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王の血統  作者: ノニ
13/13

7

夕暮れのリヴァセリア。

金色の陽が石畳を染める中、 リヴァセリアの王墓区画を、 イジュールとドミナンスは並んで歩いていた。

静かな風が吹く。

古い墓石群の奥へ進みながら、 ドミナンスは首を傾げる。


「今日はどこにいくの?」


イジュールは前を見たまま答えた。


「先代王の墓参りだ」


やがて二人は、 巨大な白石の墓碑の前で立ち止まる。

長い年月を経ても、 そこだけは神聖な空気が漂っていた。

ドミナンスは刻まれた名を読み上げる。


「ユリウス、アーヴェレッヘ……」


イジュールが静かに頷いた。


「それは初代リヴァセリア王と王妃だ」


「へぇ……」


さらに視線を下へ落としたドミナンスが、 ふと眉を上げる。


「これは……アルヴェイン……カルヴェス……」


「二代目王と王弟だ」


ドミナンスは瞬きをした。


「王弟? 王妃じゃなくて?」


「ああ」


イジュールは淡々と答える。


「アルヴェイン王は感情に乏しいお方だったと聞いている」


その言葉に、 ドミナンスがくすりと笑った。


「ふふっ、まるでイジュね!」


「……そう言ってくれるな」


僅かに眉を寄せるイジュールを見て、 ドミナンスはさらに楽しそうに笑う。

イジュールは墓石へ視線を戻した。


「王弟のカルヴェス殿は、優秀な大魔術師だったと伝えられている――だが、詳しくは語られていない」


まるで歴史から、 意図的に抜け落ちているようだった。

ドミナンスは墓石を撫でる。


「ふぅん。それでも墓石に刻まれる程だから、相当信頼されてたのね」


イジュールは少しだけ目を細めた。


「そうだな。少なくとも、王妃よりは大切に思っていたのだろう」


風が吹き抜ける。

墓前の白い花が、 静かに揺れた。

ドミナンスはふとイジュールを見上げる。


「ところで、私が死んだらイジュは私と一緒に名を刻むの?」


イジュールは即答した。


「もちろんだ」


迷いのない声だった。

ドミナンスは目を丸くしたあと、 ふっと笑う。


「……ふふっ、神は死なないけどね!」


「まったく……」


呆れたように息を吐きながらも、 イジュールの口元は僅かに緩んでいた。

沈む夕陽が、 並ぶ二人の影を長く伸ばしていく。

その背後で――アルヴェインとカルヴェスの名は、 数千年経った今も、 静かに隣り合っていた。

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