飛行1
そして、更に2週間経った日に無情にも別れの日がきたのだ。
スウリとムラサキにとってはいつか来るにしてもまだまだ先であってほしいと願っていた日だ。
そして、その雰囲気を感じ取っている大人たちも自然トーンは低くなる。
しかし、危険がある以上急ぎ行動に移さなければならない。言葉少なに各々が支度をすすめる。
何もすることがない、しかし複雑な感情が身の内を駆け巡っているスウリは何も手がつかず、父の様子や、テントをたたむ竜騎士たちの様子を寒くもないのに手をずっとさすりながら見てるような見ていないような目で見ていた。
ムラサキはそのあたり冷静であった。別れはもちろん悲しい。だが後1、2ヶ月後にはくる別れであった。永遠の別れでもない。自分で飛べるようになれば棲家からスウリに会いにくるなど日帰りでもできる。それよりもいますべきは、体力の温存だ。高度が上がり冷たい冷気の中を風を受けないようにしがみつくのがまだ自分の体では未熟だということがよくわかっているためだ。ムラサキはじっと父母から声がかかるまで丸まっていた。
遠出と聞いて喜びはしゃぎまくってる姉妹たちの端で。




