魔眼少女第1章「今是作非-結」
いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!
本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい
詳しい詳細は後書きにて
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今是作非-結
部屋に戻った私は悩んでいた
「うーん夕食まで結構あるし何しようかな」
暇な時はゲームをしたりパソコンを見たり運動をしたりと人それぞれだろう、だが由緒正しいお嬢様扱いの私の部屋に遊び道具はないのだ
私はおもむろに引き出しを開けてあるものを取り出す
南條家に代々伝わる日本刀 裏刻刀
これは剣道をやっていた母が私に残してくれた遺品である
「暇な時に磨いているけど結局使った試しはないわね」
未南雲家は代々男女問わず剣道を教え込まれる、だからといっていくら剣道をやっていても真剣なんて使うことはそうそう無いだろう、現に私は一回もこれを振るったことがない
だがこれからはどうだかわからない、私は家族を殺した魔眼使いを....
「ご飯出来たわよー」
叔母の声が聞こえる、どうやら考え事をしている間に随分と時間が経っていたらしい
「はーい、今行きます」
私は刀を丁寧にしまいその場を去る
夕食を終えた後
プルルルル電話が鳴る、澪さんだ
「もしもし神奈です、南波紫苑に会えたんですか?」
「残念ながら留守にしてるわ、大家さんに話を聞いて見たけど昨日の朝に見て以来姿を見かけてないみたい」
「もしかしたら魔眼奪いに会ってるのかも、わざわざ行ってもらったのに申し訳ないです」
「別に構わないわよ、魔眼奪いについては私も興味があるし、それよりも気をつけてね彼が魔眼奪いと会ってるとしたらまた狙われるかもしれないわ」
「大丈夫です、その時は私の眼でまた撃退してみせます!」
「そうね心配は要らないわよね、それじゃあお休み」
何故だろう、電話越しだが澪さんの最後の一言に違和感を覚えた、心配していないと言いながらもきっと半人前の私を心配しているのかもしれない
「おやすみなさい!」
明日は学校だ、残りの今日やるべきことは澪さんのくれた南波紫苑についての資料に目を通しておくだけだ
彼女はある欄を見て驚く
「嘘でしょ、あいつボランティア団体なんてやってたの?」
親が亡くなった子供達の為のボランティア団体「紫陽花」を彼は眼の力を手に入れる前からやっていたようだ
「眼があいつを変えたのかな.....」
魔眼の暴走、昨日澪さんと会った時にした話だ
回想
「あの昨日私があいつに魔眼を使った時に魔眼の暴走かって言ってきたんです、それってどういう意味かわかりますか?」
「そっか神奈ちゃんは魔眼について知らないで育ったんだもんね、魔眼の暴走は魔眼の力を意図的に使わずに封印している時に起こるものよ、簡単にいうと使用者が魔眼の力を抑えきれずに魔眼の意のままに操られてる状態になることかしら」
「あのーそもそもの話なんですけど魔眼の力って抑制出来るんですか?」
私は弟から魔眼を受け継いで以来四六時中世界の裏側が視えている状態だ
「魔眼について理解していれば抑制は可能なはずよ、ずっと魔眼を使い続けてる神奈ちゃんなら練習すれば出来るんじゃないかしら」
「でもそれって暴走の危険を伴うんですよね、だったらこのままの生活で構わないですよ」
もう四年もこの景色を視ているのだ、決して慣れているわけではないが今更危険を伴ってまでどうこうする気もない
「神奈ちゃんは大丈夫だと思うわ」
その一言は嘘なんかじゃなかった、彼女が何か根拠があって言っているのかそれとも私に対する信頼なのかはわからない、だけど何か確信めいたものを感じる
「そうですかね、じゃあ決めました魔眼奪いに辿り着けたらそうします」
きっと自身を取り巻く魔眼にけじめをつけてから前へと進みたいという彼女なりの選択なのだろう
「それでいいと思うわ、魔眼は人を呑み込むものよ、だからこそ慎重に付き合って行くべきね」
回想終了
魔眼は人を呑み込む、それに似たことを最近聞いた気がする、そうだったあれは山さんが言っていたんだっけ
魔眼使いの眼を見てはいけない、それは眼を持っている本人にも言えることなのかもしれない
魔眼は使用者をも狂わす、自らの眼に呑まれた使用者はきっといるのだろう
なら私は、私自身は呑み込まれない保証などあるのだろうか?
漠然とした不安が脳裏をよぎる、誰だって道を踏み外す可能性を持っている、だが誰もが自分はそうならないと信じているはずだ、それは彼も例外ではない
「私は...なんて考えても仕方ないか!」
不安を飛ばし資料を読み進める、ふと目に留まったものがあった
紫陽花の会員リストの中にマーカーが入っている人物と入っていない人物がいた
「これって今も紫陽花に入ってる人とそうじゃない人かしら」
どうやら南波紫苑が魔眼を手に入れた後に紫陽花を抜けた人にマーカーが塗られているようだ
「会を抜けた理由は不明だけど出て行った子達はみんな新しい親を見つけたりして人並みに暮らしてるのね」
ページを次々にめくりマーカーがついた人を中心に見ていくと彼女はある事に気付いた
「そっかあいつが言ってたのはこういう事だったのね」
そして彼女は悩む、もし次に彼に会う事があったならどうすべきかを
そうして夜は更けてゆく
その日の夕方
学校の校門の前に1人の男が立っている
「ねえ君達未南雲神奈って子知ってる?」
男は出てきた女子高生二人組に尋ねる
「神奈なら同じクラスですけど...」
それを聞いて男はニヤリと笑う
「こんなにすぐに見つかるなんてついてるな」
そう言うと先ほど質問に答えた方の首にスタンガンを当てる
彼女は気を失って倒れる
「えっ何してるんですか...」
残された方は動揺と恐怖で一歩も動けない
「何って言われてもなー、復讐なのかな?」
男は冷酷な眼で彼女を視る、そして彼女のことも気絶させる
「さあゲームを再開しよう、未南雲神奈!」
魔眼に取り憑かれた男に視えているのは目の前の復讐だけだった
次の日彼女は何事もなかったかのように学校へ登校した
学校に着くなり教室がざわついている
「何かあったの?」
「あっ神奈ちゃん、実はうちの学校で行方不明になった人がいるらしくて、どうやらそれがうちのクラスの人なんじゃないかって話になってるの」
「へえ、行方不明者ね..」
胸騒ぎがする、昨日の今日だ何かあってもおかしくはない
ピーンポーンパーンポーン、チャイムが鳴り生徒たちは席に戻る
担任の先生が教室に入ってくる
「今日はホームルームの前に皆んなに聞きたいことがあります、林堂さんと山崎さんが昨日学校で部活の片付けをしてから家に帰っていないようです、2人を見かけた人はいませんか?」
誰も何も言わない、関わりたくないわけではないこの中の誰もが何も知らないのだ
ガチャ、その時放送が流れた
「職員は至急職員室に御集りください尚生徒は一時限目を自習とします、繰り返します職員は至急職員室に御集りください」
どうやら校長先生のようだ、事態に何か進展があったのかもしれない
「先生は職員室に行って来るから何かあったら呼んでください、それと静かに自習すること!」
そう言って先生は慌ただしく出ていった
「林堂と山崎が一緒に居たなんて意外だよなー、あいつら全然性格も違うしよ」
「山崎さんが林堂さんを剣道部に誘ったらしいよ、彼女いつも静かで誰とも話してないからって」
教室の隅で誰かが話している
「林堂さん昔は明るい子だったんだけど高校に入る直前に急に誰とも話さなくなってそれ以来全然話してないんだよね」
「そういえば林堂が学校の近所に引っ越してきたのもその頃だったような、俺の家の向かいなんだけどさ人気がなくて近所の小学生に幽霊屋敷って言われてるらしいぜ」
「ひょっとして幽霊にでも攫われたんじゃね?」
「いつも同じ服ばっか着てるしあいつが幽霊なんじゃね!」
だんだん話が逸れていく、その時また放送が流れる
「あーただいまマイクのテスト中でございます、この放送に心当たりのある方は至急放送室まで来てください」
この声は南波紫苑!
「来なかったらどうなるかわかってるよな!」
刹那魔眼の力を感じる
「さあ選べよ、自分の命か学校か」
「命など捨てれるわけがないだろう!」
校長の声だ
そして私以外のクラス全員が倒れる
「今のは忠告だ、下手な真似をしたらこいつら全員の命はないと思え」
選択の魔眼...澪さんに連絡して今すぐにでも問い詰めてやりたいが中々電話に出ない
私はケータイを片手に放送室に向かって走り出す、どうやら学校にいる全員が気絶させられているようだ
「ダメだ繋がらない、澪さん今すぐ学校に来てください南波紫苑が現れました、生徒は全員気絶させられてて今なら学校に入れます」
留守電だけでも入れておく
警察への連絡は...しないほうがいいだろう、魔眼の力を一般人に知られるわけにはいかない、それに話しても信じてくれないだろう
ようやく放送室の前に着く、この扉を開けたら奴がいるだろう眼を見ないようにしなければ
「着いたわよ、こんなふざけた真似をして一体何が目的なの?」
扉を開けながら尋ねる、だがすぐそこに居たのは倒れている校長先生だった
「やあ未南雲神奈久しぶりだな、何が目的かだって?そんなの君への復讐に決まっているじゃないか!」
部屋の一番奥に奴の姿がある、そしてその隣に2人の高校生が縛られている、林堂さんと山崎さんだ
「2人は関係ないでしょ、解放しなさい」
「そうだな、それじゃあ面白いものを見せてやろう」
彼は林堂さんの縄を解くとナイフをその首に突きつけながらもう一本別のナイフを渡しその眼を視る
「君には権利を与えてあげよう、ここで俺に殺されるか隣の子を殺すか、さあ選べよ」
「選んじゃダメ!」
私は彼女を止めようとするが止められる
「それ以上近づきたら俺がどっちも殺してやるよ」
あいつは本気だ、そして彼女は悩んでいる
「早くしろ、殺されたいのか?」
隣で山崎さんは震えている、当然だ彼女の運命は彼女以外の者に委ねられたのだから
「山崎さんを殺します」
その眼は決意に満ちている、残酷な決断だがその状況に陥ったら誰もがそちら側に傾くであろう結末だ
「そうか、かわいそうに彼女は君を殺すそうだよ?」
彼は山崎さんに話しかける
「人は傲慢だ、どれだけ着飾っていても追い詰められたら結局自分が一番可愛いんだよ」
「そうじゃないです...」
山崎さんが呟く、震えながらもその言葉には強さがあった
「私は彼女の優しさを知っています、だからこそ彼女にこんな事をさせる貴方が許せない」
「お前に許される必要はない、さあ早く殺せ!」
林堂さんの手が動く、ナイフが心臓へと向かうが山崎さんは一切避けようとしない
それはまるで彼女の決断を良しとしているようだった
「ダメ!」
無我夢中で魔眼を発動する、その瞬間部屋が私の魔眼に取り込まれる、そして彼女の裏側に向かって手に持っていたソレが投げつけられる
ソレは裏側の彼女を吹き飛ばす、その事によって表裏一体であった彼女の表側が少し影響を受ける
ズサッ山崎さんの体が倒れこむ、心臓はどうにか避けられたがこのままでは彼女の命が危ない
「ごめんなさい、でもこの命は私だけのものではないんです...」
そして刺した方である林堂さんはそう一言言い残し気絶した
「どこからそんなものを持ち出した、何故俺の邪魔をする!」
魔眼の世界で立っているのは南波紫苑と未南雲神奈のみである、彼らはお互いを視る
「お前はさ命を軽く扱ったんだよ、彼女達はきっとどちらも絶望するだろうね、そしてボクはそれを許さない!」
彼女の手に輝くものは裏刻刀だった、鞘を外されたそれは神秘を纏っていた
「そうかここは魔眼の世界なのか、だったらそれは力の具現化!」
「今すぐにでも消してしまいたいけれどその前に聞かせてよ、お前にとって魔眼は何だ」
「力だよ、これさえあれば俺は誰にだって阻まれない、何だって選べる!」
彼の魔眼が光る、そして次の瞬間私は何かに包まれる
紫陽花だ、紫陽花の花が私を縛り付けている
「それがお前の力か、なんだお前の答えはとうに出てたんじゃないか、南波紫苑お前にとって魔眼で得たものは幸せだったか?」
一瞬彼の顔が歪む
「幸せだよ俺は望んでこの力を使った、それで103人も不幸にしてやったよ!」
彼の身体が歪む
「それは嘘だろう?お前は何も望んでない、いや望む権利すら持ち得なかった!」
裏刻刀が紫陽花を切り裂く、花びらは空に舞い散る
「違う俺は...!」
神奈の眼が光る
「真実を視せてあげるよ」
裏刻刀を彼に向かって投げる、それは彼を切り裂き貫く
次の瞬間そこにいたのは裏側の彼だった
魔眼に支配されていない意識下で彼は答える
「そうだお前の言う通りだよ、俺は一度自由を手に入れた、なのに魔眼はそれを奪った、魔眼を得てからの俺には自由なんて無かったんだ!」
彼の眼が光ると同時にこの空間を埋めつくすほどの選択肢が現れる
「これがお前の視ている世界なのか、こいつはもうどうしようもないくらい行き止まりだな」
彼には何十もの選択肢が常に提示されていた、普通に考えるのなら彼に選択の自由はあるとみなせるかもしれない、だが事実はそうではない彼は決められた選択肢以外を選ぶ権利が無かった
「選択の魔眼を手に入れても結局お前は作られたレールの上を歩いているだけだったわけか」
彼女は彼に憐れみの目を向ける
「そうだよしかも俺は魔眼に魅せられちまった、あの子達を不幸にした!」
そうか、彼が魔眼を使った人数を覚えていたのはそう言う事だったのか
「確かにお前はそうしたのかもしれない、でも彼らは今幸せに生きてるよ、99人全員な」
昨晩彼女が見た会員リストでマーカーが入れられていたのは99人、つまり彼らが会を抜けた理由は選択の魔眼を使われたからだったのだ
「例えそうだとしても俺の罪は変わらない、少なくとも俺は魔眼を奪って貰う事、ただそれだけのために此処にいる4人を不幸にした!」
「そうだね、だからこそお前は償わなくちゃいけない」
裏刻刀が舞う、彼女は鮮やかな剣舞で無数にある選択肢を斬っていく
「これは....」
選択肢が無くなった場所には美しい紫陽花が咲いていた
その光景に彼は眼を奪われる
「人はどんな選択を選んだってきっと後悔する、でも今を未来に繋げるために必死に足掻いてまた新しい選択をする、そうして繰り返して生きていく生き物なんだってボクは思うよ、だからさ失敗したってまた歩き出せばいいんだよ」
全ての選択肢が咲き誇る紫陽花となる、それこそが彼の答え
「俺はまだやり直せるのか?」
「ああ、お前には待ってくれてる奴がいるからな」
裏刻刀が彼を斬る、選択の魔眼のみをこの世界から落とし彼を解放する、それが彼女が選んだ彼の贖罪の仕方である
「よかった...」
彼の微笑みと共に世界は戻る
「はあ、どうやら一件落着かしらね...」
私はため息をつきそして気付く
「そうだ山崎さん!」
まずい早く救急車を呼ばないと、私がそう思い慌ててスマホを取り出した時背後から声が聞こえた
「救急車ならとっくに呼んでるわよ、ここで女の子が倒れてることも後から伝えたからもう来るはずよ、それと気絶している生徒なら皆んな意識を取り戻して何とも無いみたいだから心配要らないわ、もう先生達が家に帰しているはずよ」
振り向くと見慣れた魔眼使いが立っていた
「澪さん!」
「留守電を聞いて近くにきたら大変なことになっててビックリしたわ、生徒が気絶してるって言うから一応救急車を呼んだけどまさかナイフで刺された子がいるなんて」
その時救急隊員の方々が入ってきて倒れている3人を運び込む
ピーポーピーポー、サイレンが聞こえる
「もしかして警察も呼びました?」
「当然でしょ、目当ての魔眼使いが殺人未遂なんて見逃せるわけないじゃない」
「それなんですけど実は....」
「えっそんな事があったの!まずいわね彼が魔眼を使った証拠なんてどこにも無いし」
そんな話をしているともう警察がやってきてしまった
「女子高生殺人未遂の容疑者がこちらにいると伺ってきたのですがどなたでしょうか?」
すると南波紫苑は自ら名乗り出る
「俺がやりました、本当に後悔しています」
どうやら魔眼を無くしたことで正気に戻ったようだ
「良かったわ、正しい選択なんて誰もが求めても手に入らないものよ、それを心に留めて進みなさいよ」
「そうだな、ありがとう未南雲神奈」
自らの運命から解放された彼は彼女に微笑む
そうだ彼には警察に連行される前に聞かなければならない事がある
「そうだった、魔眼奪いの正体は誰なの!」
「俺に依頼してきたのは...」
そこまで言って言葉が止まる
「思い出せない...一体あいつは...」
「何言ってるのよ!あんたは絶対知ってるはずよ!」
歪まない、そんな事はあり得ないのに
私は動揺し叫ぶ、だが澪さんがそんな私を止める
「彼の言ってることは正しいわ私にも視えないのよ、まるでそこだけが霧に包まれているように隠匿されているわ」
「それって叔母様と同じ...」
「ええ、どうやら隠匿の魔眼の持ち主は魔眼奪いのようね」
繋がった、絶対に関係ないと思いたかった過去が今に結びついている
「未南雲神奈、過去を知りたいなら神宮優香に会いに行け」
「ほら、そろそろ行くぞ」
南波紫苑が連行される
「ちょっと神宮優香って誰なのよ!」
「ロブルスさんに聞いた事があるわ、最上位の魔眼使いだって事しか知らないけど最近どこかで名前を見た気がするのよね」
言われてみれば私も見た事がある気がする
「ひょっとして紫陽花の会員とか?」
「でも彼と関係がありそうな人は全員詳しく調べたから流石にまだ覚えてるわよ」
だったら関係が無い人、いや全く関係が無い人では無いはずだ、彼が名前しか言わなかったという事は...
「そうだ、1人だけ彼が魔眼を手に入れる前に三ヶ月程で会を抜けた人が居たはずです」
澪さんがパソコンを取り出す
「いたわよ神宮優香、当時小学一年生で親が彼女を紫陽花に預けて行方不明よ、三ヶ月後に会を抜けた時の引き取り手は...ロブルスさんね」
「つまり魔眼に気づいた南波紫苑がロブルスさんに引き取ってもらった...いやそれだと時系列がおかしいですよね」
「何にせよ調べる必要がありそうね、私は神宮優香の事を調べるわ、神奈ちゃんは病院に行って彼女達の様子を見てきた方がいいわ」
「えっと、こんな事があったのに私達は警察に事情聴取とかされないんですか?」
「ロブルスさんにお願いして魔眼に融通が利く人に来てもらったの、魔眼なんて一般人が知ってもいい事ないしね」
ロブルスさんの人脈に驚かされると同時に、本人は魔眼を持っていないのに魔眼についてそこまで徹底している辺り何か裏があるのではと疑ってしまう
「ロブルスさんの事なんですけど本当に魔眼持ちじゃ無いんですか?」
「そうよ、私の魔眼で視ても唯の一般人が魔眼研究をしているようにしか視えないわ」
澪さんがそう言うなら間違いないはず、だが何か引っかかるものがあった
「あっ新聞社の方で約束してたの忘れてた!ごめん神奈ちゃん神宮優香の事が何かわかったら連絡するわ」
澪さんはそう言うと風のように去って行った
まるで嵐のような人だ
「じゃあ私は一度帰ってから病院に行こうかな」
私は誰もいなくなった学校を1人で去って行く
その選択が正しいのかなんて誰にもわからない、でも前に進めばきっとついてくるものがあるだろう
何処かここでは無い場所
薄暗い地下室のような場所で眼の周りを包帯でグルグル巻きにされた銀髪の少年が鎖で繋がれている
ギー、錆びついた扉が開きフードを被った者が現れる
「身体の調子はどうかね?」
少年は呆れたように答える
「自ら閉じ込めた相手に聞く質問とは思えませんね、万全ですよ」
「減らず口が、まったく誰に似たんだか」
「当然父親であるあなたに決まっているでしょう?それよりも選択の魔眼は取り逃がしたんですね」
「確かにあれは逃した、だがそれ以上の収穫があったぞ!」
それは興奮して天を仰ぐ
「ようやく例の魔眼が見つかった、しかも私の仮説を彼女は証明してくれたよ、あとはそれを奪うだけで事足りる!」
「それは嬉しい知らせですね、そろそろ魔眼集めも大詰めですし早めに済ませてくれると助かりますね」
「そういえば聞いていなかったがこの世界から解き放たれることに何の意味がある?無に帰ったその先に残るのもなど無いだろうに」
「僕達はそういうモノですからね、結局一部の人が持つ力は人に利用されてこの世界を乱す不要物なんですよ、だから消えるそれでいいじゃないですか」
「お前がそうしても私がいる限り何も変わらんよ」
「それでも構いませんよ、魔眼は人を喰らい、いずれ1つになるのだからね」
「ふんっ無駄話はここら辺にしよう、そろそろ次の駒が動く頃合いだ」
「もう仕掛けたんですか、あなたにしては随分と仕事が早い」
「次の眼は危険だからな、試運転も兼ねて何個か事件を起こしてもらうつもりだ、それにそうすれば彼女が自分で魔眼に気付くだろう」
そう言うとそれは去っていく
「よくやるよね、人間は魔眼を扱うにはまだ早すぎるのに」
少年は誰に向けるわけでもなく呟くと意識を失ったように眠りにつく
今是作非-完
どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです
それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました
そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました
それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!
というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します
またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!
是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います
作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa
時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります