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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第四章-どうしてこうなるんだ異世界-
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46.つんつんつーん

 その後待つこと一時間。町から伸びる街道から少し外れてこちらへ向かってくる一団がいた。


 そう。ソーエン達ご一行だ。


 ……マジで真っ直ぐ来たのかよ。そっちの方向、後ろは平原と森しかないぞ? 道ですらないぞ? そもそもお前等どこ歩いてたんだよ……。


 あとあのバカに先陣切らせる止めろって。あいつ怖そうな見た目と謎のふてぶてしさのせいで、自信に満ち溢れている凄腕の男に見えるかもしれないけど、その実中はオレとほとんど変わらんバカだから。なんなら方向音痴が付随してるバカだから。


「同士と一緒にいて良かった」


 町の入り口脇であのバカ共の到着を待っていると、急にサンカが謎に嬉しい事を言ってくれた。


「そう?」


 やっぱパーティから離れて不安だったのかな。オレがいることでその不安が払拭されていたなら、それは喜ばしい事だ。


「うん。目立つ格好だから、マールとシーカが私を見つけやすくなる」


 ああ……そっちかぁ。今までのことじゃなくて今現在の事かぁ。


「やっぱカッコイイってのは目立っちまうもんなんだな」

「いや……うん……」


 オレが悦に浸っている間に、茶髪ボブと藍色ポニーテールがサンカの名前を呼びながら大きく手を振って駆け寄ってくる。


 名前なんだっけ?


 ってか、何であの二人は走ってんのにオレの仲間は悠々と歩いてきてるの? 空気感違くない?


「「サンカァァァアアアアアアアアアああああああああ!!」」


「マールぅ!!シーカぁ!!」


 泣きながら全力で近づいてきた二人は、そのままの勢いでサンカと抱き合い始めた。


 オレの隣では太陽の恵みが抱き合って再会を喜び合ってるけど……。


「ソーエン殿達はのんびりでありますね」

「まるでピクニックに来ているみたいだわ」

「うーん。ニーアね、オレもそれちょっと思ってた。多分このまま会ってもコイツ等みたいに再会喜ぶ感じの雰囲気じゃないわ」


 横では三人が抱き合いながら声を上げておいおい泣いてるけど……サンカのは安心と嬉しさの涙だからセーフ。


 そんで……マジでおっそいなぁ。ラリルレだけだよ、オレに笑顔で手を振ってちょこちょこ走ってきてくれてるの。足遅いの可愛いなぁ……。


 で、それ以外まーじで何も反応ないんだけど。

 いやまあ、ぶっちゃけ太陽の恵みみたいにお互い心配しあってた訳じゃないから、泣きながら喜ぶほどじゃないけどさぁ。現にオレもあいつ等見て駆け寄って行ってる訳じゃないし。

 お互いに駆け出さないから、あいつ等がのっそのっそ歩いて町に到着するのを待つ。


「あのあの、イキョウさん!! サンカのこと、本当にありがとうございました!!」

「君のおかげでサンカが寂しがらずに済んだ。本当にありがとう……本当に……ありがとう……っ!!」


 あいつ等遅いから、太陽の恵みが次のフェイズに進んじゃったじゃん。再会の喜び終わってんじゃん。

 なんか言われたけど、オレはちょこちょこ走ってるラリルレを見ていたいからちょっと今目が離せないんで……。


「同士、同士」


 二人にお礼を言われた後、サンカに外套を引かれた。名前を知ってるサンカなら目を向けるか。


「ん?」

「ありがと」


 ……サンカが今までに見たこと無いほどの笑顔を精一杯浮かべながら、泣いてお礼を言ってきた。

 仲間と合流できて安心したからだろうな。よかったね、サンカ。


 そんなサンカに抱きつきながら、茶髪ボブと藍色ポニテは泣きながらオレのことを見ていた。

 ……でもなぁ。


「元はと言えばあのバカのせいでサンカが巻き込まれたんだから気にする必要なーし。それにシャーユにいる間はコロロとニーアに任せっきりだったしオレは何もしてない」

「そんなこと無いぞ、同士のおかげだ、どうしのおかげで楽しかった。ありがと、同士」

「何がだ、痒くなりそうだから辞めて」

「ふへへ。同士、ありがと」

「もー、こちらこそありがとだぞサンカ。色んなこと教えてくれてありがとな」

「わぁぁああ、サンカが男の人に物怖じしてないです!! 珍しいです!!」

「……そこも感動なのだけれど……私にはもっと気になることがあるよ。今君は、誰と誰にサンカを任せたと言ったのかな?」


 なんかポニテから急に質問されたな。


「コロロとニーア」

「……あれあれ? 聞き覚えしかない名前が…」

「もしかして……」


 そういやコイツ等王国生まれだったな。なら二人の名前も知ってるだろ。


「申し送れました私は王国騎士団所属、四騎士のコロロと申します」

「ナターリア様の近衛メイド、ニーアでございます」

「「ぁっ――――」」


 二人の所属を聞いて、ボブとポニテが固まってしまった。


「なにこれ?」

「私は間があったから大丈夫だったけど、普通はこうなるんだぞ、同士。本体なら私達じゃ関わることが出来ないような方々なんだ」

「お前等って凄かったんだな」

「私としては気軽に接して貰って構わないのでありますが……」

「高い地位に居る者の宿命ね」

「偉いって大変なんだなぁ」


 で、このボブとポニテは何時まで固まってるんだろう……。


「マぁールぅー、シぃーカぁー。おーい」


 サンカは二人の目の前で手を振ってるけど、まだ戻らない。

 元に戻るまで放って置くか。

 二人から目を離して、仲間の進行状況を見る。


 オレの仲間達は……そこそこ近くまで来たな。そしてようやくラリルレが到着してくれた。


「キョーちゃん!!」

「ラリルレ!!」


 駆け寄ってくれたラリルレはオレの手を掴んでピョンピョンしてくれる。上ではロロがブルンブルンしてるけど、こういうのはいつもの事だから放って置こう。

 ラリルレがピョンピョンするならオレだってするさ。


「キョーちゃんキョーちゃん!!」

「ラリルレラリルレ!!」

「「きゃっきゃ」」


 オレとラリルレは、二人で永遠ときゃっきゃ出来るんじゃないかってくらいくらいには二人できゃっきゃする。ロロもぉ……入れるならおいでぇ……ウェルカムだぞぉ……。


「微笑ましい光景のはずでありますが、大の男がそれをするのは少々無理が……」

「キョーちゃん、寂しくなかった?」

「ぜーんぜん。ラリルレは?」

「寂しくなかったよ!! でも、ここに来るまでキョーちゃんが居たらもっと楽しかったんだろうなぁって思ったぁ!!」

「同じじゃんッ!! オレもラリルレ居ればなぁって思ってたわぁ!!」


 ナトリとヤイナが居たし、そこにラリルレが居ればなぁ。


「ソーちゃんは?」

「ケッ、アイツはどうでも良いんだよ」

「「とーちゃく」」「しょーゆ?」「みーら?」

「おめでと双子。そんでシャーユね」

「「おにーさん、あむあむ」」

「あーずるいー、ボクもー」


 のそのそ組みはようやく到着か。


 ただ、到着早々にオレにしがみつくな齧るな魔力を吸うな。


 ラリルレと両手を繋いだまま魔力吸われる…。今のところラリルレ以外にこれといって特別な反応が無くて、全員マイペースなんだけど……。


「ふう、ようやく到着か。まずは宿だな」

「教訓活かしてるのは偉いけど、お前に関しちゃもはやオレ見えて無いじゃんか」


 ソーエンに関してはオレスルーして宿取ろうとしてた。

 異世界に来て始めに学んだことだから大切っちゃあ大切だけどな。


「言葉は要るか」

「いらねーよ」


 別にコイツとオレの間に再会を喜ぶような言葉は要らんしな。

 オレも同じ事するだろうし。逆の立場だったら、オレが宿屋探し始めればソーエンが自然と付いて来ていつも通り適当なバカ話を始めるだけだ。


「ソーちゃんも手繋ご?」

「…ラリルレが言うのなら」


 ラリルレの提案で、オレ達三人が輪っか作っちゃった。

 だったら跳ねるしかねぇじゃん。


「「きゃっきゃ」」

「……きゃっきゃ」

「えぇ…ソーエン殿まで…」

「ソーちゃんは寂しかった?」

「寂しくは無い。それどころかこのバカが居なくなった分の穴を埋めるのに苦労した。おい、礼を言え」

「は?元はと言えばてめぇのせいだろうがよ!!むしろお前がごめんなさいしろや!!」


 きゃっきゃはやめじゃオラ。ラリルレには悪いけど手を離してオレ達は睨み合う。


「んふふ~、二人は仲良しさんだねぇ」

「「照れる」」

「ソーエン様の頭の中身も相当でございますね」

「ニーアか」

「ご無沙汰しております」

「コロロちゃん!!」

「ラリルレどのー!!」


 ああ、ラリルレがコロロの方に行ってしまった……。

 くそっ、ラリルレが居なきゃ残ってるのは魔力喰らい共とバカと比較的まともなシアスタしか居ないじゃないか。


 シアスタかぁ……そろそろ向き合わなきゃなぁ。


「シアスター」


 ずっと皆の後ろで剥れてたシアスタに声を掛ける。


「つーん」


 久々に聞いたぞそれ。


「元気してたかー」

「つーん」


 全く反応してくれない。

 試しにほっぺ突いてみるか。

 つんつん。

 ぺしっと手を叩き落とされた。


「なぁー感動の再会だぞー。反応してくれよー」

「……嘘つき」

「…は?」

「嘘つき!!」


 めっちゃ大きな声で嘘つきって言われた……。しかも涙目で。

 ダメだぁ……コイツの涙は氷の精霊の特性だから気にしなくて良いって言われてるけど…その分涙に感情が乗らないから、いまいち判断しにくい。シアスタはオレ特攻なの。


「…すんません」

「つーん」


 謝罪がお望みではなかったのか……。


「アメをお納めください」

「つーん」


 アメでもなかったのか……。でもコイツ『つーん』って言いながらちゃっかりアメ回収しやがったぞ。


「許してくれよーシアスタ、今回のは事故だったんだよ。何も好きでお前から離れた訳じゃないんだよ」

「……離れてる間、私のことが心配でしたか」


 シアスタがツーンとしながら聞いて来る。


「いや全然。そっちにはソーエンとラリルレ居たし」

「つーーーーーーーーーん!!」

「待て待て、その判断は早計だから。続き聞いて?」

「つーん?」


 シアスタは、そっぽ向きながらも片目を開けてこっち見て来た。


「お前等もそこそこ強くなってんだから、皆揃ってんなら心配する必要ないだろ」

「ぎりぎりつーんです」

「えぇ……」


 つーんってそう言うもんだっけ?ぎりぎりつーんて何?ギリギリの判断基準どこ?

 でもギリギリならもう一歩か?あと何言えば良いんだ?

 とりあえず素直な感想を述べてみよう。


「ここまで何の問題も無くたどり着けて良かったよ」

「つん?」

「あのバカはなんかやらかさなかったか?」

「つんつん」

「そっか。じゃあ、本当に安全な旅路だったんだな。シアスタに無事に会えてよかったよ」

「つー……ん。じゃないです。私は寛大なので、ギリギリ許します」


 ギリギリなの? 全然寛大じゃ無くない?


「おにーさん」「わたしたちは?」

「ボクもボクもー」

「はいはい良かった良かった」

「ぶー」「なげやり」「しあすたの」「まねする」「「つーん」」

「つーんだー」

「めんどいなー。お前等にも会えて良かったよ」

「かんだいだから」「ぎりぎりゆるす」

「ボクは別にどうでもいいやー、怒ってないしー」

「心底めんどくせぇ……」

「ん」


 面倒くさがってるオレに、シアスタが手を伸ばしてきた。


「へいへい…分かりましたよ」


 もういいよ、好きにしてくれ。

 手を伸ばしてきたシアスタを、右腕に座らせる様に抱える。

 すげーよ、家の子達全員引っ付いちゃったよ。


「お前の体は子供が群がる樹液でも出ているのか」


 後ろからクソ腹立つこと言われた。


「知らんわ。おい、ソーエンが寂しがってるから誰か行ってやれって」

「しょくじちゅうに」「たちあるくのは」「まなーいはん」

「お前等飛んでるじゃん…」

「旅の間散々引っ付かれたんだ。後はお前に任せる」

「もう良いよ…慣れっこだから…」


 オレが何言っても無駄だし、さっさと諦めるか。

 横ではボブとポニテの硬直も解けて、今はメッチャあたふたしてる。町の入り口でこんなわちゃわちゃしてても邪魔だろうし、さっさと移動しよう。


 と言うか、この後にやる事あるから早くソーエンとラリルレをカフェに連れて行きたい。


「おい引っ付き虫共。ちょっとやる事あっから離れろ」

「「やー」」

「断ります」

「ふへー」

「一人めんどくさがって断りすらしてない奴いんだけど」

「やりたい事とはなんだ」

「いやぁちょっとね。ラリルレーちょっと来てー」


 太陽の恵みやコロロとニーアと話しているところ悪いけど、ラリルレを呼び寄せる。


「どーしたの?」

「ソーエンとラリルレに話したい事があるんだ」

「私達は仲間はずれですか!!そーですか!!」


 げ、何今日のシアスタ。クッソめんどくさい。


「違う違う。皆大好き、ちょっと二人に用事があるだけ。ちょっと場所移したいだけ」

「ふーん……なら? 良いですよ?」


 なんかツンツン照れながら言ってきやがる。マジで何何だ。


「後で魔力吸わせてくれるならいいよー。いってらっしゃー」

「わたしたちも」「ソーキスとおなじ」


 よし、これで子供達の件はオールグリーン。

 シアスタ達には申し訳無いけど、久々にゲーム組みだけで集まりたいから……そのためには残り一人を引き離す必要がある。


「ロロ」

「断る」


 早ぇ……。まだ何も言ってないんだけど。

 ってか、再会後の一発目の会話これかよ。まあ、ロロから何かこれと言った言葉が飛び出すとは思ってなかったから、想像通りっちゃあ想像通りだ。


「頼むよ~ロロ~」

「何故我が貴様の願いを聞き届けなければならないのだ」

「ロロちゃん、キョーちゃんは大事な話をするんだと思うんだ。だからお願い、ね?」

「ラリルレが願うのならば」

「ありがと、ロロちゃん」


 うーん、この聞き訳が良すぎる元邪神め。


 でもこれでゲーム組だけで行動できるようになったな。

 子供達をオレから下ろすと、ソーキスの頭にロロがにゅるりと移動した。しかもソーキス拒否しねーし。

 子供達の中だったら、まずはソーキスに乗るのか…。

 その姿を見ていると――。


「ソーキス、聞いてくれ!!私にも友達が出来たんだ!!」


 ソーキスがオレから降りるのを見計らったかのように、サンカが駆け寄ってきた。

 サンカはソーキスに詰め寄って、嬉しそうに報告をする。

 お前等仲良かったのか……。


「やるじゃーん。サンカは友達作りの天才だー」

「アステルの友達一号のソーキスにそう言われると照れるな、ふへへ」

「ふへへー」

「「ふへへー」」


 なんか二人して体をくにゃっとして笑いあってる。

 何その共鳴?


「ソーキス達は私達が町を案内する。付いて来てくれ」

「よし、皆それぞれレッツゴー」


 ソーエンとラリルレ以外の事はサンカ達に任せてるから安心だ。

 子供達はサンカ達の後ろについていこうとする。


「イキョウよ」


 そのさなか、ロロから呼ばれた。


「我はカレーを所望する」

「……へいへい」


 ロロはそれだけ言ってあとは何も言わなかった。

 これはあいつなりの再会の挨拶なのかもしれない。

 お願いされちゃ仕方ねぇなぁ。後で腹いっぱい食わせてやるよ。


「さーて、オレ達も移動するか」

「何処に行くつもりだ」

「カフェだよ。そこで落ち付いてゆっくり話そうぜ」

「んふふ~、楽しみだなぁ」

「オレも楽しみぃ」


 さて、ここからが本番だ。この二人の度肝を抜いてやるぜ。

 オレ達はカフェへ、他は……なにすんだろ。まあ、とにかく町へ、分かれて行動を始めた。

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