紫竜8
「ヒサキ、こっちのかご一つ持ってもらって良い?」
「冒険心の強い仔竜達だな。こんなものなのか?」
“私も落ち着いてたけど…他の竜はこんなものな気がするわ。まぁ大体棲家に産まれるから人間と関わりなんてないし、人間の生活に興味を持つのはもっと翔べるようになってからだけど。まぁ他の仔はともかく、ムラサキは人間とは斬ってもきれない関係になるだろうから早いか遅いかの違いだけな気がするわ。”
「まぁ仔竜と接する機会なんて滅多にないから私は嬉しいが、可愛い…」
「私は不安しかない。ムラサキはともかく、他の3頭は絶対危険!」
「私も賛成し難いとは思ってるさ。サッと行ってサッと帰ってこよう。」
「そうだね」
街につくとやはり匂いに黙ってられない仔が出てきて、コソコソ“食べたい。”“この匂い何?”と話しだしてヒヤヒヤする。
ヒサキは意外にも「これは美味しいぞ。ナッツが入ってるんだ。」と(私を介して)説明してあげたり、いそいそ買って半分に割ってサッと2つの籠に入れてあげてかいがいしい。
今日は二人で歩いているから、ヒサキとのことに触れたくて話しかけてくる街の人も多い。
いつまでいるのか。ウールはどうしたとか。
しかし、それもヒサキが軽く会話している。
器用だ。
「かなり可愛がってるね。仔竜。」
「かなり可愛いと思う。」
“ヒサキにつぎはお肉何か美味しいの食べたいって言って”
「ヒサキ、次お肉だって」
「じゃあ牛肉の少しレアっぽい感じのするローストビーフなんかいいかな。スウリ、牛肉屋さんはどこが美味しい?」
「夜はハンス亭が美味しいけど、昼は肉の卸屋もしてるミツワ屋が私は好き。あっちよ。」
「それにしても、やっぱり小さくても竜なんだな。かなり食べるな。」
“ヒサキ次…”
コールが街についてからずっとコソコソ響いてくる。
きっとこの仔竜達は昼間開いてる店を制覇する気がするくらい。
「スウリ、帰るぞ。ハルワから連絡がきた。ウール様達が今城を竜で出たらしい。竜なら2時間で帰ってくるだろう。仔竜が竜騎士の目につかないうちにを巣に戻さねば。」
「わかった」
“えー”
仔竜達のブーブー感を感じつつ、急いで森に帰っていき、仔竜を迎えに来ていたチッタとハルワに預けた。




