第ニ十五話 アイトー・フランクスとしての振る舞い
週末が明けて、今日は月曜日の朝である。外は晴れで気持ちのいい朝である。
そして、愛斗は、まだベッドの中にいた。
「どっどっどっ」と駆け足の音が鳴り響き、いきなり部屋のドアが空いた。麗花が部屋に入ってきたのだった。
「愛くん、愛くん、大変よ」と麗花が布団を剥ぎ取って起こしにきた。
「えっ、びっくりしたぁ、どうしたの麗花ちゃん。そんなに慌てて」
「大変なの。朝、テレビでニュースになっているの」
「何が、ニュースになっているの。少し落ち着きなよ。麗花ちゃん」
麗花は深呼吸してから話した。
「愛くんのことがニュースになっているの」
「えー、なんで」
「愛くんがアイトー・フランクスだということがバレたのだと思う」
「ほんとに」
「うん、アイトー・フランクスが日本にいるって、しかも、O学園の生徒で高校生だって」
「んー、O学園」
「うちの学校よ」
「えー、学校までバレたの」
「そうよ」
「ちょっと、やばいかなぁ、大騒ぎになるかも」
「学校は、大丈夫かしら」と麗花は心配していた。
「とりあえず、用意して学校に行こう」
「あっ、そうね。さぁ、早く用意して、愛くん、時間がないよ」と麗花が急かした。
愛斗は、急いで用意して朝ご飯を食べて家を出た。
学校の近くに行くと報道陣が大勢集まっていた。
「愛くん、大変よ。学校の前でマスコミの人達が集まっているよ」
「これじゃ、学校に行けないね」と離れた場所から二人は見ていた。
すると後ろから美香が来た。
「麗花、ちょっと二人で何しているの」
「あっ、美香、今日、テレビ見た」
「見ていない」
「大変なの、愛くんがアイトー・フランクスだと言うことがバレたの」
「えー、ほんとに」
「うん、だから、学校の門にマスコミの人達が集まっているよ」
「ウソ」と美香が驚いて学校の方を見てみると「ほんとうだ」と言った。
「どうしよう」
「うーん、ねぇ、麗花、こっち、こっち」と美香は言って、二人を誘った。
美香は、学校の裏に二人を連れてきて言った。
「ここの塀だったら、登りやすいし入れるよ」と美香は言って、三人は、塀を登りはじめた。
塀を登った三人は、学校に入って校舎に向かった。
校門の前では、報道陣の人達に生徒達が声をかけられていた。
「君、神崎愛斗くんって、知っている」
「いいえ、知りません」と生徒は答えていた。
愛斗達のクラスメイトの女子が学校に入ろうとして声をかけられた。
「君、神崎愛斗くんって、知っている」
「はい」と女の子が答えた。
「神崎愛斗くん、どんな子ですか」とねほりはほり聞いた。
「あの学校がありますので」と生徒は答えると学校の先生が来た。
「あの、すみません。登校の時間なのでインタビューはやめてください」と学校の先生が報道陣に向かって叫んでいた。
愛斗達が教室に入るとクラスの女子生徒達が集まって来た。
「神崎くん、あの、アイトー・フランクスさんって神崎くんなの」と聞いた。
愛斗は、少し間をおいてから答えた。
「そうだよ。僕がアイトー・フランクスだよ」
「えー」と周りから声が上がった。
「マスコミ関係の人達が来て、皆んなには迷惑をかけたと思う」と話し、愛斗は頭を下げた。
「いいよ、私達こそ、神崎くんに対して、色々とごめんなさい」とクラスの女子から謝れられた。
クラスの男子達は、少し離れたところにいた。
男子達は、愛斗のことをイジメていたため、気まずかった。
そして、京香と和美が愛斗達のところに来た。
「愛斗くん」と京香が声をかけてきた。
「何、委員長」と返事をした。
「実は、私が悪いの。あなたがアイトー・フランクスだということを和美に話して、和美が騙されてマスコミ関係の人に話してしまったの」と京香が話した。
「そうだったんだ。まぁ、いずれバレると思っていたよ。大丈夫だよ」と話した。
「ほんとうにごめんなさい」と和美は頭を下げて謝った。
すると担任の先生が教室に入ってきた。
「神崎、至急、校長室に来てくれ、それと今日の授業は、自習になったから各自、勉強するように」と先生が言って愛斗を連れて行った。
愛斗は、先生と校長室に向かった。校長室の前で「コンコン」とノックをした。
「はい、どうぞ」と声が聞こえて、愛斗は校長室に入った。
「愛斗くん。座って」と校長の五十嵐が言った。
「すみません。先生」と愛斗は頭を下げてからソファーに座った。
「いつか、こうなるような気がしたの。時間の問題だったと思います。ただ、報道陣に対する生徒の影響を考えると、わかるわよね。愛斗くん」
「はい、わかっています。明日、記者会見を行おうと思っています。だから、明日は学校を休ませて頂きます」と愛斗は話した。
「どうする気なの」
「正直に表に出ようと思います。それで、マスコミを黙らせるようにしますから、少し待っていてください」と愛斗は話した。
「わかったわ、あなたを信じるわね」と校長は、それ以上のことを言わなかった。
「それと、今日は、もう帰ります」と言って愛斗は校長室を出た。
教室に愛斗が戻ってくると麗花、美香、詩織が愛斗のところに駆け寄ってきた。
「愛くん、大丈夫だった」と麗花が聞いた。クラスの女子も愛斗のことを見つめていた。男子は、相変わらず気まずそうにしていた。
「大丈夫だよ。麗花ちゃん、それと、美香ちゃん、詩織ちゃん、心配しないで」と愛斗が返事すると帰り支度をはじめた。
「どうしたの愛くん。帰るの」
「今日は帰るね」と愛斗は言って、教室を出ようとした。
「愛くん」と麗花が声をかけて、一緒に帰ろうとしたが愛斗は、「麗花ちゃんは、学校に」と言って愛斗一人教室を出て行った。
愛斗が校門まで行くと報道陣が待ち構えていた。
「神崎愛斗くんですね」と記者が声をかけた。
「はい。僕が神崎愛斗です。そして、アイトー・フランクスです」と答えた。
「あのぉ、アイトーさん、どうして日本に」と記者が聞くと愛斗は、手のひらを記者に向けて話を遮った。
「マスコミ関係の皆さん。どうか今日はお帰りください。学校、そして生徒達に迷惑がかかります。すみませんが宜しくお願いします」と愛斗は大声で話した。
「少しだけでも、アイトー・フランクスさん」と記者が声をかけた。
「明日、記者会見を行います」と愛斗が言った。
記者は、「明日ですか」と声を出した。
「インタビューは、明日にしてください。もし、これ以上、しつこくするのであれば、御社は出入り禁止にします。今後、一切、インタビューにはお答えしない、情報も流さない」とはっきり言った。
愛斗の毅然とした態度にマスコミ関係の人達は、皆んな黙ってしまった。
「皆さん、誠にすみませんが本日は、お帰りください」と頭を下げて言った。
マスコミ関係の人達は、周りとはなしながら、「今日は、帰ったほうが良さそうだ」「今日は帰ろう」と言って、ぞろぞろ帰り出して行ったのだった。
マスコミ関係者が皆んな帰ったことを見届けて愛斗も帰って行った。
校舎の窓からは、この様子を全生徒が見ていた。麗花達も心配そうに見ていたのだった。
しばらくして、愛斗が家に着いた。家の中に入ってから俊介に電話した。
「俊介さん。すみません。知っていると思いますが僕の素性がバレてしまいました」
「あぁ、知っているよ。会社のほうも、大変なことになっているよ」
「それで、明日、記者会見を行いたいと思います。記者会見は、会社の研修室を使いたいのですが用意お願いできますか」と愛斗は言った。
「愛斗、わかったよ、至急、準備させるよ」
「それと、マスコミ関係にも伝達をお願いしてもいいですか」
「了解した。愛斗、時間はどうする」
「明日の十七時に記者会見を行うと言っておいてください」
「そうか、わかった」
「じゃ、俊介さん、お願いします」と愛斗は話して電話を切った。
そして、愛斗は、明日の記者会見で話すことを考えていた。
その頃、テレビでは「あの世界で有名な、アイトー・フランクスさんは日本にいた。そして、日本の高校生であり、学校に通っていました。明日、十七時に記者会見を行う予定です」とニュースになっていた。
日本だけではなく、世界のメディアでもニュースになっていた。
愛斗が自分の部屋にあるベットで寝転んでいると麗花が帰ってきた。
「愛くん。大丈夫だった。心配したよ」
「大丈夫だよ。麗花ちゃん。心配かけたね」
「あぁ、良かったぁ」と麗花はほっとしていた。
「麗花ちゃん、明日も学校を休むよ」
「明日も学校を」
「うん。会社で記者会見を行うことにしたよ」
「じゃあ、私も一緒に行くよ」
「麗花ちゃんは家にいてほしい」
「いやよ、私は、あなたの婚約者よ」
「うーん、わかったよ、会社の研修室で行うから後ろの方で見ていてくれ」
「うん。でも、どうするの」
「これから、考えるよ、だから心配しないで僕を信じてほしい」
「うん。わかった。愛くんを信じるよ。じゃあ、今日は、アンナさんと一緒に家でご飯を食べましょ」と麗花は愛斗を誘った。
その夜、愛斗とアンナは麗花の家に行って夕飯を神崎家と一緒に食べた。
麗花の両親、姉の愛夏も愛斗のことを心配していた。
「大丈夫だよ、僕が何とかするよ。心配しないで」と麗花の家族に言った。
楽しく夕飯を食べたあと愛斗とアンナは家に戻った。
愛斗は、風呂の湯舟に浸かりながら記者会見で話すことを考えていたのだった。
風呂から出て着替えた後、愛斗がリビングに行くとアンナがいた。
「愛斗、いつかは、こうなると思っていましたよ」
「そうだね、時間の問題だったかもしれないね」
「アンナさん、明日は色々とお願いします」
「わかっているよ。愛斗」とアンナは答えた。
愛斗は自分の部屋に戻り、マスコミ関係者を黙らせるにはどうしたらよいかと考えていたのだった。
いつのまにか愛斗は眠っていたのだった。
そして、記者会見を行う朝になって愛斗は目が覚めた。
ベッドから起き上がり、両方のほっぺを叩いて「よし」と気合いを入れた愛斗がいたのだった。




