最終戦
遅くなって本当に申し訳ありません!
でも、短い......ほんとにごめんなさいっ!
秘都美が瞬間移動した後、目の前は白い閃光で真っ白になり、気づいたときには周平と秘都美が抱擁をかわしていた。
そして、それを合図に目の前の世界は現実に戻った。
荒れ狂う雷撃は消え、その中心にいた少年は静かに横たわっていた。すぐそばに立つのはやはり青髪の少女。
止まったのだ。周平の『暴走』は、ついに止まった。
「秘都美、周平くん!」
白い世界の終わりとともに訪れた静寂の中で、第一声を上げたのは氷華だった。すぐに周平と秘都美の方へ駆け寄り、後ろに真利奈も続いた。
それを傍観する輝善の後ろでは結界を張っていた俊太郎と泰然がふぅ、と息をはいして互の顔を見合わせた。采聖と智晴も脱力し、じめんに座り込んだ。
「輝。もう終わった。と思うか?」
「えぇ、周平くんたちの方は。ただ、俺たちにはまだやらなくちゃいけないことがありますね」
輝善に声をかけたのは駿太郎。彼らは五師八弟家の人間であり、今回の事件の後処理をしなければならないことは必死であった。そしてその主たることは国内。少なくとも近畿地方に侵入してきた敵兵数の把握とその完全なる殲滅である。
「氷華、真利奈! 二人の様子はどうだ!」
泰然が二人の容態を尋ねる。ほどほどの距離はあるため、すこし叫び気味にはなっているがそのへんは気にしない。
『秘都美は歩けるわ。でも周平くんはすぐに歩くのは無理かもしれない』
大声で確認を行った泰然に対して、氷華は自分の端末を起動させて彼と話をする。
『わざわざ、こんなことしなくてもいいだろうに』
『だって、大声を張り上げるのはあまり得意ではないし......』
『そのために真利奈がいるんだから使ってやればいいんだ』
『ちょとそれどういうことよ~!』
会話が賑やかなのは、複数人で会話ができるテレビ電話のようなモードで通信を行っているからだ。それゆえ、ほかの者がすぐに会話に介入できる。例えば、そばでそれを聞いていた輝善などである。
『それじゃあ氷華さんと真利奈さんはそこで二人を見ていてください。後始末は俺たちがしますから』
『でも......』
『大丈夫です。実際、こちっちは智晴と俺だけで役者は足りてるんで。あとは山城先輩と緑谷さんがどんと構えていればなんの問題もありません』
『......わかったは。それじゃあよろしく』
氷華は、不承不承ながらも頷く。真利奈もそれに従うのを見て駿太郎が言った。
『まぁ、ここはこの二人に任せておけばいいさ。それよりも、今はその二人のことに、特に周平のことを心配してやれよ。それじゃ、俺たちは行ってくるからな?』
『えぇ』
氷華のその言葉を最後に泰然は端末のスイッチを切った。
駿太郎が、残った男子たちを見渡す。そして、それぞれに頷く彼らを見て満足げに頷き、MMOから術式を抜き出し身体強化の魔法を発動する。この期に及んでまた自身のからだで移動するのかといいたくなるが、今の彼らにはそれしか移動手段がなかった。
「ではじゃ行くか」
それを合図に、「中心部」にいた5人の少年の姿が消えた。
◆◇◆◇◆◇
輝善たちがやってきたのは、涼稀たちがいる指令室だった。指令室に入ってきた駿太郎は、頭を下げる大人たちに逐一頷きつつその真ん中へと歩を進める。
「涼稀。詳細を知らせてくれ」
「はい。要塞内に侵入したと思われる敵の総兵数は600。そのうち正規軍は200、非正規軍が400です。また、正規軍のうち163名、非正規軍269名を撃破。残りの敵兵はすべて捕虜としました。要塞近辺の敵兵力は確認されておりません。また、要塞の外への情報の漏洩は現在ありません」
「了解」
部屋の中心で高校生とは思えない姿で堂々と立ち駿太郎は頷き、次の状況を説明させる。
「要塞近海の状況はどうだ」
「和歌山県沖を漂う不審な船籍をひとつ確認しております。人工衛星からの映像を送りましょうか」
今、駿太郎の問いに答えたのはもともと指令室にいた隊員だった。さすがに人工衛星を自由に見る権利までが涼稀に与えられることはなかった。
駿太郎が隊員の言葉に頷くと目の前の大型ディスプレイには成層圏の衛星から送られてきた映像が映し出された。
「智晴、輝善。準備はいいな」
「はい」
「ええ」
頷き、答える二人を見て、駿太郎は宣言する。
「これより、和歌山県沖を漂流する敵艦の撃破を目的として作戦を発動する。
四つの制約を解除。魔術師、朝日輝善。『全てを破壊する牙』。
魔術師、大安寺智晴。『世界を知る瞳』の発動により敵艦の排除に当たる。総員、直ちに準備に取りかかれ」
「「はっ!」」




