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物語の始まり-2

「リナー、そろそろ出るわよー」

「はーい!」


今日は学校の入学式。

すっかり空っぽになった私の部屋を見て、私は荷物を抱え直した。

お母さんが商人の仕事で使う馬車に荷物を詰め込む。

ひとつの本を片手に、私は馬車の中に乗った。

昨日、お母さんに呼ばれたときにもらった本だ。


『リナ、休憩がてらにこっち来てくれない?』

『はーい』


荷造りの手を休め、私はお母さんのところに行った。

そのとき母の手には、茶色い背表紙の本が握られていた。


『それなに?』

『これはねぇ、お母さんが小さいときに私のお母さんにもらった呪文の書』

『ふーん』

『この村じゃ使えないけど、学校で役に立つ』

『え。くれるの?』


おばあちゃんからもらったやつなのに。

そう言うと、お母さんは少し微笑んだ。


『お母さんね、リナの将来にたくさん口出ししちゃったと思ったの。リナのことはリナで決める。私の第ニの人生じゃない、って、今頃気づいたの。遅いわよね。あそこならリナのなりたいもの、目標が絶対見つかるわ』


お母さんが本を私の手に乗せる。


『私は自分の物語がちゃんとある。今度は、あなたの物語を作っておいで』


『……うん!頑張る!』


その時私は誓ったのだ。

将来自分の子どもや友人に語れるような、そんな自分の物語を歩くって。


「リナ、しっかりやりなさいね」

「分かってまーす」

「ふふふ。じゃあ、いってらっしゃい」


お母さんが“行け”と合図するように馬の頭をポンと叩く。

すると馬はヒヒーンと高くいななき、空を駆け上がる。


「いってきまーす!」

「気をつけてー!」


どんどん小さくなるお母さん。

私は馬車の窓から外を見た。

入学式に向けて親の使い魔で送ってもらったり同じく馬車で飛んでいたり。いつもはない光景に、私の体が熱くなる。

私のなりたいもの、見つかるかな。そこで一生の友だちと言えるような子も作りたい。

緊張半分、ワクワク半分。って感じだ。

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