巡り8
“スウリ、追いかけっ子するの!”
“スウリ鬼!”
雌仔竜達は自分たちで遊ぶのに飽きたのか、会話に割り込み、スウリを引っ張り、スウリは鬼ごっこをはじめた。
ムラサキは迷ったが、母様の所にいることにした。
母様はその様子を見て父様とハルワにつぶやく。
“こんな人間が本当に存在するのね。竜皆から好かれる人間…竜が嫌いと思わないよう呪いがかかってるのではと思うくらい好意しかないわ。
これで絆を結ぶ相手と考えないところとか、どこが好きって聞かれると、本能でとしか言いようがないんじゃないかと思うこの感情。不思議ね。”
“そうだな”
“子どもの頃から見てるから、私は自分の妹のような、娘のような気になるわ。”
“ムラサキはあまり感情を出さないけれど、本当にスウリと絆を結ぶのかしら?”
ちらりと母様はムラサキを見て聴こえているであろうが、話した。
性格としては、子に隠れてコソコソ話したくないようだ。
“結ばなくても良いさ。”
父様も優しくムラサキをみた。
“そうだけど、気になるわよね。”
ハルワは好奇心を含んだ目でムラサキに視線を送った。
“ええ”
母様は自分に振られたと感じたようで、気になると応えていた。
“スウリを普通の子として守りたいのがウール達夫婦の考えだ。私もムラサキの親として、最初から絆の相手がいるのは、後の人生が辛くなるのではないかと不憫に思う。人間の命は短い。別れが必ず来る。竜にとって絆のいない人生の方がよっぽど長いのだ。”
“そうね。竜の独り立ちは早いから、普通の竜は単独行動が普通と感じるでしょうけど、初めから半身とも言える絆の相手がいたら、独りは孤独に感じてしまうかもしれないわね。でも、そこはそれまでにムラサキが孤独を感じるヒマも無いような竜の仲間を私達周りの大人が増やしてあげれば良いのだわ。”
“ありがとうハルワ、とても素敵な考えだわ。そうね。今後を憂いても、今はまだどうにも出来ないものね。私達はどんなことにも対応できる仔に育ててあげましょう。ムラサキだけではなく全ての仔竜を。”
“あぁ”
ムラサキはこの両親を好きだと思う気持ちが強くなった。
子ども扱いされるのはこそばゆいものがあるが、一人ひとりを尊重しようとするところがとても尊敬できる。




