プロローグ2
絆を結んだ竜はもともと野生である。国の中に大きく分けて3箇所竜のすみかがあるのだ。それをその領地の伯爵が人間に荒らされないように距離を保ちながら見守っている。
絆を結んだ竜同士が番になることもあるが、珍しい。
なぜなら人間の命よりも竜の命の方がずっと長生きだからである。竜は絆を結んだ人間が生きている短い時間を惜しむかのように人間との関わりを求めているため、絆を結んだ人間が死んだ後、竜のすみかに戻って番を見つけることが大半である。
国民すべてが竜と絆を結べるのではない。
大方の国民は畏怖の念とともに一定の距離を取ろうとする。なので、竜に憧れて騎士になった竜騎士が竜が絆を結ぶ相手として一番多い。
絆を結べる相手がいないか、竜のすみかがある伯爵の許可を得て自ら竜のすみかに訪れ探すからである。もちろん、他にもいたりする。商人が気に入られて、荷運びを手伝っている竜やたまたま竜のすみか近くに住んでいて気に入られたものも。
どの絆にせよ、決めるのは人間側ではなく竜である。
どんなに憧れて探してもどの竜とも結んでもらえぬ者がいるかと思えば、竜が一方的に人間を好きになり離れなくなってやむを得ず絆を結んだ者もいるのだ。
それらの絆は皆国に管理され、国への反逆が出来ないよう、契約書を国とかわす。契約書をかわさなくてもよいが、契約書を交わすことで、特典がある。それは絆を結んだ竜の人間近くのすみか(竜舎)や食べ物の提供。また、他人の物を壊した時は国が補償してくれるのだ。とかく竜はよく食べる。食べにだけ森に帰っていく竜はそれで良いが、始終人間から離れない竜には人間が食糧を用意するしかない。
そして、大きな体で動き回るとしっぽが屋根に当たった、他人の物を踏んだなどで破損事故が後を立たないのだ。そういう竜と絆を結ぶことでの困りごとを契約書を結ぶおかけで免れるのである。
ちなみに、竜が人間を殺してしまった。というのは、野生か絆を結んでいるかに関わらず免除となっている。
竜は人間より賢く、自分の大切なモノを守るためにしか人間を殺傷しないとかんがえられているからである。