エピローグ
〝誓約のクロニクル〟。
それは、〝祈源〟からあふれ出した〝祈りの力〟を使って書き記したもの。世界の行く末を、国の運命を、個人の未来を、書物としてまとめて……秩序をもたらす。
歴史という名の設計図である。
リディアナ・ニューアークには〝悪役令嬢〟の役割が与えられていた。彼女が世界を憎むように、数々の悲劇をもたらした。
だが、そうはならなかった。
リディアナは、定められた運命に踊らされながらも、決して諦めることはなかった。
命を落とした時もそう――未来を繋ぐため、〝悪役令嬢〟らしく、上等だと笑っていたに違いない。
「む……。今日のリディちゃん、盛れてる」
「何言ってんだ……。早くいくぞ」
〝革命〟を果たす。
とはいっても、時間が瞬く間に過ぎていくわけではない。
一日一日を慎重に過ごし、〝革命〟にむけて着実に準備を整えていく。それ以外に、リディアナの願いを叶えることはできない。
だから――。
「リディアナ、おはよ!」
「ん。元気そう」
「……おはよう」
「カルロ様、声がかすれてますっ」
「情けないな。……どうも」
「人のこと言えないっすよ、ジョット様」
「わ~……! クラスが初めてまとまったって感じがします……!」
「心配だった……けど、杞憂! よし!」
「ニューアークさん! お昼、一緒にどうですかっ?」
「あ! 抜け駆けズルい!」
〝革命〟を果たす。世界の在り方を変える。
その前に、手の届く範囲を精一杯に守っていきたいと思った。




