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4-(6)

 その日の夜。ヘイデンはご機嫌だった。ヘイデンがこのシャルコに来て約半年。それまでは王都でこのリンゼイ王国内で魔宝石の原石が採掘できるような場所を調査、研究している探鉱を担当していた。だが、採掘部隊長としてこのシャルコの現状報告を受けた時、このままでは充分な採掘ができないまま閉山せざるを得ないのではないか、という不安に駆られた。そのため、ヘイデン自らがこのシャルコに赴くことにした。

 この地に赴任する際に、採掘部隊長という名を返上したいと団長に申し出たが、その肩書が何かと役に立つときがくるからという理由で、このシャルコに赴任しても採掘部隊長という肩書がついている。実際の部隊長としての仕事は、王都にいる副部隊長と幾人かの部下たちがこなしてくれているようだが、それでもヘイデンの意見が必要とされるとき、彼は王都にも出向いている。

 つまり、ヘイデンは多忙なのだ。多忙なうえにこの人手不足が重なり、採掘現場の安全管理が充分に行き届いていなかったことに気付いてはいたが、なかなか手が回らなかった。

 それが、リューディアが来てくれたことによって、ヘイデンが懸念していたことを次から次へと解決に導き、さらにあの偏屈の採掘師たちも虜にし。

 引きこもりの妹をわざわざこのシャルコの街にまで引っ張ってきた甲斐があったというもの。

 ヘイデンはこの日、にやにやと気味の悪い笑みを浮かべながら、酒を煽った。


 この日以降、採掘師たちの態度が一変する。それが顕著に表れたのが、リューディアとイルメリに対する呼び方だった。それに採掘師たちも、採掘の場所について、おかしいと思うようなことをヘイデンに報告するようになり、無闇に掘るということをやめるようになっていた。事前に採掘師と採鉱担当で話し合いを行い、探鉱からあがってきた予想採掘量を元に掘る場所や方法を決める。さらに危険個所については、わかりやすく目印をつけることと、立ち入り禁止地区には許可なく立ち入らないことと。

 こうやって規則を決めて並べ立てると、すごく当たり前のようなことのようにも感じるのだが、その当たり前ができていなかったのがこの現場だったのだ。

 そしてさらにヘイデンが採掘師やこの現場で働く魔導士たちのために、彼らの処遇も見直した。というのも、あのガイルが、ヘイデンがこの地に赴任してから四回も倒れたからだ。倒れた際に頭を打ち、すこし側頭部に怪我を負ってしまった。イルメリがそれの治療を行いながら、ヘイデンはガイルに言った。

「休め」


「俺たち、休むと金にならないんだよ」


「だったら、金が出れば休むんだな?」


「仕事しなくても金がもらえるなら、そりゃ休むだろうよ」


 ということで、ヘイデンは月に一度、採掘師たちが好きな日に休める制度を作った。好きに休めるといっても、ガイルの場合、休みの日は食堂を手伝っているから食堂も休みの日に休め、とヘイデンは言った。むしろ、食堂が休みの日に休日を申請しないと、受理しないとまで脅して。

 このようにして、徐々に採掘師と魔導士たちの関係は今までよりも良好なものとなっていく。

 だが、それでも魔導士側の人手不足が解消されたわけではなかった。採鉱を担当する者が足りない。ヘイデンは日々、それに頭を悩ませていた。リューディアが来てくれて助かってはいるが、やはり人が足りない。

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