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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第四章-どうしてこうなるんだ異世界-
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45.町角で待ち、マチマチな話をしながら到着を俟ち

 * * *


 ニーアのあの目って何なんだろう。でも本人も無意識にやってるらしいから、意味を聞いても答えられないだろう。


 今日は皆で飯食って、宿屋に帰ってきて、体拭いて速攻ベッドに入った。何話したのかは覚えてない。だって、ニーアの目がずっとオレを見てたから怖かったの。


 部屋に戻ると、サンカはナトリと会話して嬉しかったことをずっと話していたけど、それでもオレより先に寝た。話し疲れたんだろう


 明日だ、明日が来れば女神に会える。それまで耐えるんだオレの心。

 たとえ、サンカが寝て数刻の間も無く入ってきたニーアに噛まれようとも、明日を希望にオレは寝るんだ。


「かぷかぷ」


 ……。


「かぷ、かぷかぷ」


 ……。


「かぷ…かぷ。かぷ」


 ……。


 やっぱ寝れねぇ。

 今日もまた<スリープ>か?


「かぷ、かぷ」


 コイツ本当に咬むの大好きだな。


 いや…オレは今十八禁本のような存在だ。本は詮索をしない。大人しくそこにあるのみ。本は文字を記せど言葉は語らない。

 だからオレは本になる。


 <スリープ>


 * * *


 朝起きると、ベッドには必ずオレが一人寝ているだけ。


 ニーアって一体どのタイミングで帰ってるんだろう。


 少し気になる。でも、オレは本だ。本は読者に尋ねない。オレはそんな無粋な事はしない、デキる男だ。人の性癖事情を詮索するようなことは決してしない。


 ニーアのことは心に仕舞っておいて、さっさと裏庭に行くか。


 オレは何時も通り、サンカを起さないようにそうっと部屋から出て裏庭に向かう。

 そしていつものように煙草を吸う。


 今日こそはオシャレなポエムを……。

 朝の煙草はまるでオレのコロロを癒す…コロロの声がオレを…。なんか違うな。

 心のコロロが声を癒す…。

 ……………。

 ………。


「イキョウ殿、おはようでございます」

「癒しのココロロおはようの声」

「先日よりも酷くなってるであります」


 また混ざってしまった…。

 でもそんなオレの発言に対して、コロロは微笑みながら言葉を返してきてくれる。


「ねぼすけさん、であります」


 コロロがオレの頬をツンって突いて、楽しそうな声を出してきた。

 なんて……可愛らしい仕草なんだ…。


「オレ今最高に楽しい。この時間が一番充実していると言っても過言じゃない」

「私もでありますよ。こんなに楽しい朝の鍛錬は初めてであります」


 なんて素直な言葉なんだ。コロロは真っ直ぐな奴だから、そこまでストレートに言われるとなんだか嬉しくなっちゃうな。


「今日の鍛錬はどうするんだ?」


 オレの横で壁にもたれかかっているコロロに尋ねる。


「昨日と同じでお願いするであります。今日こそは絶対に当てるでありますよ」

「そっかぁ。じゃあ絶対に当たらないようにしないとな」


 コロロが気合入れんなら、オレも気合を入れないと失礼だ。


「ふっふっふであります。望むところでありますよ」

「煙草吸い終わるまで待ってて」

「大丈夫でありますよ、この待ってる時間も好きでありますから」


 めっちゃ嬉しい事言ってくれんじゃん…。

 この町に来てからは穏やかな日々が続いてるなぁ。ナトリの件を除いてだけど。今回はこのまま問題無く、平和な時間を過ごせるのでは?

 そんなことを思いながら煙草の煙を吐いて、この朝の時間を堪能した。


 * * *


「キョーちゃん、今日のお昼過ぎくらいにとーちゃくする予定だよ」

「出迎えの準備をしておけ」

「へーい、お気をつけてお越しください。ソーエンだけはそのままお帰りください」


 という連絡が朝食を取ってる最中に届いた。


 その事をサンカ達に伝えた後、ヤイナとナトリにチャットを飛ばして報告した。


 後は各々好きに時間を過ごして今は約束の昼過ぎ。

 町の入り口にはオレ、サンカ、ニーア、コロロが待機している。

 ナトリ達はサプライズの為にカフェで待機だ。

 この行為はクソバカソーエンの言葉に従ってるようで少し癪だけど、このサプライズは相当びっくりするだろうから、そのときの顔を見られると思えば我慢できる。


「ウケケケケケケ、楽しみだぜぇぇぇえええええええ」

「同士、笑顔が下品だぞ」


 街道脇で待機していると、サンカからずっげぇ酷い事言われた。


「えっ、オレの顔どうなってたの?」

「例えるなら、金品強奪に成功した盗賊って感じだったぞ」

「マジかよ……好青年がして良い顔じゃないだろそれ」

「こういうのもアレだが……同士はその枠には入ってないと思うぞ」

「サンカが辛辣な事を……」

「あっ、すまない同士……。同士が相手だとついつい本当のことを言ってしまうんだ。はっきりものを言えるのが楽しくて……」

「やーん何そのいじらしい理由、許したくなっちゃうじゃーん。……ん? 本当のこと?」

「あなたって本当にその場の流れで生きてるのね。教えて貰った通りだわ」

「教えてもらった? 何を?」

「いえ、なんでもないわ」

「そっかぁ。ならいいや」

「おや? イキョウ殿? 聞き訳が良いでありますね」

「いやぁ…だって…うん……」


 変に深彫りしてまたあの目になられるの本当に嫌だから、ニーアの言葉には素直に従うしかない。


「――にしておせーなぁ。そろそろ到着しても良い頃だと思うんだけどなぁ」


 具体的な時間を決めてる訳じゃいけど、昼過ぎがマジで過ぎそうなくらいの時間になってる。予定時間オーバー状態だぞ。


「ワイバーン便を利用するとの事でありましたが、そのままシャーユへ?」

「いんや、近くで降りて歩いて町までくるらしい……その後のワイバーンってどう済んだろ、放置?」

「騎手が居るから、利用後は元の町まで戻るわ」

「へー…ってかワイバーン便ってそもそも何なの? ナチュラルに受け入れたけど、その実何か全く知らんわ」

「えぇ……今疑問を持つのでありますか……」

「頭の中が無茶苦茶だぞ、同士」

「調教されたワイバーン二頭を一人の騎手が操作し、馬車の車体のような籠を運ぶ事によって、馬車よりも早く移動出来る移動手段よ。でも、その分料金が高いから平民が利用するのは難しいでしょうね」

「高いってドンくらい?」

「距離にもよるけど、最低でも金貨十枚は掛かるわ」


 最低でそれか……。

 カフスは何て高価なものをポンッと渡してるんだ……。借りの半分くらいは帳消しにして良いほどのもんだぞ。


「あいつらなんて高級な物に乗ってきてるんだ!! そんな常人じゃ乗れないような珍しいもの使って来るとか、転移事故で飛ばされたオレが馬鹿みたいじゃないか!!」

「どっちかって言うと、転移事故で飛ばされる方が珍しいと思うぞ。同士」

「あんなボロい紙切れに書かれてた下らない魔法よりも金貨十枚のチケットの方が絶対いいに決まってんじゃん!!」

「同士。転移の魔法は無属性魔法の最上級ランクに位置する魔法だから、そうそう体験できるものじゃないんだぞ」

「そんな体験に殺されかけたのは忘れねぇからな。オレの中じゃ転移魔法はクソだ」

「現在使用できるものが居ないと言われているほどの大魔法をそこまでこき下ろすのは、世界広しと言えど同士くらいだ……」

「へー、無属性魔法なのに何で居ないの? やっぱり碌な魔法じゃないから?」

「いや…私達のは特殊な事例で……。理由としては、単純に膨大な魔力を消費するからだ」


 膨大な魔力か。この世界って結構平和だし、知り合った中じゃ百三十のキアルが最高レベルだもんなぁ。


 昔は使えた奴が居たってことは、昔は激動の時代があって高レベルがもっと沢山居たんだろう。水晶の開発者だって二百は越えてたらしいし。平和な世の中になって戦う事が少なくなった弊害なのかもしれないな。

 平和時代になったからこそ起こる弊害。ちょっと面白いな、昔の高レベル達が現代にきたら、『まったく、最近の若者はレベリングの仕方を知らなくて困る』とか『ゆとりレベル』とか言うんだろうか。


「なるほどねー。足りないなら皆で魔力を分担して発動すればいいじゃん」

「一つの魔方陣に接続できるのは一人までなんだ。それをするなら、皆の魔力を一人に集めるという荒唐無稽な理論でも使わないと発動できない」


 サンカの言葉に、オレ、コロロ、ニーアの三人が揃って感嘆の声を上げる。


「博識ね」

「知らなかったのであります」

「サンカは天才か?」

「ふへへ……それほどでも……」


 ナトリといいサンカといい、よくもまぁ難しそうな魔法の理論を理解しているな。

 魔法使いは総じて頭が良いのかも知れない。魔法って頭使いそうな力だもんなぁ。

 頭の良い二人にだただた感心する。

 でも……感心してもあいつらは全然来ねぇ……。


「マジで何してんだ。ちょっと連絡するわ」


 断りを入れて、オレは耳に手を当てる。

 ソーエンとラリルレが居るから大丈夫だとは思うけど、一応状況を聞いてみよう。

 と言う訳で、ソーエンにコールしてみる。


「なんだ」


 コールに反応あり。いつものスカした声が聞こえてくる。


「到着遅いから何してんのかなーって」

「心配ない。俺が先陣を切って歩いていたら道に迷っただけだ」

「へー……」


 コイツ馬鹿じゃねぇの?


「なんで方向音痴のお前が先陣切ってんの? 何で皆もそれに付いて行ってんの?」

「近道があると思ってな、俺だけで先行するつもりだった。何故皆が付いてきたのかは知らん」

「どうせお前が自信満々に歩いたからだろうがぁ!! ちょっと双子にこう伝えろ。『クールで最高にカッコイイイキョウの魔力を感じる方に真っ直ぐ来れば良いだけだから、アホな醜態晒した私の方向感覚は信用しないでください』って」

「分かった。おい双子、あのバカの魔力がする方角を指差せ。その方向に真っ直ぐ進めばシャーユに辿りつく」


 オレが伝えろって言った事ガン無視じゃんよ。


「ってか……一番の近道って真っ直ぐ来ることじゃん。最初からそうしろよ……」

「……お前、さては頭が良いな」

「うけけ、照れる」

「だが、こういった格言も存在する事を覚えておけ。遠回りこそが俺の最短の道だった。と」

「カッコイイ格言だけど、それ言って良いのは遠回りしてるやつな? 迷子と遠回りは違うからな?」

「……恐らく一時間もあれば到着するだろう」

「あいよ。じゃあな」


 バカの相手が終わって通話を切る。

 はあ、ソーエンのせいで到着遅れてんのかぁ。


「サンカ……ごめんな……」

「どうしたんだ同士!? 何があったんだ!!」

「顔がすっごいしょぼくれてるのであります…」


 パーティメンバーとの合流を心待ちにしていたサンカには謝らなくちゃならないだろ……。

 オレの親友がごめんなさい。

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