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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第三・五章-オレの親友がポンコツなんだよ異世界-
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14.ちょっと睨んでみよう

「イキョウ君はどうしてそこまで覇気が無いのかな?」


「優しいだとか覇気が無いだとか、お前さっきから煽りしかしねぇな」


「勘違いさせてしまったのなら謝るよ。ただ、冒険者という者はランクが上がれば必然と存在感や圧というものを身に着けるんだ。日常では押さえている者は多いけど、完全に消せる者はそう多くは無い。ああ、絶・漆黒の影君は別だけどね」


 テモフォーバは言った。『勘違いさせてしまったのなら』と。まるで、またオレが物事を内緒にしているかのような、その覇気ってやつを意図的に消してるんじゃないかって思っているような口ぶりで。


 絶影は別なんだ……。まあ、あいつらって情報収集集団っぽいしそういうのを消すのも得意なんだろう。


 それはそれとして。


「あそこのバカも同じだろ」


 オレは目の前で二等級達の話を聞いているソーエンを眼で指す。


「彼は君とはまた違った……なんだろうね、あれは。彼は周りに無関心だから圧を放つことすらしないのかな?」


 テモフォーバ、お前……それも一つの正解だよ。あくまで一つだけどな。一番の理由は注意を引かない様にして、無用な関わりを避けるためだ。


 あいつはその圧とか言うやつをコントロールしている。


 コントロールしてる理由は色々あるけど、最たる理由が一つある。あいつがマジになると本当にやばくて、オレ以外は誰も近づけなくなるから普段は完全に押さえている。仲間が自分の下を去って欲しくないからっていう寂しがり屋な理由でな。


「彼はその姿のほとんどを隠しているから読みづらいね。でも、君の方がもっと読みづらい……というよりも読めないね。その眼を見ても写してるものがなんなのかがよく分からなかったよ」


 テモフォーバはオレを観察する事は辞めた。その代わり、言葉でオレを探ってくる。


 いいさ、今のお前は会話するのが楽しいんだろ? オレもさっき『聞きたい事があったら聞いてくれ』って言ったしな、疑問に答えてやろうじゃないか。


 ただし、答えられることだけだどな!!


「オレは圧なんてもん出せないからそもそも覇気も無い」


 こればかりは答えられないんだ。


 だって……その圧ってものの出し方が良く分からないんだもの。何? 睨めばいいの? 睨みが圧なの?


 ちょっとテモフォーバを睨んでみるか。ギロォッ!!


「なぜだろうね……ヌラっとしてるよ……」


「そうなんですよねぇ……。イキョウさんの目ってこう……そうなんですよね……」


 どうしてだ。テモフォーバからは変なことを言われるし、受付さんからは訳の分からないことを言われる。


「私の<滲出する怖気>を耐えた者のはずなんだけど……これはもう分からないね」


 別にテモフォーバはオレ達を見極めたいんじゃなくて、言葉を交わしてオレ達を知りたいだけ。だったら語れないオレはこれ以上テモフォーバに教えてあげられる事は無い。


 テモフォーバもそのことは分かっているようで、詮索も観察も追及もすることをしない。


 だからこの話はもう終わりだ。


「ギルマスよ」


 前方で話をしていた絶影は、急にテモフォーバのことを呼ぶと同時にサムズアップをしてきた。


 そっかぁ、技名使ってもらって嬉しかったんだな。


 その絶影に対して、歪んだ目と同じくサムズアップをして返すテモフォーバ。


「ああ、楽しい。凄く楽しい」


 噛み締めるようにそう言うと、眼と口を更に歪める。


「そんなに楽しいなら講習混ざって来たら? そんでついでにギルマスとしての顔見せしてくればいいじゃん」


「そうですよ!!イキョウさんの言う通りです!! いい機会ですので行きましょう!!」


 受付さんは目を輝かせながらテモフォーバを見ている。


 長い間関わってきた受付さんは、テモフォーバが優しいってことを皆に知ってもらいたいんだろうな。あと、テモフォーバ自身の交流も増やそうとしてるんだろう。なんて健気なお人なんだ。


「見て回りたとは思っていたけど……そう……だね、そうしてみようかな。でも進行の邪魔になったりしないかい?」


「今日は試験的なものなので、諸々に配慮して時間には十分余裕を持たせています。ですから何の問題もありません」


「そっか。……じゃあ少しだけお邪魔しようかな」


「やった!! 早速行きましょう。さあイキョウさんも」


「オレも?」


「え? 行かないんですか?」


 受付さんはきょとんとした顔でオレを見てくる。


 受付さんの中ではオレも同行するのが決定事項だったの?


 でもなぁ。講義とか授業とかそういうの嫌いなんだよなぁ。それに、今日という一日はソーエンの為につかってやろうと思ってるから、あいつがこの場に残るならオレも残るつもりだ。もちろん、居なくて良いって言うなら別にオレは好きに行動させてもらうけどさ。


 でも言われて無いからここを動く事は出来ない。


「ごめんね。ちょっと今日は事情があるから」


「そうですか……。イキョウさんがそう言うなら仕方ありません」


 受付さんが少ししょんぼりしてしまった。


 しょんぼりの理由はなんでしょ。最初からテモフォーバを怖がらなかったオレも同行したほうが色々スムーズに行くからとかか? 多分そうだろ。


 テモフォーバと長く付き合って来た受付さんが居れば大丈夫でしょ。


 受付さんは今のテモフォーバが恐怖を撒き散らしていない状態になったことをは重々理解している。だから、テモフォーバのお供は受付さん一人で十分だ。なんなら、受付さんも必要ないくらいには、今のテモフォーバは皆と普通に会話できる。だったらオレがこの場を離れて同行する意味は無いだろう。


「では行きましょうか」


 オレの断りでちょっとしょんぼりしていた受付さんは、いつもの様子に切り替わってテモフォーバと講習を回ろうと歩き出す。


「そうだね。まずは食堂の方から見て回ろうかな」


「おや? ギルマス達。どっか行くんですかい?」


 テモフォーバと受付さんが歩き出すと、それに気づいたキンスが声を出した。


「全体を見て回りながら顔見せでもしようかと思ってね」


「でしたら俺達も付いていきますよ」


「ああ、我々がどのようなことをしているかその都度解説をする。その方が今回の試み的にも良いだろう」


「にゃあ、一緒に改善点を考えましょう。にゃにせ、俺達で考えるんですから」


「……そうだね。私も君達の中に入ってるものね。ありがとう」


 今回の立案者組みにテモフォーバも無事加わったようだ。


 うん、テモフォーバの件はこれにてめでたしめでたし。後はオレが出張るような事は無い。


「おい、聞くべき事は聞いた。もうここに用は無い」


 テモフォーバがあっち側加わると同時に、ソーエンは引き上げて来た。


「早くない?」


「キンス達の話を聞いて思った。あれはあいつ等の話であって俺の話ではない。いづれは手紙に書くつもりだが、一通目に描く事ではないだろう。今回は俺がここで見聞きしたことだけを書く」


「だから切り上げてきたわけね」


「ああ」


 ソーエンはずっと手紙のことを考えている。


 その考えは手紙の書き方だけじゃなくて、どんな内容にするか、ナターリアはどんな話が聞きたいかも含まれている。


 そこら辺に気づけたのも、今までナターリアから送られてきた手紙をちゃんと読んできたからこそだろう。


 ……なんでちゃんと読んだのに返事はゴミカスなんだってのはこの際何も言わない。送られてきたものってのは簡単に受け取れるけど、送るってのは案外難しいことだしな。そんな難しいことをこの友達関係ポンコツ人間が初っ端から出来るはずが無いからな。


「もうこれで十分か?」


「ああ」


 オレの質問に対してソーエンはその二文字だけを答える。


 そっか、お前が十分って言うならオレはもう何も言わないよ。


「早速手紙をしたためる。帰るぞ」


「へいへい。一緒に考えてやるよ」


 ソーエンは帰るぞとオレに言った。それは手伝えって意味であり、協力しろという言葉だ。だったら最後まで付き合ってやるよ。


「っと、その前に。ソーキス!!ロロ!! お前等はどうする?」


 オレはまたテーブルで食を貪っている奴等に対して尋ねる。


「ふへー、カフスと一緒に講義見て回るー」


「我は戻る。そろそろラリルレが起きる頃だ」


「へーい」


 ソーキスはカフスと行動するようだからロロだけ回収して帰るか。


 オレとソーエンは二人でテーブルに歩いていき、ロロを回収しようとただ佇む。


 するとロロは示し合わせたかのようにソーエンの方へとそのまま触手を伸ばしてテーブルからニュルリと移った。


「んじゃ、ソーキスのことよろしくな」


「ん。テモフォーバと一緒に回る。ソーキスの帰り遅くなるかもしれない」


「カフスとご飯食べてくるー」


「あいあい」


 カフスとソーキスは企画者連中と一緒に回った後、二人で飯食ってくるのね。


 仮初の姉弟ではあるけど、この二人は本当の姉弟みたいな関係を築いている。


 ソーキスが休みの日はちょくちょく二人でアステル中のお店を食べ歩いてるし、朝から二人で出かけて夜まで帰ってこないこともざらだ。


 だから今日もそんな食べ歩きを二人でして来るんだろう。


「ソーキス、行こ」


「はーい」


 二人は空いた皿を持ってテモフォーバ達の方へと向かうつもりなんだろう。


 なら、オレ達ももう帰るか。


 ソーキスはカフスと休日を、オレ達は自分達への家へと、それぞれ歩き出した。

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