26.
……くらい。暗い。何も無い。
「……」
この暗闇は、死の闇と同じ闇だ。だったら俺は、死んでいるのだろう。
「……」
復活するボタンが無い。生き返る方法が無い。魂さえも、何も、無い。
「……」
無い。無い。無い。
心が、立ち上がる意志が、空っぽだ。そうだろう、ここは一人ぼっちで誰もいなくて、誰の声も聞こえない、魂さえも失っている、何も存在していない暗闇なのだ。
仲間達は今でも戦っているはずだ、子供達が危険にさらされているはずだ。早く戦場へ戻らねば。
だが、どうすれば良い、どう戻れば良い。何故俺はここまで無気力なままで居られるんだ。探せよ、方法を、項垂れているなよ、ボーっとしているなよ、どうにかしろ。だが自分が薄れて消えて行く。魂も無いというのに残っている意志は、それさえが今にも消えそうになっている。だが探せ、方法を、手段を、そんなこと考えるのはあのバカの役割だが、今はもう居ないのだから俺がやれ。
………やれ……………………………やれ……
……や………………
…………れ やれ
……
――
―
「にゃぁ」
「――!!」
薄れ行く意識の中、その声がはっきりと聞こえた。
懐かしい声。聞き間違える事が無い声。大切な大切な、大好きだった存在の声。
「……みー……ちゃん」
俺の、掛け替えの無い存在だった、たった一人の大事な家族。可愛くて可愛くて愛して止まないみーちゃん。
みーちゃんが、ぼーっと突っ立っている俺の足元に、擦り寄ってくれている。懐かしい、可愛い、愛おしい、一瞬も忘れたことの無かった、俺の大事な大事な家族。
みーちゃんが足に触れてくれたおかげだろうか。触れた足からはっきりと俺の意識が形を持って確かなものへとなっていく。そして、確かな形となった腕で、大切な家族を抱き締めようかと思えば――。
「んにゃ」
――みーちゃんは、俺の手を避けた。だが、みーちゃんは意味もなくこんなコトをする子じゃない。喧嘩したとき以外で俺の手を理由も無く避けるみーちゃんじゃない。
それを表すかのように、俺の手を避けたみーちゃんは、数歩歩いては『付いてきて』と視線を送ってくれる。
その歩みに合わせて、俺も脚を動かす。……動いてしまうんだ。…………みーちゃんとのお散歩は、久しぶりだからな……。
「みーちゃん。クソジジイとカヨコとか言う女には会えたか」
「にゃー」
暗闇を歩いていても、みーちゃんが居てくれるなら俺にとってはどんな風景でも絶景の散歩コースだ。だから、歩く。一緒に、共に、嘗てを懐かしんで。
「そうか、良かった。沢山可愛がってもらえたんだな」
「にゃぁ?」
歩く、歩いていたい。いつまでも、もっと、もっと、みーちゃんと一緒に歩いていたい。
「俺か? ……まぁ、あのバカとは変わりなくやっているよ。だが、最近は周りに……増えたんだ。あのバカと同じような、奴等が」
みーちゃんは、俺の話を聞いてくれる。俺も、みーちゃんに話を沢山聞かせたい。みーちゃんが居なくなってから、俺がどんな風に日々を過ごしていたのか、沢山聞かせたい。あっちの世界のことも、こっちの世界の出来事も。
「――」
語る。語る。
「――」
歩く。歩く。
「――」
一緒に、共に。
大好きだったみーちゃんとの日々が今も変わらずあるように、みーちゃんは変わらず返事をしてくれて、言葉を返してくれて、俺の心に温かいものをくれる。
その温かさが意志だけの俺に心を取り戻させてくれるように、段々、段々、より確かな俺が戻り始めているような気がする。
だが、ただ、そう……正直、死んでいるならばこのままみーちゃんとずっと一緒にお散歩をしていたい――
「にゃーん」
「みーちゃん……大丈夫、分かってる。でもさ、たまには弱音くらい吐かせてくれ……みーちゃんにしか、見せられないんだから」
「にゃふー」
自慢げなみーちゃんも、可愛いな。
「しんどいんだ、辛かったんだ、あのどこぞの大バカが自分を削って、失って行く姿を、側で見ているのは」
「にゃんにゃぁ」
「俺は同じではない、命も記憶も消耗しようが幾分かはあのバカよりもマシなはずだ。偽ってでも得たいと思った人間性を捨てるあのバカよりはな」
「にゃむぅ……!」
「お、怒らないでくれみーちゃん……! ――だが……怒ってくれて……ありがとう、みーちゃん……」
みーちゃんが怒ってくれるのは、俺を心配してくれていて、家族である俺のことが心配だからで……だから、怒ってくれることが本当に嬉しい。そういうのが嬉しいから、俺は俺の仲間達が大好きなんだ。
「にゃぁ!」
「はい……ありがとうよりごめんなさいが適切です……。…………」
楽しい、温かい、大好き……他人でも、友人でも、仲間でもない、関係。みーちゃんは、俺にとっての大切な家族だから、こんな情けない姿を見せても、なんとも思わない。
「…………どこぞのバカとは、一緒に歩んでいるから側で見せられるハメになってな」
みーちゃんが情けない姿を見せられる家族なら、あのバカはどこまでも対等に歩いていける親友だ。あのバカには俺の弱みなどいくらでも見せられる、他には見せられなくともあのバカにだけならば見せられる姿などいくらでもある。だが、俺が抱き抱えるアイツへの弱音は、みーちゃんにしか吐けないんだ。一番側にいたからこそ、吐きたいのに一番吐けないんだよ、バカなお前だけには。
「そうして歩いていたら、こうなってしまった。
……実は
……隠していたが
……俺は、方向音痴なんだ」
「にゃっ」
「……そっか……知ってたのか……だから、お散歩のときはみーちゃんが俺を先導してくれてたのか……。孤独で、一人で、歩くことに慣れてしまって、正しい道なんて関係ないから、正しい道が分からない……。だからだろうな、俺は、そしてあのバカも、いっつも正しさを辿れなくて間違ってばかりなんだ」
「にゃ」
「……ああ。今までも、そして今も、先導してくれてありがろう、みーちゃん。
……先導……? みーちゃん、今はどこへ向かっているんだ?」
「――ここですよ、ソーエン」
俺の目の前で先導をしてくれていたミーちゃんが、誰かに抱きかかえられる様を見た。
ずっと、景色は暗闇ばかりだった。他に見る物が無い。何より、俺はずっと、みーちゃんを見続けて居たかった、大好きなみーちゃんをずっと見て居たかった。
だが、ミーちゃんの体に誰かの手が触れたことで――大好きなみーちゃんが抱きかかえられたことで――ようやく、暗闇の中で、俺の目は俺達以外の誰かを映した――。
「ナター……リア……?」
俺の前には、ナターリアが立っている。みーちゃんを優しく抱きかかえながら、頭を優しくなでて、みーちゃんもその手を心地良さそうに受け入れていて――
「何故、ナターリアが、ここに居る……」
ナターリアはあの戦いに参戦してなかったはずだ、神域へ押し入る前にも王城に居たことを確認している。だったら、このナターリアは俺が見ている幻想なのか? そんなはずがない。ここに居るみーちゃんは、本物のみーちゃんだ。俺が生み出した妄想じゃないことなど、一目見ただけで分かる。
俺は死んだ。みーちゃんも、死んでしまっている。これは本物の事実なのだ。だったら、何故、生きているはずのナターリアがここに――。
「うふふっ。みーちゃんさんに話しかけるソーエンは、優しくて甘えてて情けなくて、始めて見るソーエンでした」
「にゃーにゃー」
「はい、とっても可愛かったです。連れて来てくれてありがとうございます、みーちゃんさん」
「ぅにゃっ」
みーちゃんは、ナターリアの腕から跳ぶように降りた。そして、俺達の間で丸くなって、気ままなゴロゴロモードに入っている。
この状態のみーちゃんも可愛い、見続けていたい。だが、だが、ナターリアが居ることが、俺には――
「ソーエン」
ナターリアは、はっきりとした視線を俺へ向けて、揺るがぬ瞳を注いでくる。その顔は笑っているような、悲しんでいるような、ナターリアの始めて見る顔だ。
「最近、本当に最近、私、知ったことがあるんです」
「……」
女を嫌というほど――いや、女の嫌な部分を知っている俺だからこそ、真っ向から付き合ってくれるナターリアのことは分からない事が多い。故に、今向けられている顔が、何を表しているのかが分からない。……が、それが、嫌いではない。
「……でも、気付いてしまって、もう、遅くて、伝えたところでどうにもできなくて、そして、折角会えたのに、会えなかったはずなのにチャンスがあるのに、断られるのも怖くて――」
「ナターリア……おま……。……君は……どうしてここに……」
何かを語ろうとするナターリアの言葉に疑問はある。だが、それよりもこちらが持つ疑問に答えてほしい。答えてくれ、頼む。頼む、頼む。君は生きていてくれ。
「……ソーエン。今、好きなヒト……います、か……?」
俺が持つ疑問はあるが、ナターリアもナターリアで自分の持つ疑問に答えてほしいのだろう。先に、そちらを答えるとしよう。
「みーちゃん、どこぞのバカ、ラリルレ、シアスタ、リリム、リリス――」
「そーゆー好き、じゃなくて……好きなヒト……です……」
「ふむ……」
疑問に新たな疑問が重なって、分からん。分からんなら、だったら、こちらの質問の解を先に――
「ソーエンソーエン……わがまま、許してくれますか……?」
ナターリアは、俺のフードへ手を掛け、脱がせてくる。
「まぁ……顔を見せるくらいならば問題ないが……?」
ナターリアの手は止まらず、フードを剥いだ後にマフラーを解いて――。
マフラーが解け、口元が露になった瞬間に、ナターリアは両手で持ったマフラーを引いて俺の顔を引き寄せ……背伸びをし……。
「んッ!?」
「んっ……」
…………可笑しいだろう。なぜ、レベルや筋力が勝る俺が、抵抗できなかった。
……牙が、疼く。唇が解放され、互いの顔が離れたとて、疼く。
「…………こんなワガママしちゃう皇女は、嫌いですか……?」
赤い顔、潤んだ瞳、懇願するような表情。そんなの関係ない。見た目など関係無い。こんなことをして、こんな言葉を言う名ターリアに、牙が、疼く。もはや、ナターリアが目の前に居るというだけで、牙が疼く。
「……俺は、デイウォーカーヴァンパイアだ」
「……知ってます……よ? なんども聞きましたもん……」
「……ヴァンパイアの牙が疼くという事は、そういうことらしいな」
「……そういうことじゃわからないです! もっと、はっきり、言って!」
「にゃぁ!」
「むぅ……」
……世の、鈍感系主人公と優柔不断系主人公と、歯切れの悪い系主人公にイラつきを覚えていたことを謝罪しよう。分からん、今までわからんかったから、今、初めて気付いた。
――ならば、気付いたならば、言えば良いではないか。これまで道を間違え続けていたとして、だが確かに迷わず突き進んできたのだから、今回もそうするのが俺の在り方だ。
「好きだ」
「どーせ嫌いじゃないって――はぅ!?」
「牙の疼きを君の全てで治めたいほど好きだ、大好きだ」
これは、俺の“魂”からの言葉だ。
「そ、そーえん!? イキョウさんのつーやくないなのにどしてはっきりそこまで!?」
「にゃぁむ」
「か、かぞくに、は、正直……えゅ、あぅ、へ、へぇー……かぞ、く、家族!? んにゃぁ!?」
「んにゃぁ!」
「ふぅ……やれやれ……ナターリアも、みーちゃんも、可愛いな」
俺は、大好きな家族を二人共両腕に抱える。
「ぇう、わぅ!? そ、ソーエン!?」
「……なぁう、にゃぅ……」
「家族を失ったからこそ、家族の大切さを知って、幸せな家庭を求めてる……。ぇ……そ、ソーエン……」
「どうした、ナターリア」
「……ごめ、ごめんなさいっ……!」
俺の腕に治まるナターリアは、俺の胸で涙を流し始めた。どうしたというのだろう。
「わた、わたし、ワガママ、で! また、また、貴方に、同じ思いをさせてしまう……! ダメです、ダメなんです! 忘れてください! 私のことなんて、忘れて!」
「……どこぞで聞いたような、別れの言葉だ。人を思う、優しい類のな」
「世界が壊れて、もう、帰る世界が無くて、私も、みんなも、誰もかも、しんで……! ごめんなさい、ごめんなさい!」
「あぁ……なるほど……。そうか……。
ナターリア。俺はな……実は……方向音痴でな……」
「知ってます! お出かけのときによく二人で迷子になってましたから!」
「フッ……知られていたのか……。みーちゃんと、同じだな。
だったら簡単な話だ。君が、俺の帰る場所になってくれれば良い。君が居てくれるだけで、俺はどこからでも君の元へ帰ることが出来る。住処などどーでもいいというのに、みーちゃんが居てくれるから、何時も家に帰れたように」
「むりなんですっ……! もう、もう……!」
「無理ではない」
俺の嫁であるナターリアが泣いている姿を見ると心がざわめく。これがあのバカの泣き顔に弱るざわめきだとして、ならばどんな手段を使ってでも泣きやましたいが――生憎、俺はあのバカほど口が上手くない。だが、下手な口でも伝えたい思いは伝える。
「全て俺に任せろ、ナターリア」
すべての思いはこの言葉に集約されている。だから伝わって欲しくて、真剣な顔をナターリアへと向ける。
だが、皮肉なことに、俺は家族を欲していて家族の残酷さも知っている男だ。伝わると確信は持てず、強く信じて欲しいと願うことしかできない。
「……ヤです!」
なんだこの、一瞬ときめいた顔をしたのち、世界がどうとか自分がどうとかを全て放り投げて、乙女心だけで顔をプイっと背けた可愛い生物は。
「私! 口下手なソーエンから、もっと言葉! 聞きたい、ので! 今の言葉だけじゃ満足できないです!」
「だったら言ってやる。
大好きな俺の嫁が泣いてるのだぞ!」
「お、お嫁さん!? そこまで飛躍して!? わ、わ、あわわわわわわ!!」
「そう、あれだ、とにかく……泣き止ませる為だったらなんでもするだろう!」
「く、口下手なのが逆に一生懸命であぅぅうううう可愛い…………。わ、わたし、ソーエンの、帰る場所に、なって良いですか……?」
「当然だ」
「いっぱいワガママ言っても、嫌いになりませんか?」
「当然だ」
「じゃあ――」
ナターリアは、俺に腕を回して、非力な力をいっぱいにして抱き締めてくる。
「ソーエン、生き返ってください……! 世界も元に戻してください……! 私も生き返らせてください……! そして、二人で世界に帰って――結婚、したいです――!」
「だから言っただろうナターリア。全て、俺に任せろ」
「~~~~ッ!」
ナターリアは抱き締める力に加えて頭をスリスリしてくる。俺とナターリアの間に居るみーちゃんも、頭をすりすりしてくる。
この時間を一生過ごしていたい。だが――やるべきことをやるためには、こうしたままではいられない。
そして、この時間を手放すという事は……みーちゃんと……。
「みーちゃん……」
「んみゃあ、にゃうにゃう」
互いに体を離した中で、みーちゃんは俺の脚にすりすりしてくれる。分かってくれて、俺も分かっているから、本来ならば二度と会えなかったみーちゃんの頭を、しゃがんで撫でる。
「そうだな。先に進むならば、ここで立ち止まってなど居られない。羽休めをさせてくれて、癒してくれて、弱音を吐かせてくれてありがとう。みーちゃん」
「私からも、ありがとうございます。みーちゃんさん。私、お墓に入るまでソーエンの弱音いーっぱい聞きますからね」
「……にゃぁ」
俺とナターリアは、二人でしゃがみ込んでみーちゃんを撫でる。そんなみーちゃんは、「よかった」と、しみじみとした鳴き声を俺達へ向けてきた。……この声は、イキョウとみーちゃんが最後に言葉を交わしたときにも聞いた声だ。俺を託した時の、声だ。
……。……その声はもう一人へ、俺の感謝も、もう一人、大切な存在へ。
「……そして。
ありがとう、ソーキス」
「……ふへへ」
俺の側からは、ソーキスの笑い声が聞こえてきた。分かっていたことがあった。あったのだ。意志を取り戻した体には、何かが流れ続けて、その何かは意志と共に俺を確かな俺へ成っていくことに。
「まっ!? ソーキスちゃん!? ……もしかしてさっきの!?」
「聞かせてもらったよー。もーラブラブ過ぎて体あつーい、の、は……ソーエンの魂の熱さなんだろーね」
ソーキスはガラにも無く頬を赤らめながらも、マイペースにしゃがんで、俺達と共にみーちゃんをなで始めた。
「ユーステラテスのときと似てるねー。今回はソーエンの大好きな猫ちゃん……そう、みーちゃんが、居るけど」
「似てるならば、今回も俺“達”は勝ちに行く」
「ふふ……うふふ! じゃあ、信じざるを得ません」
「ふへー……いっちばん安心できる言葉を聞けたよー」
「……にゃ、にゃあにゃあ」
俺が立ち上がると同時に、みーちゃんも体を起こす。
「みーちゃん、導いてくれてありがとう。俺はこれからも、あのバカと一緒に元気にやっていくよ」
「にゃ! にゃふふ」
……ありがとう、みーちゃん。いつまでも、こんなバカの側に居てくれて。気苦労ばっかりかける家族で済まない。
みーちゃんは、満足気にしながらこの暗闇に溶け込むように消えて行く。行ったのだろう、みーちゃんは、ここから去ったのだろう。
やるべきことを、終えたのだから。やるべき事のために、俺の下へ来てくれたのだから。
なら、俺もそろそろ行かなければ。
「ソーエン、頑張って」
ナターリアは確信たる顔を俺へと向けてきた。
「……ソーエン、楽しかったよ。おにいさんにも、ありがとうって伝えておいて」
ソーキスは、別れを告げるように言葉を向けてくる、が。
「何を言っているんだ、ソーキス」
「んぇ?」
「お前は俺達へ託したつもりなのだろう、天使であるが故に神の理不尽を理解しているのだろう、この戦いには俺達以外の犠牲がつきものとでも思っているのだろう。だが、言っただろう? 『俺達は勝ちに行く』と」
「ねー、ソーエン」
「へむっ……!」
ナターリアは、ソーキスの体を抱き寄せて、抱き締めた。
「ふへー……ナターリアから正妻の余裕を感じるぅ……」
「ちゃんと私達は待ってますから、ソーエンもちゃんと帰って来て下さいね」
「勿論だ。だが、遅くなるとは思う。ソーキス、ナターリア。二人は先に寝ていると良い」
「もーお父さんの言動だよソーエンそれー。……でも寝るー、寝るのだいすきー。…………ボクね、頑張りすぎてね……とっても眠いんだ」
「……私も……少し眠らせて貰いますね。ソーキスちゃんをぷにぷに抱き締めながら」
ソーキスも、そしてナターリアも、限界のように倒れて、目を閉じた。そして、意識が薄れて行く様を表すように、体は光の粒子となって何処かへと消えて行く。
そんな二人が消えてしまうまで、側でなでていてもバチは当たらないだろう。
「自慢じゃないが、俺はあのバカよりも早く起きたことが無くてな……だから、早く起きろ。クソバカ大親友」




