ドラゴニアメモリーズ〜青の章〜
遠い昔のお話です。
雪と氷に囲まれた山に大きな青いドラゴンが住んでいました。
毒を思わせるような色と鋭い爪や牙のせいで、住処に近づく人はいません。
ドラゴンはいつも一人ぼっちでした。
そんなある日、住処に子どもが迷い込んできました。
猛吹雪だというのに、薄着で裸足でした。顔も手足も真っ赤です。
ドラゴンは何も言わずに子どもの壁になりました。
ヒュウヒュウと吹雪が体に当たりますが、涼しそうな顔をしています。
周りが暗くなった子どもは不思議そうに顔を上げて、思わず叫びました。
「ひいっ!ド、ドラゴンっ!」
子どもは必死に逃げようとしましたが、寒さのせいで体が動いてくれません。
「た、たべないでっ……」
ドラゴンはその場にうずくまると、子どもを翼で包みました。
子どもはいつ食べれるのかとブルブル震えていましたが、だんだん体が温かくなっていて、とうとう眠ってしまいました。
ドラゴンは眠った子どもを背に乗せると、静かに飛び立ちました。
そしてふもとの村の入り口にそっと下ろしたのです。
早朝。
村の大人たちに起こされた子どもは、興奮した様子で自分に起こったことを話しました。
「本当だよ!ドラゴンがぼくのことを助けてくれたんだ!
翼で温めてくれたんだよ!」
しかし、大人たちは取り合ってくれませんでした。
「夢を見たんだ」「霧に化かされたんだ」。
そんなことを言って。
彼等にとってドラゴンは恐怖の象徴です。
気まぐれで吹雪や雪崩を起こしているといわれているドラゴンが、そんなことをするはずがないと思ったのでした。
子どもは諦めずにドラゴンは優しいと言い回っていましたが
いつからか、全く口にしなくなってしまいました。




