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記憶は沈黙

何処からか男の声が聞こえる


「雑巾を絞るときどーするか」


拘束されたマナエッテの体が雑巾を絞るように酷く捻られ、何本も骨が折れ肉が離れマナエッテは何故か叫ぶことすら、叫びで痛みを誤魔化すことすらできなかった


「次はね、手足を切るよ。泣かないで我慢してね」

「っ……ひっ!」


手足を切る用にしか使えない形をした刃が迫りくる。そしてまともに喋れもしないマナエッテの手足を切り裂いた。再び叫ぶことすらもできなかった。手足の切れたマナエッテは地に落ちる。もう何もできない中、男は言った


「次は腰の辺りで二つに切ろうか!きっといいお肉になるよ!食べるのなら……素直に焼き肉だね!」


大きなギロチンが一瞬に真っ二つへ切った。マナエッテは殆ど意識が無かった


マナエッテは意識を覚ますとその場で思い切り吐いた。アメリは真横で心配そうに見ていた。かなり魘されていたのだろう


「大丈夫か?今新しい布団用意するから待ってろ!」


又の辺りが緩かった。漏らしたのだろう。メラアは壁に背を掛け座っており、手には包帯を、足は掛け布団で見えない。マナエッテは生気の無い目をしており、首を傾げていた


「マナエッテ、あなたも酷そうね」

「酷そう!」


メラアは溜息を吐く


「何?それ。冗談じゃないわよね?」

「冗談?」


マナエッテは何も分かっていない様子だった。メラアはそうでないと信じたかったが、その事実に胸震わせた


「あなた記憶が無いの?」

「無いの無いの!」

『まるで小さな子供みたいだわ。前回の件で勘違いしてたけど、この子たちも全員能力者でない人間。本来巻き込んじゃいけない存在だったのよ。完全に私のミス』


それからアメリが身の回りを掃除している


「マナ、なんか食べるか?それとも気分じゃないか?」

「食べる!お菓子がいい!」

「お菓子?」

「その子、ショックで記憶を失ってるわ」


メラアがそう言った


「マナの記憶が……?マナ……嘘だよな?」

「……アメリちゃん?」


アメリは目を見開いた


「どこが記憶喪失だ、全く」

「アメリちゃんじゃない?」

「なんであなたの名前だけ覚えてるのよ」


メラアは聞く


「さあ……でも子供みたい。アメリが幼稚園の頃、私とは既に友達だった。そういうことか?」

「ならそうね。この子は幼い頃の記憶や知能しか残っていない。それにしても、よくアメリって分かったわね」

「雰囲気で分かるんじゃないか?なあ、マナ……」

「どうしたの?アメリちゃん……」


アメリは一息ついた


「いや、なんでもないよ」

『マナ……なんでお前がこんな目に……お前が』

「すまないメラア。私たちはここで降りる」

「賢明ね。連れてきた私の責任もあるし無関係なんて言えない。私も送りは着いていくわ」

「それは助かる」


しばらくするとフリースが部屋に入った。マナエッテは着替えさせてあり、ベッドの上で飛び跳ねていた


「マナエッテ、何してる?そんないいことでもあったか?」

「うん!」


アメリは告げた


「マナは記憶を失った」

「失った?!そうなのか……」

『自分のせいで死んだと思い込んでるから記憶を消した?結構寝てる時も魘されて……ナイトメア事件!!まさかナイトメア事件に関係が……いや、この事件は名の通りナイトメアによるものだとするなら、ナイトメアは東京に向かってるはずだし……ありえないか』


メラアは一息ついた


「メンバーも揃ったし話すけれど、これはナイトメアによる物で確定だわ」

「待て、ナイトメアは東京のはずだろ!」

「ええ、ナイトメアは東京よ。しかしあいつの能力は触れたものを悪夢に犯す。そしてナイトメアの触れた場所に触れた者も対象。ようはナイトメアは菌の塊で、ナイトメアに間接的でも触れれば感染するみたいな」


フリースは考える


『しかし新幹線は反対側を走るはずだし、どう接触を……──駅か!駅しかありえない!どこかでナイトメアの触った箇所をマナエッテが触った!』

「あとフリース、マナがこうなった以上、私たちは降りる。フリースはどうする?」

「お前らと同行動に決まってるだろ。んで、メラアはどうするんだ?」

「私はキャッツを倒すわ」


フリースは溜息を吐く


「その手足じゃ無理だろ?素直にお前も引け」

「断るわ!私は手足がなくても水化すれば動ける。まだ戦えるわ」

「無茶言え。死なせたら記憶が戻った時、マナエッテに合わせる顔がない」

「元々あなた達は私の守る対象。それだけの関係よ」


フリースは荷物を手に持つ


「なら仕方ない。行くぞアメリ、マナエッテ。今すぐ愛知へ向かう。そこに生き別れの姉貴が住んでる」

「え、お前お姉さんいたのか」


アメリには以外だったようだ


「一人いる。ちなみに剣の腕なら化け物レベル。正直、キャッツやナイトメア、サカツキにアイレンズと誰にでも勝てる可能性があるレベル」


メラアは言う


「そのお姉さんに戦わせちゃダメよ?一般人が敵う相手じゃないわ。現に能力者である私ですら手も足も出なかったもの」

「分かってる」


そして四人は電車へ向かう。一人子供のように先走るマナエッテをアメリは息を切らし追う。そして三人は新幹線へ乗り、マナエッテは窓越しにメラアへ手を振る。その時、アナウンスが流れた


「この新幹線は……アイレンズ行き!慈悲を!!」

「なんだと!?」


アメリは驚いた様子で立ち上がる。メラアには聞こえておらず、アメリの様子を見て何かあったのかと。そしてフリースは指を二本立て、次に五本立てた。メラアはそれが何か分かった


『行くときに決めた合図。ピンチ、見捨てて。なんて伝えられたけど、ピンチって何かいたの?見捨ててってことは助けがいらないってこと?自分だけなら分かるけど、マナエッテやアメリも乗ってる中で見捨ててなんて判断はできないはずよ。つまり助けなしで大丈夫ってことね……?信じてるわよ!』

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