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知らない部屋。


目が覚めると知らない部屋にいた。ベッドというには固すぎる。申し訳程度に藁だけ乗った台で寝ていた。


「ここは…どこだ?なんで俺はこんな所で寝ていたんだ?」


ベッドより頭を上げて辺りを見渡すと、石造りの壁で出来た六畳程度の部屋に居た。

その場所は全く見覚えのない部屋だった。寝る前の記憶を辿るが何をしていたか…思い出せない。


しかし、今はそんな事どうだっていい。…漏れそうだ。起きたばかりだから膀胱が破裂しそうなんだよ。


差し迫る危機感を感じて部屋をよく見ると扉がない。もちろんトイレもない。俗にいう密室って奴だ。


「うっ、うおおぉ!誰のイタズラだよ!」


だんだんと焦ってくる。どうにかしないと漏らしてしまうじゃないか!

隠し扉があるかもしれない。必死になって部屋の壁を叩きまくる。


「誰かいないか?頼むからここから出してくれ!!漏れそうなんだよ!!」


誰かが俺を閉じ込めたのか?ただのイタズラなら失禁までさせないだろう。しかし、いくら叫ぼうが壁を叩こうが反応は皆無。しばらく1人で騒いでいたが、ついに限界を迎えて一歩も動けなくなる。


「ぁっ…ああ!」


プルプルと震える身体。

足をつたう温もり。

自然と零れ落ちる涙。

大人になって漏らすなんて思わなかったよ…


少しでも多量でも漏らすのは同じ。ならばもういいや全て出し切ってしまえ。


開き直ると人間とは不思議なもので、我慢からの解放感と漏らすということの背徳感から少しテンションが上がってしまった。そして、閉じ込めた者へのやり場のない怒りと悲しみで暴れたくなる。


「うおお!ちきしょう!」


勢いで机に乗り息子を解放、そして放尿しながらその場で回転してやった。


ここが俺の部屋ではない事だけはわかる。つまり、この部屋を使っている奴がいるはずだ。散々たる状況にする事で仕返しになるだろう。


「あはははは!!俺を閉じこめるからこんな事になるんだぜ!ざまあみやがれ!」


そのまま楽しく部屋で放尿してやったぜ!


すっきりした所で冷静になる。俺を閉じ込めた野郎はぶち殺すと心に決めて。改めて部屋を見渡すと机の上に一枚の紙がある。なになに?




『異世界より召喚されたし、ダンジョンマスターの皆様方へ。

ここは魔法やモンスターが住まう夢と冒険溢れる世界となっています。

貴方はこれより一ヶ月の間、ダンジョンを製作して頂きます。それを補佐致します道具は、この手紙を読み終えた後に贈呈しますので御安心下さい。無論、自給自足の生活となりますので、良く考えて創るよう進言致します。

尚、一ヶ月後にはダンジョンが開放されて、皆様方ダンジョンマスターが持つ秘宝を狙い、命を奪おうと攻めてくる者達がいます。防衛面を徹底的に強化しておくと良いでしょう。

また、ダンジョン外の生物を殺しますと、ダンジョン作成に必要なポイントに変換されます。相手の強さによりポイントは変動しますので、積極的に殺しましょう。

貴方は初心者と言う事もあり、防御能力皆無の麻布で作られたノービス装備ですが、御自身のレベルが上がれば、より強力な装備を生み出せるので御安心下さい。

尚、貴方が以前暮らしていた世界での情報を消去し、現在はノーネームとなっておりますので好きに御名乗り下さい。

ステータスを閲覧したい場合は、“ステータス確認”と唱える事により可能となっております。

それでは、皆様方に健やかなダンジョンライフが訪れる事を心より願い、ダンジョン作成に必要なポイントを1000ポイント贈呈させて頂きます。


追伸。この紙は読み終えた後に燃える為、大変危険ですので一時的に距離を取る事を御勧め致します。』



手紙を読み終えて呆然とする。いきなりダンジョンとか侵入者とか言われても意味が分からない。殺しに来ますとか実感も湧かない。しかし、何か大変な事に巻き込まれてしまった事だけは分かる。


そして、もう一つ分かったこと。この手紙が本当ならば、ここは俺の部屋という事になる…尿でびっちゃびちゃじゃん。


どうすんのよ?これ?


読み終えて少しぼんやりしていると羊皮紙が手の中で燃え始めたのだった。驚いて手を離そうとするも慌てていたため身体に落としてしまう。



「ぎゃああぁぁ!!服に…服に燃え移ったぁぁ!!」



服は麻で出来ている。初めて知ったが麻ってよく燃えるのね。何とか服に付いた火を消そうと床を転げ回る。

幸いに床は濡れている。

火達磨になりながら尿で濡れた床を転げ回る。

そして服が燃え落ち全裸になる俺。


「だおおお!足の小指がああ!!」


転げまわってた時に小指をぶつけた。衝撃で机も崩れて俺の上に倒れてきた。


「ぎやああ!臭い!痛い!なんかもう…辛いいぃぃー!」



泣いた。

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