食わない?」

「「(ムカつく~!)」」

 図に乗る男たちに対して、若菜たちが言い返そうとしたとき、島岡がやって来て、男たちに声をかける。

「あ、朱鷺目高校の人ですか、今日はよろしくお願いします。もうすぐ試合前練習なので、これで失礼します」

 島岡が若菜たちへアイコンタクトを送ると、3人はその場を離れた。

「あー、ムカつく!」

 ベンチに向かう途中、珍しく怒りを露にする真弓、若菜もそれに同調しているが、島岡が二人をいさめる。

「何があったのかは知らないが、試合で倒せばいいだろ」

 島岡の一言で、とりあえず怒りを収めた二人、試合前の練習が終わり、選手たちが整列する。


「礼!」

 朱鷺目高校と聖ラムタラ学園の試合、若菜たちの最初の大会がついに幕を開けた。

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