仔竜6
時は戻ってスウリはというと…
早速仔竜達になつかれていた。
チッタは食事を探しに行っている。
ミツハリが仔竜達の上で保温をしている。その隙間からキッキと話しかけてくれる。
“抱いて”
“お腹空いた”
“遊んで”
とか…とか…とか…
紫竜だけが眠いのか瞼を閉じて丸まっている。
「ねえミツハリ、仔竜達の名前を教えてくれない?」
“もともと私達に名前は無いから体色で呼べばいいわ。竜の中で特に名前を呼び合わなければいけないこともそうそう無いから…人間がくれたのよ。”
「え?でも、ミツハリも人間に絆の相手がいるの?」
“昔いたのよ。200年ほど前ね。今は居ないわ。”
「そう、素敵な名前だわ」
“ありがとう”
「抱いても良いのかしら?」
“今日はまだ少しなら。明日には日中ならもう歩き回っていいと思うわ。明日からは私も餌を探しに離れるから。仔竜達を見ててほしい。”
「ありがとう。」
スウリは一頭抱き上げながら心配をぶつけた。
「でも、まだこんなに小さいわ。二人とも離れるのは危険じゃない?」
“棲家にいれば、更に他の竜もいるからまとめて見てたりするのだけれど、チッタは絆の相手からあまり離れたくなかったようだからここに巣を作ったの。人間が危険だけれど、小さくても仔竜だから他の動物はよってこないわ。仔竜とはいえ、食欲旺盛よ。チッタだけでは追いつかない。”
「そっかー。早く、竜騎士の竜が増えると少し楽になるね。」
“えぇ、それまではスウリがいてくれるでしょう?よろしくね。”
「人間相手なら任せて!少しは剣術も使えるし、絶対仔竜たちを渡さないわ!」
そう話しているところへ、ミツハリが空を見上げた。
“竜の誰かがくるわ。”




