仔竜19
“スウリ、追いかけっ子するの!”
“スウリ鬼!”
ハルワのびっくり発言もだが、生まれて数日の仔竜がもう追いかけっ子なんかできるのか!とそっちにもびっくりしながら、鬼となり、追いかけた。
小さいながらに速い。
まだ飛べはしないらしく、後ろ足2本をテケテケまるでぬいぐるみのように走るのがちょこまかしていてかなり可愛い。
ミツハリはその様子を見てチッタとハルワにつぶやく。
“こんな人間が本当に存在するのね。竜皆から好かれる人間…竜が嫌いと思わないよう呪いがかかってるのではと思うくらい好意しかないわ。
これで絆を結ぶ相手と考えないところとか、どこが好きって聞かれると、本能でとしか言いようがないんじゃないかと思うこの感情。不思議ね。”
“そうだな”
“子どもの頃から見てるから、私は自分の妹のような、娘のような気になるわ。”
“ムラサキはあまり感情を出さないけれど、本当にスウリと絆を結ぶのかしら?”
“結ばなくても良いさ。”
“そうだけど、気になるわよね。”
“ええ”
“スウリを普通の子として守りたいのがウール達夫婦の考えだ。私もムラサキの親として、最初から絆の相手がいるのは、後の人生が辛くなるのではないかと不憫に思う。人間の命は短い。別れが必ず来る。竜にとって絆のいない人生の方がよっぽど長いのだ。”
“そうね。竜の独り立ちは早いから、普通の竜は単独行動が普通と感じるでしょうけど、初めから半身とも言える絆の相手がいたら、独りは孤独に感じてしまうかもしれないわね。でも、そこはそれまでにムラサキが孤独を感じるヒマも無いような竜の仲間を私達周りの大人が増やしてあげれば良いのだわ。”
“ありがとうハルワ、とても素敵な考えだわ。そうね。今後を憂いても、今はまだどうにも出来ないものね。私達はどんなことにも対応できる仔に育ててあげましょう。ムラサキだけではなく全ての仔竜を。”
“あぁ”
追いかけっ子は必死だが、親竜達の声がところどころ聴こえたスウリは、なんだか感動して、泣きそうな気持ちになった。




