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鬼龍VS宇宙の戦士

『Cブロック第二試合! 世界大会初登場の最強女子高生が降臨! 男性の皆様、いいえ、大きいお友達の皆様、準備はよろしいですか♪』


 会場が暗くなる。

 明りはすぐに点くが、いつの間にかリングには妙な格好をした集団が現れていた。

 そして会場には歌が流れる。

 歌に合わせて、集団が踊る。

 観客席で、一部の人達が異常で過剰な熱意で応援する。


『日本企業♪ メディアファームMF文庫J代表♪ 身長一六〇センチ♪ 体重五六キロ♪ バスト八九センチ、ウエスト五九センチ、ヒップ八八センチ♪ 鬼と龍を超える怪物鬼龍♪ 桐生朝守成きりゅうあすな一六歳の登場でーす♪』


「こんの、バカ犬ー!」


 と言いながら、コスプレをした美少女がリングに躍り出る。


 妙な格好をした人達は全員、MF文庫Jの人気キャラにコスプレしたダンサーで、流れいる歌は今期アニメ化した作品のオープニングテーマ。そして朝守成あすなが着るピンク色のカツラにミニスカートとブラウス、黒いマント姿は、やはりMF文庫Jの人気キャラのコスプレだ。


 会場の巨大スクリーンには、MF文庫JのCMが流れている。


 ヒロインにコスプレした朝守成が、そのキャラになり切って見事な演技をして萌えキメ台詞を喋っている。


 朝守成は絶世の美少女である。


 吸い込まれそうな大きな瞳は黒真珠のように輝き、顔は将来性を感じさせる美貌と、まだ高校一年生の幼さを共存させた魅力を持っている。


 コスプレの上からでも解る、大きすぎない巨乳に、ぐっと引き締まったウエスト、程良く大きなセクシーなヒップラインに、ミニスカートからすらりと伸びた美脚。


 どう見ても、ファイターではなくトップアイドルかモデルだろう。


 その様子を眺めていた羅刹は、相変わらず派手だなぁと思う。


 ホームレスになる前は、普通に父親がNVT選手という事もあってNVTの試合は見ている。


 会場やテレビ中継で、彼女のことは何度か見たことがあった。


 でも、この世界大会で一人だけあんな過剰演出は贔屓ではないか、羅刹がそんな風に思った時だった。


 巨大スクリーンのCMが終わると、今度は別のCMが流れた。


 そこには、☆型の着ぐるみがジェットスキーでアクロバットな動きをしたり、遊園地内をパルクールのようにしてまたアクロバットな動きで自由自在に走り跳び回る姿が映されている。


『対するはアメリカを、いえ、大宇宙をまたにかける正義の使者! 銀河征服をもくろむ悪の帝国をやっつけろ! そしてその前のウォームアップを済ませに本戦参戦! アメリカ企業! ワシントン・ワンダーランド代表 身長二〇〇センチ! 体重一〇〇キロ!

宇宙の戦士! スターボーイ! 略してスタボー選手の入場でーす!』


 選手入場口から、短い手足をした☆型の可愛らしいキャラクターがぽてぽてと歩いてくる。


『スタボーがんばってぇ!』


 会場からはちびっこ達の応援が聞こえた。

 明らかな裏声で、


「やぁみんなー♪ スタボーだよー♪ 元気、してるかなー♪」


   ◆


 VIP席では好美も、


「えっ!? スタボー!? 本物?」

「有名なのか?」


「何言っているのせっちゃん? スタボーって言ったら日本のガチャピ○と双璧を成すアメリカのスポーツマン着ぐるみだよっ。どんなスポーツをやらせても着ぐるみを来ているとは思えないスーパープレイで大人気なんだから」


「へぇ……確かにCMを見る限り凄い動きだな……これは」


 確かにスタボーは凄い動きだが、この程度、プロの各種スポーツマンなら普通の事だろう。なのに羅刹は顔を歪めて、


「期待できそうだな」


 期待で笑顔がふきこぼれた。


   ◆


 コスプレ集団が選手入場口から退場して、リングには朝守成とスタボー、コスプレイヤーと着ぐるみとバニーガールだけになる。


 今、ネットの実況スレでは『なんだこの異空間は?』というコメントで盛り上がっている。


『それではラノベキャラVSマスコットキャラ♪ おっとすいません、もとい女子高生VS宇宙戦士の試合をこれより始めます。では両者構えて』


 美少女と、着ぐるみが弾ける笑顔で睨み合う。


『試合、始めぇ♪』


 朝守成が消えた。と、同時にスタボーが真上に弾け飛んだ。


 五メートル、六メートル、まだ上がる。


 スタボーが天高く舞い上がってから、観客は朝守成が距離を詰め、スタボーを蹴り上げた事に気付く。

観客がまばたきする間に、既に朝守成は跳躍して、スタボーの真上にいた。


「落ちなさい!」


 振り下ろしたカカトが、スタボーをメテオのように床へ叩き込む。

 上空数メートルから落下する朝守成はミニスカートが真上にめくれ上がって、スパッツを観客に披露しながら倒れるスタボーにストンピングキックをお見舞いしようとして、スタボーがコンマ一秒早く跳び起きて回避する。


 朝守成の足がリングの床に蜘蛛の巣状のヒビを入れながらメリ込んだ。

 

 それもつかの間、また観客が瞬きし終わる頃には、もうスタボーを追い詰めている。


 朝守成は止まらない。


 突きが、蹴りが、上段中段下段にフックに回り蹴り。


 一撃一撃全てが必殺の威力をもった攻撃が嵐のようにスタボーを粉微塵にしていった。



電撃オンラインにインタビューを載せてもらいました。

https://dengekionline.com/articles/127533/

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