魔眼少女 第2章「生者の虚構-起」
いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!
本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい
詳しい詳細は後書きにて
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生者の虚構-起
ある少女は幸せを望んだ
「それがたとえ偽りで出来た日常だとしても構わない、どんな形でも側に居て欲しいから」
「あれっここは...」
眼を開けるとそこに見えた景色は真っ白な天井だった
「先生!林堂さんが目覚めました」
先生と呼ばれた人がこちらにやってくる、そうだ思い出した、私は....
「気分はどうかい?特に外傷も見られないし検査が終わればすぐに退院できますよ」
「山崎さんは!?」
神にすがる思いで祈った
別に罪の大小の問題ではない、彼女ならまだ可能性が残っているからだ
「手術は無事成功しました、傷の割に流血が少なかったので大事には至りませんでしたよ、退院は念のため1週間ほど様子を見てからですかね」
はぁ良かった、彼女は安堵して溜息をつく
そして次の瞬間あの感覚が無いことに気づく
彼女は腕時計を見てから医師に尋ねる
「ここって何病院ですか?」
「神奈坂総合病院だよ、ほら君達の学校から1番近い場所にある」
医師は窓を指差す、そこから見える景色の中に学校があった
彼女はそれを聞くとベッドから飛び起きる
「すぐに戻りますから心配しないで下さい!」
そしてそう言い残し走って病室を出る
「えっちょっと、待ちなさい!」
医師が止めようとするが彼女は聞く耳を持たず走り去って行く
叔母さんの家
「ただいま帰りました叔母様」
家に帰ると叔母が玄関の前で待っていた
「無事でよかったわ、学校で大規模なガス漏れがあって生徒の殆どが倒れたってメールが来たけど神奈ちゃんは大丈夫だった?」
ガス漏れか、どうやら上手いこと魔眼の事は隠蔽したらしい
「私は大丈夫でした、これから病院に入院した友達に会いに行ってきます」
「わかったわ気おつけて行ってらっしゃい、あと学校からの連絡で今日から一週間休校になるらしいわよ」
それは好都合だ、その間に神宮優香の件についてケリをつけれるかも
「わかりました、それじゃあ行ってきます」
私は家を出て病院へと向かう
病院の入り口で意外な人物と出会った
「あれっ林堂さん!」
声をかけたが私に気付かなかったようで走り去って行く
その時私の心に不安がよぎる、林堂さんが意識を取り戻したって事はそれが意味するのは彼女は自身の行った行動を思い出したという事だ
「まずい、追いかけないと」
私は慌てて振り向くがもう彼女の姿はない
「仕方ないか、念のために澪さんに連絡をいれとくか」
彼女も事件の関係者だ、本来なら魔眼を知っている刑事に頼むべきだろうが連絡先を知らないのでどうしようもない
私は澪さんに連絡した後に山崎さんの病室に入る、どうやらもう意識を取り戻しているようだ
「失礼します、山崎さんもう傷は大丈夫?」
「手術は無事に終わったみたいで一週間くらい入院していれば大丈夫だって言われたよ、それにしても神奈が見舞いに来るなんて意外だよ」
もう元気そうでよかった
「意外ついでに聞きたいんだけどさ、神奈って魔眼使いなの?」
そんな質問をされるなんて思ってもみなかった、魔眼について言及されるとは思ってはいたがこんな内容だとは思ってもいなかった
「そういうことになるわね、私からも1つ質問したいのだけどあなたも魔眼使いなの?」
「やっぱりそうだったんだ、私は違うよ、魔眼使いなのは兄の方」
「へえそうだったんだ、山崎さんにお兄さんがいたなんて知らなかったわ、それじゃあ後は林堂さんと校長ね」
「それなら問題ないと思うよ、校長はショックで何も覚えてないみたいだし林堂さんは問題ないと思う」
「ひょっとして林堂さんも魔眼使い?」
「そうじゃないけど彼女なら秘密は守ってくれそうって事、それよりも今日来たのは口止めのため?」
「それもあるけど私のせいで友達が怪我をしたんだから見舞いに来るのは当然じゃない、私だってそこまで薄情じゃないわよ」
「別にそこまで考えてなんて無いよ、ありがとね神奈」
その時廊下でバタバタと走る足音がする
林堂さんが帰ってきたのだろうか
「大丈夫か咲!」
扉を勢いよく開けて入ってきた人物は私の知る人だった
「山さん!なんでここに?」
「お嬢ちゃんじゃねえか、そっちこそなんでここにいるんだ?」
山さんがきた理由は山崎さんの次の一言で理解できた
「もう友達も来てるんだから病院で走るなんてみっともない真似はやめてよねお兄ちゃん」
「えっ山崎のお兄さんって山さんだったの!」
「そういう嬢ちゃんは咲と同じ学校だったのか」
お互いに納得していると蚊帳の外の山崎さんが尋ねる
「神奈ってお兄ちゃんのこと知ってたんだ、それなら早く言ってくれれば良かったのに」
「そんなこと言われても同じ苗字なだけでわかるわけないでしょ、正直山さんの苗字が山崎だってことも忘れてたくらいだし」
「それにしても元気そうで良かったよ、ロブルスの爺さんから咲が刺されたって聞いた時は心臓が止まるかと思ったぜ」
「いっそ少しくらい止まったほうが静かでいいんだけどね」
「酷いなあ、せっかく仕事を抜け出して走って来たってのによ」
山さんはそう言って時計を見る
「そろそろ行かねえとな、嬢ちゃん後は頼んだぜ」
そう言って山さんは病室を出ようとする
「ちょっと話があるんですけど少しでいいので時間もらえますか?」
「わかった、廊下で話すか手短に頼む」
私達は廊下に出る
「山さんはロブルスさんに頼まれて魔眼奪いに襲われてる人を助けてるんですよね、最近何かありませんでした?」
「その事なんだが最近はからっきしだ、単に俺が見つけられてないだけじゃなくて存在を隠してるんじゃねえかと疑いたくなる程な」
「それじゃあもう一つ、南波紫苑の周りで魔眼奪いを見かけたことはありますか?」
「南波紫苑、今回の事件を起こした奴か、残念ながら見たことはないな、俺も忙しいから四六時中魔眼奪いに気を取られてる場合じゃないしな、そろそろ行っていいか?」
「ありがとうございました、魔眼奪いについて何かわかった事があれば是非教えてください」
山さんは走り去る、どうやら相当忙しいようだ
「話は終わったわ、1人だけ仲間外れにしちゃってごめんなさいね」
魔眼の問題に一般人を巻き込むわけには行かない、それがたとえ魔眼持ちの妹だったとしてもだ
「そんなの気にしないよ、それよりも林堂さんの様子を見てきて欲しいんだけど」
「彼女なら私がここに来た時に走って病院から出てったわよ、止めようとはしたのだけど気付いたらいなくなってたわ、一応知り合いに頼んで探してもらえるようにしてもらったからもうじき帰って来るんじゃないかしら」
「それならいいんだけど、彼女思い詰めてないかな、いくら魔眼のせいだとしても自分が人を刺したなんて事実受け入れられるとは思えないんだよね」
「思い詰めてたとしても自殺はしないと思うから安心していいわよ」
「それは同感だね、彼女は家族を残して死ぬような人じゃないよ」
それもそうだが気になっている事があった
「彼女があなたを刺した後にこの命は私だけのものじゃないって言っていたのよね、あれってどういう意味なのかしら、林堂さんと仲よかったあなたなら何か知らない?」
「そのままの意味なんじゃないかな、他にも自分を大切にしている人がいるから的な」
「そうともとれるか....ありがとう参考になったわ」
彼女の言葉には何かただならぬものを感じたのだ、裏表など一切ない決意めいた何かを...
その時スマホが振動する、どうやら電話がきているようだ
「ごめんね、ちょっと出てくるわ」
私は病室を出て病院の庭のベンチに座る
「もしもし神奈です、林堂さんの件ですか?」
「ええそうよ、彼女どうやら家に戻っていたみたいで今病院に向かわせてるわ、それにしてもいきなり連絡が来たからびっくりしたわよ」
「ありがとうございます、彼女が私に気づかないくらい焦ってたように見えたので心配になって」
「今度何かあった時のために信頼できる警察官の連絡先を送っといたわ、その人は昔魔眼奪いに魔眼を奪われた人だから魔眼について話しても問題ないわよ」
高宮緋夏斗という名の人物の電話番号とメールアドレスが添付されていた、彼が何の魔眼を持っていたのか少々気になるがそれは今は関係ない
「何から何まですみません、私もこっちの用が済みしだい魔眼奪い探しを再開します」
「そんなに気を張らなくてもいいわよ、せっかく学校も休みになったんだからゆっくりした方がいいわよ」
澪さんの方こそ休んだ方がいいのでは、私がそんな事を考えていると病院の入り口に林堂さんの姿を見つける
「林堂さんが来たみたいです、また何かあったら連絡しますね」
私はそう言って電話を切る
「1時間ぶりくらいね林堂さん、とはいえ気付いてないわよね」
私は彼女に話しかける
「未南雲さんですよね、今日は助けてもらったみたいでありがとう」
「礼を言われる立場じゃないわよ、それより話しておきたい事があるの病室に行ってもいいかしら?」
「これから母が来るからそれまでの間だったら....」
というわけで場所を彼女の病室に移し話を始める
「今日は色々あって大変だったと思うわ、私の問題だったのにあなたに辛い決断をさせてしまった事は謝るわ、それでも無理を承知でお願いするわ、今日起きた出来事を胸の内にしまって欲しいの」
「それは山崎さんは知ってるの?」
「彼女は同意してるわ、もちろんあなたにされた事についても彼女は気にしてないわよ」
「山崎さんがそう言うなら私は構わない、でも私が彼女にした事は消えない....」
「彼女との今後の付き合い方については口出しするつもりはないけれど彼女はきっと許してくれると思うわよ」
彼女は魔眼について理解している、ちゃんと話し合えばきっとすぐに元通りの関係に戻れるだろう
トントン、ドアをノックする音が聞こえる
「愛生衣入るわよ」
どうやら林堂さんのお母さんが来たようだ
「じゃあ私は帰るわ、また来るかもしれないけどその時はよろしく」
病室の入り口で彼女の母親とすれ違う
不思議な雰囲気の人だった、肌は異様なほど白くそれとは対照的に服は病院に似つかない喪服のように全身真っ黒のものだった
横を通る私に見向きもせずに林堂さんの元へ歩いていく
「色んな家族がいるんだなー」
他の人たちの家族を見て久しぶりに家族に会いたくなった、今までは思い出しても悲しくなるだけだから家族との思い出は心に封じ込めていたがこれからは笑顔でそれを語れる日が来るのかな
そんなことを考えながら山崎さんの病室に戻る
「林堂さんに会えたわよ、魔眼の事は口外しないようにお願いしといたけど今回の出来事については途中でお母さんが来たから話せなかったわ」
「林堂さんのお母さんに会ったんだ、神奈は林堂さんの母親のことを視て何か不思議に思わなかった?」
「不思議な雰囲気だとは思ったけど気付いたことといえばあまり外に出てなさそうなのとファッションセンスの無さくらいかしら、山崎さんは気になることでもあったの?」
「林堂さんの家って私の家の向かいにあるんだけど両親が家から出て来てるのを殆ど見たことないんだよね、一回だけ家に行った事があるんだけど生活感が無かったっていうか何というか...」
「つまり家に住んでるのは林堂さん1人なんじゃないかって事?」
「私もそう思ったんだけど家に行った時は母親はいたんだよね、それと部活で1人で残って片付けした日とかに帰りに見かける事があるんだよ」
「それは不思議ね、知り合いに頼めば素性調査する事も出来るけど山崎さんはどうしたい?」
「遠慮しようかな、そこまでして彼女のことを探る必要も無いし、それよりも神奈って意外と行動的なんだな、クラスでは名家のお嬢様って感じだけどさては本性はこっちか?」
「本当はクラスメイトの前ではこんな姿を見せるつもりはなかったのだけど今更あなたに隠しても無駄ね、これからは魔眼使いの未南雲神奈として改めてよろしくね」
「こっちこそよろしくね、ところでそろそろ戻らないと名家のお嬢様は怒られちゃうんじゃ無い?」
日が傾き始めている、流石に長居しすぎたようだ
「それじゃあさようなら」
私は病室を出て廊下を歩き出す、すると隣の病室にふと目がいく
「林堂さんのお母さんはまだいるんだ」
あれっおかしなことに気づく、影が3つ見える
「ちょっと確かめてみるか...」
私は扉をほんの少しだけ開けて隙間から中を伺う
すると3つ目の影の正体がわかる
「なんだ、お父さんも来てたのね」
親子3人で談笑している様子を見て少し安心した、何故ならそこには少し疑う余地のない何の変哲もない日常があったから
どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです
それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました
そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました
それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!
というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します
またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!
是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います
作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa
時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります