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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
序章
3/65

放課後【上】

少々頭の痛くなる設定の説明となりますが

どうかお許しください。

 チャイムが鳴り、この日最後の授業が終わった。早く帰ってしまいたいと思う周平であるが、昼休みの件をないがしろにすることはできない。自分のしでかしたことを多少悔やむ周平であったが、「後悔先に立たず」である。今頃そんなことを思っても、もう遅い。


「まあ少し無理をしすぎたのかもな」


 ざわざわとする教室の中でひとりそう呟き、「身の丈に合わないことはあまりしない方がいい」と心の中で付け加える。

 しかし、身の丈に合わないことはしない方がいい。といっても、実のところ彼は、300人以上いる学年の中でも、トップクラスの成績優秀者である。


 その周平が何故こんなことを言うのか。それは、魔法発動のメカニズムと大きく関係している。


 近年になって一般に発見が確認された、ある種のストーンは、専用の機械を用いることで、人間の持つ能力の超飛躍的な上昇。あるいは、自然界では普通起こりえない現象の発生を可能にした。


 それが、『(magi)(c in)(form)(atio)(n mo)(ment ) (ope)(rati)(ng d)(evice)』通称MMOと呼ばれる機械だ。「エムエムオー」、「モー」、などとよばれることもある。


 また、能力を発揮出来るようになった者は、現在、魔術師。と呼ばれることが多い。


 ただし、能力上昇が可能となる者(魔術師になれる者)は、一部の者だけ。また発揮出来る能力もバラバラである。


 現在、過去のものとなった、「魔女」や「超能力者」などとよばれた者たちは、偶然に、または必然的(継承など)に、この石の力を知り、使用していたとされている。

(もちろん彼らの能力はエセだったという説も途絶えていない。)


 しかし、石の込められた大量の情報は、人間の持つ能力だけで処理するには膨大であり、能力を最大限に発揮することはできない。

 いや、持って生まれた才能がある者には無理なことはないのだが、生身の身体で、魔法の力を最大限、無駄なく使用できる者は、数十年に一人か二人であるといわれている。


 また、普通の魔術師が生身で魔法を使う時は当然、膨大な情報処理を生身の体のみでこなすとになる。故に、仮にそれが魔法として発動したとしても、それは現在の技術力を使った時の約6割ほどの効力しか得ることができず、発動までにかかる時間も桁違いに長くなってしまう。


 それでも、現在のように機械もない時代の能力者の中には、生身の体と(ストーン)だけで鍛錬に鍛錬を重ね、特別な能力を発揮出来るようになった者もいた。このような特別な能力は現代でも、師から弟子へ脈々と継承されている。


 少し無駄な話が混ざった。

 周平の言う「身の丈に合わないこと」とは、ここに出てきたようにMMOを使わずに魔法を発動することである。

 周平は元々、膨大な情報処理能力を持っている。それと同時に、まだ自分にはMMOを通すことなく安定して魔法を発動することができないことも理解していた。

 だから今までは、見張り――――魔法が暴走を始めた時に止める者。がいないときに扱いが何段も難しいとされるこの技を試すことは無かった。

 しかし、もう高校生になったのだからと、おかしな勇気を出して。魔法を発動してみたのだった。


 残念なことに、失敗はおろか災いの種をまくという残念な結果にまでなってしまったわけなのだが。


 さて、帰りの会も終えた周平は、掃除をするために国立帝徳学院高等学校第5室内練習場へと歩いて行った。



二話目読んでいただきありがとうございます。

次は会長が?




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