新たな景色と、黒髪メイド(6)
こうしてよく見てみると、大して忙しくなってはいないように思う。
とにかく言われ続けたのは
「続けろ」
「無理するな」
「頑張るな」
「少しずつやれ」
「脳を疲労させるな」
「1回で覚えようとするな」
「反復、連打」
そして、こう言われた。
「勉強ができるというのは
高速処理できるということだ。
たとえばこんな感じだ。
『白チャート』だったら、」
と言いかけて、問題集を手に取り、続けた。
「アニメの異世界もので、『高速詠唱』というのを見たことがあるか?
魔法の呪文を早口で唱えるものだが、数学や理科の解法も
『高速詠唱』できるまで反復するのが理想だ。
『aの2乗b+bの2乗c-ca2乗-ab2乗は、
最低次数のcでまとめて………』」
と、文字通りの『高速詠唱』をしてみせた。
「だから、何度も書かなくてよいが、
一応、慣れるまでは広告紙の裏でも使っておけ。
そのうち、ルーズリーフのファイルだけ、
『高速詠唱』だけで勉強が短時間で済むようになる。」
「中学までとは違うんだ。
ただ計算が合えばいい、答えが合えばいいというのは中学までだ。
高校からの数学や理科は、
答えに至るプロセスまで問われると思っていればよい。
ただ、国語・英語・社会の文系科目は必ずしもそうではないから、
どうしても理系科目に関して限界を感じたら、
また対策を考えよう。」
「大丈夫だ。自信を持て。
思っていたより、よいペースで来ている。」




