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ボクと、冴子さんと、過保護な黒髪メイド(9)
ふと見ると、
60歳くらいに見える男の人も、
この、「宿題支援」の指導員の中にいらした。
この指導員、もっと徹底している。
ろくに教えない。
例えば、31×7の筆算。
一の位、7×1ならさすがに子供はできる。
指導員さんは、
「次は?」と訊く。
子供はだまりこんでしまう。
7×3がいくつか、パッと出ないからだ。
「しちさんにじゅういち、21。」指導員さんはすぐ教えてしまう。
中には、「21」なのに
「12」と書いてしまう子もいる。
指導員は「21」と繰り返し、
それでも固まっている子には、
プリントに薄く「21」と書き込む。
いいのかな、しっかり教えなくても。
その「おじいさん」は
ボクの考えていることを見透かしたように、
「いいんじゃよ、それで。」
と、子供に声をかける。




