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【第2部開始】ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜  作者: 月森 かれん
第1部 勘当旅編

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第26話 猛勉強

【連載再開します】


第1部後半、「ラディウスの供物問題」スタートです。

 「では、復習ですシーラさん。準備は良いですね?」


 お屋敷の1室に、温かい光が窓から差し込んでいる。

 テーブルを挟んで、家庭教師のロイヤーさんが凛とした声で言い放った。 


 「はいっ!」


 私の力強い返事を聞くと、家庭教師のロイヤーさんは息を吸い込んだ。


 「結婚前の立ち振る舞いは?」


 「語学・家事に通じ、舞踏会に出席し、殿方との交流を深めることです!」


 「次。結婚後の立ち振る舞いとは?」


 「結婚した後はは夫を立て、影として家庭を支えることです!」


 言い切った私を見て、ロイヤーさんはわずかにツリ目を緩ませる。


 「よろしい。ちゃんとできるではありませんか、シーラさん。

最初から取り組んでいれば……」


 「そ、そこまで重要性を感じなくて。すみませんでした……」


 皮肉っぽく言う彼女に深々と頭を下げると、ため息を吐かれた。

また小言を言われるのではないかと、おそるおそる顔を上げる。

 だけど返ってきたのは、別の言葉だった。


 「勉強とはそういうものですよ。当時は意味がわからない、役に立つのかと思うこともあるでしょう。しかし、数か月後、数年後に思わぬ形で役に立つことがあるのです」


 「は、はあ……」


 「少し休憩しましょうか。朝食後からずっと取り組み続けていますからね」


 「はい。ありがとうございます」


 ラディウスと別れて2か月。

 まだ「供物問題」が残っていて、どうにかして外に出たいと周囲に言って回っていた。すると、それを聞きつけたロイヤーさんの「教養を全て履修し終えたら外出をしてよい、という条件はどうでしょうか?」という発言により、その日から猛勉強が始まったのだ。



 勉強の合間に、以前より少しだけ舞踏会にも顔を出すようになった。

 よく連れて行かれていた町はホムリアという名前であることがわかり、さらにその北東にはジーフェ城があって、そこの王族が参加していることも知った。

 

 社交なんて全然興味ないけど。


 いろいろ考えながらお茶を啜ると、ロイヤーさんが眼鏡を上げる。


 「さあ、再開しますよ、シーラさん」


 「えぇっ⁉まだお茶一口しか飲んでませんよ⁉」


 「我慢してください。本来であれば2年間で学ぶ教養を2月で終えようとしているのですから。急いで学びたいと言ったのはあなたですよ?」


 「は、はい。わかりました。ワガママ言ってすみませんでした!」


 「ワガママではありません。休憩は大事ですから。ただ、シーラさんのことなので時間が惜しいのではと思っただけです」


 彼女の言う通りだ。

 2年で学ぶ教養を2か月で。それをこなしているロイヤーさんもすごい。

単なる家庭教師ではないと思う。

 


 それから日が傾くまで、勉強し通し。

6回目の鐘が鳴ろうかという頃、ようやくロイヤーさんが本を閉じた。


 「今日はここまでです。

 では、3日後に試験をしますよ。8割答えられたら合格です」


 「8割……」


 「ええ。合格できるまで遠出は無しですよ」


 「わかりました!頑張ります!」


 勢いよく答えると、ロイヤーさんは少しだけ口角を上げた。

 たぶん、私がメキメキと成長しているのが嬉しいのだと思う



 ラディウスのためにも、絶対合格しなくちゃ!

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