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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第四章-どうしてこうなるんだ異世界-
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49.海だぁ!!

 夕方の浜辺。人通りは少なく、冒険者達も引き上げたのか人の気配はほとんど無かった。


「こりゃ早く終わらせないと夜になっちまうな」

「さっさと終わらすぞ」


 オレの横に並んで立っているソーエンは、長い釣竿を持ちながら口を開く。

 オレ達は五人そろって、木で出来た桟橋の上から海の様子を観察していた。

 夕日は沈み始めていて、空は夜とオレンジが混ざり合っている。海はまだ辛うじて夕日が照らしているけど、直に夜の黒に染まるだろう。


「で? 結局作戦は?」

「まず、あたしが海面を凍らせてシーサーペントまでの道を作るっス」

「その後は氷をくり貫きエサを使って、シーサーペントを引き摺りだす」

「そして私が<ホーリースパーク>でスタンさせて」

「最後に総攻撃である」

「待てや。ワカサギ釣るんじゃねーんだぞ。しかもお前等さっきよぉ、エサに何使うっつった」

「「「おパイセン(阿呆)」」」


 三人そろってオレを指差してきやがった。


「助けてラリルレ!!こいつら仲間を釣り餌って認識してやがる!!」


 唯一の真人間仲間のラリルレにしかもう助け求められないよ!!


「キョーちゃんはいっつも作戦成功させてくれるもん。だから今回もきっと大丈夫だよ。私信じてる!!キョーちゃんなら絶対に出来るよ!!」

「多大なる信頼をありがとね。でも、成功失敗はどうでも良いの。これがね、最善の策ならオレだって喜んでやるさ。でもな、最善の策は皆で突っ込む事なの」


 皆で水中呼吸が可能になるアクセサリー、<人魚のブレスレット>を装備して、泳いで討伐に向かうのが一番効率の良い作戦なんだ。


「それをしないでオレに餌やらせる理由聞かせろよ」

「「「濡れたくない(っス)(のである)」」」

「不服しかねぇんだよその理由!!なんでそんな理由でオレがエサ役やんなきゃいけないんだよ!!」

「ごめんね……私が戦えればキョーちゃんと一緒にエサ役さん出来たのに……。ちょっと楽しそう……」

「好奇心かわわなラリルレは何一つ悪くないの。戦闘は職業的に仕方ないから気にしないで」


 ラリルレの職業である神官はサポート特化型だから仕方が無い。そんなんでエサ役をやってもしもの事があったら大変だ。というか、例えラリルレが戦えようとも、絶対にエサ役とか言う無慈悲な役割はやらせない。

 だからって、反撃の手段があるオレがエサ役をやるって理由になるかと言うと、答えはノー。


「ってか、そもそもあの巨体を四人で釣り上げられる訳ないだろ!! その前に釣竿折れるわァ!!」


 シーサーペントは全長十メートルくらいあるぞ。そんな奴を能力が制限されている状態で、後衛と中衛やるような奴等が四人だけで釣り上げられるわけが無い。


「何考えて普通の釣竿買って来てんの? せめてもっと頑丈な奴買って来いよ。ってか作戦決定してから買って? まだ反論してる奴がいる中準備進めんの止めて?」


 ソーエンが持っているのは、どう見ても一人用の普通の釣竿だ。そんなんで釣れる訳無いだろうがよ。

 歩きながらの作戦会議中、このクソみたいな作戦に反論しまくってたら、ソーエンがいつの間にかしれっと釣竿買ってやがった。要らんから返して来いっつっても、ガッチリ掴んで返す気なんてさらさら無いことをアピールしてきやがったしよ。


「お前は勘違いをしている」

「は?」

「誰も釣り上げるとは言っていない。お前が泳いでシーサーペントを俺達が待機している穴まで誘導して来い」

「後はパイセンが蹴り上げるなになんなりして、氷の上にぶち上げればいいんスよ」

「この作戦におけるオレの役割の比重ってどうなってんの? じゃあその釣竿何?」

「お前の誘導が終わるまで暇になる。だから釣りをして待つことにした」

「完全にお遊び用じゃん」

「実はラリルレの分も買ってある」


 そう言ってソーエンはボックスから同じ竿をもう一本取り出した。


「ありがとソーちゃん。私釣りするの初めてだから上手に出来るかなぁ」

「我輩の分は無いのであるか?」

「抜かりない。全員分の竿と餌を用意してある」

「さっすがソーパイセン。変なところの気の回し方が上手いっスねー」

「一応聞いとくよ?オレの分は?」

「お前はその身が餌であり竿だからな。必要ないだろ」


 そんなこったろうとは思ったよ。


「そっかそっか。ソーエン、一応海に落ちたときの事を考慮して<人魚のブレスレット>装備しておいた方がいいんじゃねぇか? 皆もさ」

「一理あるな。準備は万全にしておこう」

「っスね」


 オレの言葉で皆がブレスレットを装備し始める。

 オレも自分の分を装備してっと。


「漸く阿呆もヤル気になったのであるか」

「うん。だから準備運動するから待ってて。皆は海でも見ててよ」

「警戒は大事だ」

「あいあいさーっス」

「久しぶりの海、キレーだなぁ。ねね、ルナちゃん。あの海からぴょこっと出てるのって何? おっきな岩?」

「くっくっく、なんであろうな。釣りをするときにでも一緒に見に行ってみるのである」

「氷の上をお散歩だね!! んふふ~ロマンチック~」


 オレは皆から少し下がって準備運動をする振りをする。

 右からソーエン、ナトリ、ヤイナ、ラリルレか。丁度良い位置取りだな。一気にあのバカ三人を巻き込める。

 よし。体を屈めてっと。駆け出す準備をして。<隠密>使って。これで準備オッケー。

 オレは狙いを定めて両手を構える。

 そして――――。

 足に力を込め、全身のバネを使い思いっきり駆け出したオレは、ナトリには頭突きを、両脇の二人には張り手を背中から思いっきりぶち当てた。


「ぎゃあああああっスーーーー!!」


 三人そろって桟橋から落下を始める。うーん、なんていい景色なんだ。心なしかスローモーションに見えるぜ。

 触れたから<隠密>は解けたけど、もう隠れる必要ないから問題なし。この一撃を当てられればそれでよかった。

 完全なる意識外からの不意打ちだ。対応する暇も無く三人はあっけなく海に落ちて水しぶきを上げる。


「びっ……くりしたぁ」

「皆へのサプラ~イズ」


 オレの横ではラリルレが目を丸くしながらオレを見ていた。


「やりやがったなあのバカッ」

「っスーーー!! マジで酷いっスよ!!」

「スキルを使ってまでやるほどの事であるか?」

「ファック!! 黙れ無慈悲なクソ共!!」


 落とされた三人はと言うと、オレに向かって文句を言ってくるけど……負け犬の遠吠えを聞くのは何て気持ちがいいんだろう。


「あーすっきりした。オレ達も行くか」

「うん!! 皆で海水浴だー!!」


 濡れたくない奴等を濡らしてやった。仕返しをしたかったわけじゃない。最善の策をとるために仕方なく皆を海に落としたんだ。濡れたくない仲間を海に落とすなんてなんて心が痛むんだろう、酷い事をしてしまった。マジでごめんな。


 それにしても、っあーーーーーーーホントすっきりしたわぁ。

 オレは満足しながら、ラリルレと一緒に海に飛び込んだ。

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