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【第2部開始】ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜  作者: 月森 かれん
第2部 始祖竜編

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第50話 フィデス達との別れ

 それからどれぐらい時間が経ったのかはわからない。

寒さを感じてうっすらと目を開けると、洞穴の外はすでに明るかった。


 「寒っ……。あれ?もう朝?」


 『ああ。お前、グッスリ寝てたぜ』


 右からラディウスの声が聞こえた。

見ると、少し大きめのスノウウルフの背中で小さく飛び跳ねている。


 「乗せてもらったんだ……」


 『フワフワでよく眠れたって言ったら、嬉しかったらしくてよ』


 「ワンッ!」


 肯定するようにホワイトウルフが吠えて、尻尾をブンブン振った。


 『あと、左見てみ、左』


 「左――何コレっ!?」

 

 思わず大きな声が出てしまった。

 そこには私の手のひらサイズほどある赤や緑の果実が、

山のように積まれている。


 「木の実……?」


 『すまない、シーラ殿。

寝静まってから交代で見張りしていたのだが、仲間が取ってきてくれたのだ。

おそらく、シーラ殿が心配で』

 

 「私の為!?……あ」


 言われてからハッとした。

確かに昨日の夜は何も食べていない。 

 そして、さっき感じた寒さ。

たぶんポッカポカスープの効果が切れてきているのだと思う。


 「そっか。夜、何も食べなかったもんね」


 そう呟くと、一番小さい――おそらく子どものスノウウルフが、

鼻で赤い木の実を押し運んできてくれた。


 「これ、もらっていいの?」


 「ワンッ!!」


 『おお!!それはカマードではないかッ!!

栄養満点でな、我もよく世話になっているぞ!至る所に転がってるし!』


 「あ、アルゲオ。起きてたの」


 勢いよく私の前に飛び出してきたアルゲオ。

一瞬、地面の下から出てきたように見えたけど、気のせいだと思うことにした。


 『アルゲオ殿もご存知か。

我等も狩りが上手くいかなかった時は世話になっている』


 「じゃあ、皆で食べようよ。スノウウルフ達もお腹空いてるでしょ?」


 スノウウルフ達がゾロゾロと集まってくる。

すると、アルゲオが高く飛び跳ねた。


 『え、我達は!?』


 『あのな、この姿だと腹減らねぇんだよ』


 『マジで!?ツラッ!!』


 『そう。だから目の前でウマそうなモン食われてる時はツラいぜ』


 『えー、聞いてなーい!!』


 アルゲオが抗議するように何度も飛び跳ねた。



 結局、木の実は3つ革袋に詰め込んで、残りは全部平らげた。

少し苦味があったけどまだ我慢できたし、噛んだ時に広がる甘みの方が強かった。



 『あっ!そういえばやらないといけないことがあったんだった!!』


 「どうしたの?」


 『ワイバーンの解放である!我が居ない間だけだけど!』


 ワイバーンという言葉を聞いて、スノウウルフ達が臨戦態勢になった。

姿勢を低くして、グルグルと唸り声を上げている。


 『待って!?敵じゃないんだけど!

えーっと……部下だ!部下!』 


 「それって、首から宝石下げてるワイバーン?」


 『そうそう!我等の大事な連絡役なのだ!1匹しかいないからな!』 


 『でもそう簡単に来んのか?』


 『大丈夫大丈夫!号令決めてるから!』


 アルゲオは吹き抜けの所まで進むと、空に向かって大声で叫んだ。


 『ごはんですよーーーーっ!!』


 「えぇっ!?」

 

 『なんだそのフザけた号令は……』


 『だっていつもこれなんだもーん!!』


 笑いながら答えるアルゲオ。 

こうもハッキリ言われると、それ以上ツッコむ気力もなくなる。

 すると、間を置かずに力強い羽ばたきが聞こえてきて、

青いワイバーンが降りてきた。

 

 「あ、久しぶり!」 


 思わず手を振るとワイバーンがバサバサと翼を動かす。

私のことを覚えてくれていたみたいだ。


 『ワイバーンよ!我から大事な話がある!』


 アルゲオは私の腕まで登ると大声で叫んだ。

だけど、ワイバーンは不思議そうに周りをキョロキョロと見回している。


 『ここだ!ここ!シーラの腕!』


 ようやくぬいぐるみ姿のアルゲオを見つけて、ワイバーンは納得したように頷いた。


 『いろいろあってな、我はしばらく不在になる!

その間、お前は自由にしてていいぞ!

 あ、あとな。そこにスノウウルフ達がいるだろう?

彼等は我が不在の間、ここを守ってくれるのだ!だから、食べちゃダメ!絶対!』


 『自分等も邪魔はしない。どうか食べないでもらいたい……』 


 フィデスが重ねてお願いする。

 スノウウルフの群れから声が漏れて、ワイバーンは一瞬ビックリしていたけど、すぐに首を縦に振った。


 『おおっ!理解してくれたか!頼むぞ!』


 ワイバーンは低い声で鳴きながら、どこかへ飛び去っていった。




 いよいよ、下山する時がやって来た。

フィデス達は洞穴内、私達は出口付近で向かい合う。


 「あ、そうだ。ラディウスとアルゲオはちょっと待ってて」


 『なんだよー、忘れ物か?』


 「違うよ!」


 ラディウス達を革袋の上に置くと、フィデスに小声で話しかける。

どうしても聞きたいことがあるからだ。


 「フィデス、言えたらで良いんだけど。どうしてアルゲオのこと怖がってるの?

ほかの子たちは大丈夫みたいなのに」 


 『……………………。

実はな。まだ自分に肉体がある時、この洞穴の前を通ったのだが。

外でアルゲオ殿が立ったまま寝ていて……危うく食べられかけたのだ……』


 「それは……怖いね……」


 アルゲオが悪いわけじゃない。でもフィデスにとっては恐怖以外のなにものでもなかっただろう。

 フィデスがやけにアルゲオを怖がっていた理由がわかって納得する。


 「落ち着いたら、アルゲオに話していいかな?

アルゲオも理由がわからないままだとモヤモヤすると思うし」


 『お願いしたい……。アルゲオ殿に悪気がなかったことは理解しているのだが……どうしても……』


 「うん。じゃあまたここに来るまでには話しておくね」


 『感謝する。道中、気をつけられよ』


 「フィデス達もね!」


 私はフィデス達から離れて荷物を持った。

 

 「じゃあ、お留守番よろしくね!」


 『任された!全力で死守しよう!』


 『頼んだぞ!!フィデス達よッ!!

何かお土産持って帰るねー!!』


 『気持ちだけ頂く!』


 アルゲオとフィデスのやり取りを微笑ましく聞きながら、私達は洞穴を後にした。 

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