その5~特級魔法使い、ベネディクト~
大声で失礼なことを言った私にベネディクトはムッとしてプッと頬を膨らませ
「いいでしょう。
全員のパラメータを列挙しましょう。
能力値の限界を100とした値で、体力、魔力、知力、武力、と属性を調べました。
まずアルは体力100、魔力5、知力60、武力80、属性は『火』です。
ベネディクト、つまり僕は、体力と武力は秘密ですが、魔力は勿論100、知力も100、属性は『金』です。
コンラートは体力100、魔力20、知力70、武力100、属性は『土』です。
ダレンは体力10、魔力10、知力70、武力30、属性は『闇』です。
エリオットは体力90、魔力90、知力80、武力70、属性は『水』です。
ついでにあなたは、体力40、魔力60、知力60、武力50、属性は『光』です。」
あら!私って平均ぐらいじゃないっ!!もっと悪いかと思った。
って喜んでる場合じゃないっ??!!
「ということは、魔王といえば、体力、魔力、知力、武力、すべてがおそらくオーバー100で、属性は闇のはずよね?
属性で判断するとダレンだけど…」
チラっとダレンを見ると目が合った。
ダレンは優しそうなほほ笑みを浮かべ照れたようにはにかんだ。
まさかね!
あんなにいい意味で優しそうな、悪い意味で頼りなさそうな人が『魔王』のはずないわよね?!
私は続けて
「ダレンはパラメータが知力以外は全部低いから、『魔王』候補から外せるわよね?
パラメータが高いと言えば、エリオットかベネディクト…あなただけど?!
あなたが魔王なの?!」
貫くような真剣な目でベネディクトを見つめると、ビクッ!と全身を震わせて飛び上がり、血の気が引いた蒼白な顔をブンブン横に振り
「ち、違いますっ!!
ぼ、僕はっっ!!
知ってるでしょっ!
魔法学校で5年間一緒だったじゃないですかっ!!
その間ずっと同じクラスだったし、席だって隣だったし、実習だって、同じ班だったでしょっ??!!
怪しいところなんて微塵もなかったでしょっ!!」
確かに。
ベネディクトは私と同い年の17歳で魔法学研究を極め修士号、博士号まで取得した『最年少魔法学博士』だもの。
エリート過ぎて、だからより一層怪しいっ!!ともいえるけど。
ずば抜けて優秀だったベネディクトが普通以下の成績の私と同じクラスで、隣に机を並べてたし、実習も同じ班にされてたのは、大人たちの何らかの配慮?または圧力?だったの?
魔王が潜伏と言ったって、5年間も魔法学校の生徒として過ごしてたとは考えにくい。
自国での仕事もあるだろうし。
ベネディクトといえば、初めて出会ったのは12歳で魔法学校に入学した日だった。
私の顔を見てポカンと口を開けたままボンヤリしてるので、気まずくなってベネディクトが小脇に抱える本を見て
「『治癒魔法入門』?って難しそうな本読んでるのね?」
話しかけるとベネディクトはハッ!としてずり落ちたメガネを中指で押し上げて
「え?これはもうとっくに全部読み終えました!
ついでに言うと、ここに書いてる魔法は全部使えますっ!!
自慢じゃないですけどっ!!」
ん?
と不思議に思った私は無邪気に
「あなたのメガネって度が入ってるんでしょ?
じゃ、目が悪いのね?
どうして自分の目を魔法で真っ先に治療しないの?」
ベネディクトが額にかいた汗をローブの袖で拭い
「す、鋭いですねっ!
実はこれはおしゃれメガネです!
個性を出したくてっ!!」
私は首を傾げ
「ホント?
でもメガネを外しても整った顔立ちだから十分目立つと思うし、外したほうが女子にモテると思うけど?」
ベネディクトが頸から顔まで湯気が出そうなほど真っ赤にして
「う、嘘ですっ!!
実はまだ治癒魔法は使えないんですっ!!だから近眼を治せないんですっ!!」
すぐに白状したところが可愛らしくってクスクス笑い出すと、ベネディクトもつられて笑い出した。
その後、ベネディクトは博士号まで取得したし、とっくに近眼の治癒魔法は使えると思うけど、一向にメガネを外す気配はない。
理由を聞いてみると
「あなたの周りにイケメンは山ほどいるけれど、メガネは僕だけでしょ?」
って意味が分からないことを言ってた。
(その6へつづく)




