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魔眼少女  作者: つばさ
9/25

魔眼少女第2章「生者の虚構-転」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!


追記 一件ご感想いただき嬉しいです!

生者の虚構-転


23時頃

「そろそろ出かけるとしようかしら」

神奈は部屋の明かりをつけて引き出しを開ける

「真剣...必要かしら」

相手が本気でゾンビだと思っているわけではないが死体を弄ぶような奴だ万が一にも凶器を持っている可能性は否定できない

「木刀でいいかな」

それで困るような事があれば眼を使えばいい

私は静かに扉を開く、足音を立てないように慎重にカーペットの上を歩く

そして一つだけ私はミスを犯す、今日帰った時叔母は廊下にワックスをかけていたんだった

ツルンッと足が滑り派手に転倒する

やってしまった流石にこんなに派手に音を立てたら叔母が起きるのも当然のことだ

「あれこんな夜にどうかしたの?」

私は急いでバックと木刀を隠す

「なんでもないよ、ちょっとトイレに行くだけ」

「そう、学校がないからって遅くまで起きてちゃダメよ」

私は部屋に戻り咲に電話する

「もしもし、ごめんこっそり出ようと思ったんだけど見つかっちゃって今日は行けそうにないわ」

「じゃあ今日は私と並木さんだけで偵察してくるよ、明日の報告に期待しといてね!」

咲はそれだけ言って電話を切る

2人だけで行動させるのに少し不安は残るが私が行けない以上仕方がない

「今日は何も起きませんように!」

私は願い眠りにつく


病院前

木刀を持った2人が霊安室に向かって歩いている

「神奈が来れなくなったのは戦力的には大きいけど2人だけでも十分やっていけそうですね」

「当然よ、一度家に帰ってわざわざ準備してきたんだからゾンビなんて千切りにしてやるわ!」

2人は舗装された道ではなく林の中を通る

「ここって通っても大丈夫な場所なんですか?」

「一応立ち入り禁止の看板は出してるけどそれは木の手入れが出来てなくてちょっと危ないだけだから大丈夫よ、それに普通の道だと防犯カメラに写っちゃうからね」

「わざわざ防犯カメラなんてつけてるんですね」

「霊安室だけ別館になってるからね」

「それにしても随分古い病院ですよね、霊安室も古いんですか?」

「霊安室が一番古いはずよ今じゃ天井を支える柱が腐りかけてて看護師も奥までは入れないくらいにね、本来なら50年くらい前に病院を建てる話が出た時に候補にあった場所が今の霊安室の場所なの、だけど霊安室の地下室を作っていた時に通りすがった老人がこう言ったらしいの」

「此処は行き場を無くして彷徨う魂が集う地じゃ、故に此処に病院を建てるのは良くないでしょう、ってね」

「そんな通りすがりの人の一言でわざわざ病院の場所を変えたんですか?」

「もちろん最初は誰も信じなかったらしいわ、でも工事を続けてると少女の霊を見たっていう作業員がどんどん出てきて気味が悪くなって場所を変えたらしいわ、それで建設途中だった地下室の最深部は未完成のまま封鎖されて今も入れないようになってるのよ」

「じゃあ今回の死体を動かしてるのって悪霊...?」

咲は急に血の気が引く感じがした

「悪霊だろうがなんだろうがご遺体を切っちゃえば問題ないわ」

この人は本当に看護師なのだろうか

「それと一つ言い忘れてたんだけど私がご遺体の数がおかしいなんて騒いだせいで霊安室の鍵を開けてもらえなかったのよね」

並木さんはテヘッと笑い誤魔化そうとする

咲がそんな並木さんに一言文句を言おうとした瞬間近くでガサッと音がする

そちらを見ると人影があった

「こんな時間に人なんて私達と同じで調べにきたんですかね?」

「どうやら逆みたいね、少し隠れて見てみましょうか」

歩いてきたのは死体だった、光景はまるで地面から生まれた赤ん坊のようだが構造は単純な人そのものだ

「それにしてもどうやって動かしてるのかしらね、ここまで近くで見てもよくわからないわね」

並木さんはこの状況を少し楽しそうに捉えているようだ

そんな中咲は生きているかのように動く死体を注意深く観察する、すると一つの事実に辿り着く

「あれっ、死体の上から糸が伸びてません?」

咲の目に写ったのは何処から伸びて来たのかもわからない細い糸だった、そのたった数本の糸がそれぞれの死体を動かしていた

「そんなの見えないわよ、そもそも暗くて糸なんてついてても見えるわけないじゃない」

彼女の言い分はごもっともな話だ

だが見えるものは見えるのだ、その一点だけは譲れない

「ほら、死体の上の方で妙にくっきり見えるじゃないですか」

「糸は見えないけど微かに何かがあるような気はするわ」

ガチャリ、霊安室のドアが開く

いやあの扉は本来開くはずがないのだ、だが何者かによって黄泉の扉は開かれた

そこから出るのは悪霊か死霊かはたまた生者か、私達はその瞬間を待ち受ける

「早く戻りなさい、日が昇る前にそれぞれの家に帰るの...」

顔は見えない、だがその少女声には聞き覚えがあった、そしてその手には糸が一点に集まっていた

「あなたが犯人ね、捕まえて私が嘘を言ってないって証明してやるんだから!」

そうかこの人はそれが目的だったのだった

そしてそうある以上こうなることくらい予測しておくべきだった

「守って...」

少女は一言そう呟き扉の向こうへと消える

「待ちなさいよ!ご遺体(あんたたち)も邪魔するなら容赦ないわよ!」

並木さんは木刀を構えると性格が一変したかのように死体達に一喝する

その気迫から素人でも感じ取れるだろう

この人は強い、それも本気を出せば悪霊が宿った死体だろうと容赦なく斬り捨てる事が出来る程に

「並木さん、一度落ち着いてください」

だが私の声は届かず並木さんは襲いかかってくる死体に木刀を上げる

「並木さん!」

私の叫びは届いたようだ、そして死体達もこちらに敵意がないと見なしたように霊安室への行進を進める

「全部を斬り捨てて先に進むのは簡単です、でもあれはかつて人だったもの、例えあれに意識が残っていないとしても斬り捨てれ(ころせ)ば悲しむ人がいます」

「その考えは否定しないわ私も昔はそう思ってたもの、霊安室に身元不明のご遺体が来る度に早くご遺族の元に返してあげたいって」

そう言ってから深くため息をつく

「だけどしばらく働いていて思ったのよね、確かにそれは正しいことだし殆どの人が望んでいることだわ、でも最終的にご遺体(その人)の帰る場所はそれぞれの人の心の中なんじゃないかなってね」

そう言っている並木さんの顔は私には勿体無いほど眩しかった

「とにかくですよ、看護師が霊安室の死体を切ったなんてばれたら大変ですから今後は控えてくださいね」

「はいはいわかりましたよっと、咲ちゃんの言い分もごもっともだし余程の事態にならない限りはこれは振るわないわ、それよりもこの後どうする?」

このまま死体達を見届けた後に霊安室を見張り続ければ扉を開けた人物の正体に辿り着くのは容易だろう、だがあの声を聞いてしまった以上私は彼女を止めて事を穏便に終わらせなくてはならない

私は鞄からカメラを取り出し録画ボタンを押す

「取り敢えず私はこの状況を神奈にも見てもらうためにこの行進が終わるまではここに居ます、それで明日以降の話なんですけどその先は私達に任せてもらえませんか?」

彼女の手から伸びた糸が死体を動かしていると言っても明らかに人の為せる技ではない

きっと神奈の力が必要になる、なんとなくそんな予感がした

「わかったわ、でも無理しちゃダメよ万が一にも2人が危ない目にあったらその時は霊安室の中のご遺体全部棺桶ごとぶった切ってやるわよ!」

彼女なら本当にやりそうで怖いが励ましの言葉として受け取っておこう

そんなやりとりをしている間に死者は在るべき場所へと帰ったようだ

「それじゃあ私達も帰りましょうか?」

「そうね、まだご遺体が襲ってくるかも知れないし病室まで送って行くわ」

「並木さんの方こそ早く帰らなくていいんですか?」

昼間に並木さんの手帳に子供の頃に撮ったであろう家族写真が貼ってあったのが目に入っていた、そこに写る並木さんと姉らしき人の笑顔が印象に残っていた

「大丈夫よ、独り身の私に待ってる人なんていないんだから」

並木さんはフフッと笑いながら答える、そして私の手を引き病院へと引き返す


木曜日

私が病院を訪れると霊安室の遺体の数の件がちょっとした騒ぎになっていた

昨日並木さん以外の人も霊安室をチェックしたせいでその人達がご遺体が増えたと騒ぎ立てているのだ

だが実際は昨日まで足りなかったものが戻ってきたに過ぎない、人は自らが見た風景を真実だと思い込みそれ以外を否定する

きっと彼らの記憶からは並木さんが訴えていた事など綺麗さっぱり消えているんだろう

「うーん、これはもうあなただけに任せられる問題じゃないわね」

私は動画を見て死体達を操る謎の糸について考える

「やっぱり魔眼なのかな、でもそうだとしたら余計にほっとけないよ」

「そうね、直接本人に尋ねるのは簡単だけどそうもいかないわよね」

魔眼の力は証明のしようが無い、確実な方法といえば魔眼を使っている状態の彼女を見つける事だ

「彼女がやってるとしたら退院したら終わりになるかも、早く止めないと」

「わかってるわよ、日曜までには蹴りをつけるわ」

とは言っても彼女の行動が誰かを傷つけたりはしていない、強いて言うなら咲が驚いたぐらいだが放っておいたら他の人も死体を見かけかねない

私は病室を出て庭で澪さんに電話をかける

「もしもし、少し調べてもらいたい人が居るんですけど」


カラン、ドアを開ける音がする

平日だからか喫茶店内に活気はなく貸切状態だ、沈みかけた日の光は木製の机を照らしお昼寝には丁度いい雰囲気を醸し出す

「どうも、ロブルスさんに連絡がつかないせいでまだ神宮優香についても手がかりゼロだけれどこっちを優先すべきかしら?」

「すみません日曜までに片付けないと後々ややこしくなりそうなので、それで何か視えました?」

澪さんには予め送っておいた写真から情報を視ておいてもらった

「色々と気になることはあったけれど写真だけじゃ限度があるわね、取り敢えず1人目の山崎咲さんだけれど何も怪しいところはないわね」

「彼女には魔眼の力が見えています、何もないなんてことはあり得ない、隠されてる可能性は?」

「無いとも限らないわだけど別の可能性もある、私の魔眼で間接的に視えるのはその人自体が自覚している情報だけよ、後は直接視ないとなんとも言えないわね」

「じゃあ残りは?」

「彼らに関してはもう少し時間が欲しいわ、持っているものに対して自覚が無いというかなんというか」

「なら直接会いに行くべきですね、今からだと病院は厳しそうですし彼女の家に行きませんか?」

「忙しくなりそうね、私としては魔眼奪いと関係なさそうな事にはあまり首を突っ込みたく無いのだけど」

それでも手伝ってくれる澪さんは人並み以上に親切だ、こんな人がジャーナリストをやっているなんて変な人に騙されないか心配だ


林堂家

学校の近くの住宅街の中でも一際目立たないこの場所はまさに死の静けさが似合う場所だ

時刻は6時前、林堂さんの両親が帰ってくるまでギリギリの時間帯である

「こっそり入っちゃって大丈夫ですかね、これ一応犯罪ですよ?」

「大丈夫よ、鍵は開いているはずだから」

ガチャリと音を立てて扉が開く

「もしかして忍び込んだ事あります?」

「そんなわけ無いじゃない、単純な話よ彼女が鍵を無くしてから作ってないだけ」

「じゃあ林堂さんはどうやって暮らしてたんですか?」

鍵を閉めないで日常を過ごすなど言葉にするのは簡単だが普段から底知れない不安を感じながら暮らさなければならない

「その答えは中を調べればわかるわよ」

玄関には綺麗に整頓された靴の跡が三足分あった、そこだけ妙にホコリが積もっておらず一目見て判別できるほどだった

「なるほど正常な動作を続けさせるっていうのはこういう事なのね」

澪さんは一人で納得している

「そろそろ何がわかるのか教えてくださいよ」

「まあまあそれは後のお楽しみよ」

澪さんは楽しそうに笑う、この人はそういう事を一切隠そうとしていない、その上で私をからかっているのだからタチが悪い

隠そうとしていない以上私には視えない、そこまでわかってそう演じているのだ

それから私達は家の中を一通り調べた、家の中はどこも日常が不自然に欠けていた

冷蔵庫には同じ種類の食材が何個も入っていた、中にはとっくの昔に賞味期限が切れて腐っているものもあった

またタンスの中にあった洋服もどれも同じようなものばかりだった

「不自然な家なのはわかりました、明らかに人が住んでいるとは思えないし、かといって

私達がここに来るのを見越して用意してたとも思えません、そろそろ答えをもらってもいいんじゃないですか?」

「じゃあその前に一つ質問よ、神奈ちゃんがこの家で気づいた事は何かしら?」

この家は誰もが一目見て不自然だと思うだろう、そしてどこがどのように狂っているかと言われれば全てと答える人が大半だ、だがそれは間違っている

「戸棚に飾ってあった写真を見るにこの家に住んでいるのは四人、でもこの家で|《生活している》生きている|のは林堂愛生衣ただ一人

残りの3人は生活していない(しんでいる)

って事ですかね」

この家のそれぞれの部屋は彼女のものを除いて明らかに異質だった、別に何も無いわけではないだが正常すぎたのだ、まるでその部屋の住民は一寸の狂いも無い生活を送っているようだった

「流石ねその考察は間違ってないわ、そしてそれを可能とするのが林堂愛生衣の魔眼、正常の魔眼よ」

曰くそれは罪人の眼なり、曰くそれは死者の幻影なり、それ即ちその眼は生者の虚構なり

正常の魔眼とはその名の通り物事を正常に動かす魔眼だ

その力は生きていないものに対してなら働き

壊れた日常(あたりまえ)を取り戻し正常化するものだ

「つまり彼女は魔眼の力で家族を動かしてたって事ですか」

「彼女の家族について視えた事は2年前に車で事故に遭ったくらいね、その事故について詳しく調べてみないとわからないけれど恐らくそれが今起こっていることの根底ね」

その時カチッと音を立て時計の針が6時を指す

「そろそろ出ないとまずいですよ」

「ああそれなら問題ないわ、彼女の家族がいるのは霊安室よ」

澪さんはさらっと大事な事を口にする

「そういうのは最初から言ってくださいよ!

そろそろ危ないんじゃないかってそわそわしてたんですよ」

「ごめんなさいね、でも初めからこの家の家族は終わっていたなんて言ったらしっかり観察出来るかわからないじゃない?」

確かにその通りかもしれない、林堂さんの家族と真剣に向き合い考え出した結論が今回の事件を解決するには一番重要な事だった

「ちゃんと自分の目で見て確かめる、困った時にはそれが一番大事なことよ、さあそろそろ帰りましょうか」

「そうですね、叔母様を待たせると悪いわ」


魔眼研究所パンドラ

「明日から数日間は魔眼奪いの追跡はしなくてよい、妹さんの事も心配だろう」

古びた椅子に座る老人は呟く

「それもそうだけどよ、本当に大丈夫なのか?」

「その間は他の魔眼使いに頼んでおくから大丈夫じゃよ、それもとびきり優秀な奴をの」

ロブルスが机から出した紙に書いてある名前に彼は覚えがあった

「神倉隼人か、そいつは信用しない方がいいと思うぜ」

彼は数年前から何度か殺人罪で逮捕されているがどれも裁判で証拠不十分で釈放された男だ

警察内でも一部しか存在を知らなく更には証明することすら不可能に近い魔眼の力は犯罪に使うにはとっておきだ

「信用は無くともあのようなタイプの人間を操るのは容易いものよ、それに奴の魔眼は少しばかり特殊でな、今回の仕事にはうってつけなんじゃ」

「へえそいつはどんな魔眼なんだい?」

「界繋の魔眼、視たものの自由を奪い束縛する力じゃ」

「俺の魔眼と似たようなもんじゃねえか」

「お前の魔眼は魂を持つ者には使えぬだろう、だが界繋の魔眼は何人であろうとその力には抗えぬ、それは例え別の世界の住民で変わらぬ」

「その力で犯罪の隠蔽なんて出来んのか?」

「奴は二重眼(ダブルアイズ)なんじゃよ、確かもう一つの方の魔眼がそれを可能にするものだったような気がするのだが...」

ロブルスは紙をペラペラとめくる、どう考えてもこちらの方が重要な魔眼だろうと晴人は思った

「それにしても二重眼なんて珍しいな、最近じゃここら辺でも聞かないぜ」

そもそもの魔眼使いの頭数が減っているのもあるが二重眼は珍しいものである

「特に彼のように魔眼を持つ家で無いにもかかわらず二重眼になる確率は限りなくゼロに近いからのお、まさに魔眼に選ばれた男なのかもしれんぞ」

「魔眼もロクでもないを選んじまったな、もう少しマシな奴なんて世の中いくらでもいるだろ」

「それでも幻眼よりはマシじゃよ」

「なんだそりゃ、聞いた事ねえな」

「片目に2つ以上の魔眼の力を宿している者の眼じゃよ、その力の判別は難しくてな、私自身も今までに見つけた事は一度しか無いんじゃ」

「だから幻の眼で幻眼ってか、だけどあんたも気づかないんじゃ本人自身も気づいてねえんじゃねえか?」

「その可能性は高いのお、1つ目の力を失わない限り気がつかない力、だったら私が出会わないのも合点が行く」

「魔眼の力を失うなんて魔眼奪いにやられなきゃありえねえけどな、他に何かあるのか?」

晴人が質問をするがその時ロブルスが資料を見つける

「ようやく見つけたぞ、彼のもう一つの魔眼は棄却の魔眼じゃな」

そこに確かにあるものを捨て去る唯それだけの力はどんなにずさんな犯行も棄却する、それが棄却の魔眼の力だ

「また面倒なのを持ってるんだな、まあそれだけの実力者なら俺の代わりも務まりそうだな、それじゃあ明日から頼むぜ」

晴人は丁寧に椅子を片付けると去っていく

「相変わらず体はでかいのに謙虚は奴だな」

後ろの方の机でたむろっている魔眼使い達が話す

「お前達も少しは晴人を見習って働いたらどうなんじゃ」

彼らはロブルスの研究を手伝う代わりにお金を貰ってここで暮らしているのだ

「俺らもそうしたい気はあるんだけどよ、家も無けりゃ働き口もないからな」

「それなら私が知り合いを紹介してやろう、衣食住と仕事は保証しよう」

「それはいい、どっかの偽善者ぶった斡旋会社の100倍はましだ、ありがとよロブルスの爺さん」

若者達は嬉しそうに笑う


同時刻 何処かここでは無い場所

「準備は整った、魔眼が一つになるときは近い!」

魔眼奪いが嬉しそうに話す

「まだ注意すべき人物が2人も残っているというのに随分と自信満々ですね」

「もう手はずは整えてある、並木岬の時と同じだ、どうあがいても運命は変わらない」

「彼女の時は随分と派手にやりましたよね、たった1人の人間のために千人以上の人々を犠牲にする、流石は悪の権化だ」

少年は茶化すように話す

「次はあの時ほどのことはせんよ、もっと効率的に処理する」

「あなたが消えたら僕も困りますからね、ここで成功を祈ってますよ」

「祈りなど意味のない事をしている暇があるのなら始まりの眼について考察でもしておくんだな」

祈りなど必要ない、何故ならその眼は悪に染まっているから、信仰を失い希望を失い絶望を与えるだけの機構(いきもの)にそのような物は必要ない

「確かにそうだ、あなたに似合うのは絶望くらいだ」

少年は吐き捨てるように言う

「その言葉はそっくりそのまま返そうかね」

絶望はもうすぐそこまで来たる





どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

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