仔竜17
“スウリきた”
“スウリきた”
“スウリ抱いて”
“…”
確かに…けたたましいというかかしましいというか…仔竜たちはスウリの姿を見ると、待ってましたとばかりの大歓迎だ。紫竜を除いて。
まぁ紫竜も今回は起きてるし、スウリを見つめている。黙っているが。
「私も皆に会いたかったわ。」
と両手を広げて、皆を招き入れると、紫竜も抱かれに来る。
物静かな性格なのかな?とスウリは考える。
「ねぇ、あなた達は男の子?女のコ?」
“ムラサキ以外女のコ!”
「そっかぁムラサキ男の子なんだ。そして、あなた達3人はおしゃべり大好き女の子なのね。」
“ムラサキも喋るよ。”
「あら、じゃあムラサキの声も聴きたいわ。こんにちは、ムラサキ。あなたはどんな食べ物が好きなのかな?」
“果物。”
“私は肉”
“私も果物”
“私木の実”
一応はムラサキの回答を待ち、応えると次々と他の3頭もアピール。
「あらあら、皆バラバラだと、ご飯を用意するチッタとミツハリは大変ね。誰が一番よく食べるのかしら?」
“アカ!アカはお肉がきたら、一番大きなの取るのよ!”
“たくさん用意してくれてるからお母さんとお父さんとハルワと食べても皆お腹いっぱいなれるよ!”
“分けっ子するの。”
「そう良かったわね。」
“成長しても愛しさわ変わらないわね。”
「ハルワ!」
ハルワはずっといた。ミツハリと並んで微笑ましそうに仔竜の様子を見ていた。
スウリは仔竜たちを一度降ろし、ハルワに駆け寄って抱きついた。仔竜たちはチッタに向かったり、走り回ったり、色々だ。
「ハルワも変わらないわ!」
“竜は人間に比べたら長寿だもの。生まれてから5年くらいまでは日々成長するけど、その後はそうそう変わらないわよ。まぁ人間も大人になったらあまり変わらないでしょう?”
「ヒサキは変わったわ!数年ぶりにあったから、お兄さんだったのに、おじさんだわ。」
“そう?竜騎士になったあたりからは私からしたらヒサキはヒサキだけれども。あぁヒゲかしら?”
「そう!ヒゲ!後落ち着きも!知らない人みたいだわ!どう接したら良いのかわからないのよ。」
“ふふ、あれにはねぇ、理由があるのよ。”
「理由?」
“ヒゲが無かったら幼顔のままでねぇ…威厳が無いと大将は務まらないとかって。まぁそれ以外にも女避けって理由もあるんだけれど。”
「威厳ねぇ。女避けってのはできてない気がするけど。今日朝イチに二人で行ったけど、ヒサキ注目の的だったわよ。もちろんヒゲはあるわ。」
“特定の女避けだからね。”
「特定?」
“気になる?”
「そりゃぁ…」




