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第18話 新たなトラブル?

「今日の夕飯なんにしようかなぁー」


 騎士団詰所の中庭で草むしりをしながら、亘は毎日頭を悩ませる夕飯メニューを考えていた。


最近野菜炒めばっかりだったからなぁー

毎回同じじゃさすがに飽きるよな・・・

やっぱ調味料って偉大


 こちらの世界の調味料は塩や胡椒、ハーブ、砂糖位なので料理もシンプルなものばかりだ。

 日本から持参した調味料が尽きた今、亘を悩ませる最大事案は食事メニューの考案だった。

 最近は炒めるかスープかの2択しかない。


「さすがにばぁちゃんも味噌は作れても、醤油とかは作ったことないつってたしなー・・・夕飯何にしよう・・」


 周りに人がいないのでブツブツ独り言を言いながら、黙々と作業を続けている。

 そんなやや不気味な亘に声をかける人物が一人。


「母様ー!!こっち終わったよ!」

「ありがとう、セイ。助かったよ!」


 当たり前のセイだ。

 彼は今、訓練内容をより苛酷にして騎士たちを追い詰めている。その内容は、『就業時間内にセイを捕縛する事』だ。1週間続くこの特訓は今だ達成されていない。ここまで温存(セイの背中で寝てただけ)していたシュウも導入し、難易度は爆上がりしている。シュウは探知能力にも長けているので、奇襲作戦も悉く失敗しているのだ。かといって、堂々と正面からいっても簡単に返り討ちにあっている。

 そしてセイは、『いつでも来ていいから』とだけ朝礼で言い残しその後は自由に過ごしている。といってもほぼ、亘の側ににいるのだが。


 2人でほのぼのとむしった草をまとめていると、木の上から本日3回目の訓練生からの奇襲を受ける。

「教官!今日こそ終わらせます!!!」

「お願いします!!!」

「俺たちが初の成功例になってみせる!!!」


頭上から繰り出される攻撃を簡単に交わしたセイは、そのまま近くの建物の上に飛びのる。セイが飛びのるまでに素早い動きでシュウが彼らの武器を奪い一気に戦闘力を削る。息の合ったコンビプレーを前に手も足も出ず項垂れる訓練生と、一連のやり取りのせいで集めた草が散らばり掃除をやり直しさなければならい絶望に膝から崩れ落ちた掃除夫が一人。


「くそー!!これ本当に訓練かよ!魔獣討伐より何倍も難しい!」

「俺たちの武器何時の間にとったんすか!?全然気づかなかったですよ!!そういうことも出来るって教官本当に何者ですか!?」

「あぁ・・・せっかく・・・せっかく終わったとこだったのに」


 落ち込む亘を見て、セイとシュウが事を穏便に進める訳もなく


「お前ら・・・母様の努力をよくも」

「えっ!?ちょっ、ちょっと落ち着けセイ!大丈夫!俺は大丈夫だから!」

「す、すみませんでしたぁぁぁぁ!!!でも、草を撒き散らしたのは教官が上に飛び上がる時の風速ですぅぅぅ!!!」

「ばか!それは言うなって!すみません教官!!掃除は!掃除は自分達でやりますから!」

「やります!やらせてください教官!!だから許して下さい!!お願いします!!!」

 

 その場に土下座して許しを乞う訓練生と、奪い取った武器を持つシュウとセイ。背中にいるシュウが持つと千手観音のようだ。禍々しいオーラを放つ息子を必死で亘が宥めていると、詰所の方からダリンジーが場違いなトーンで話しかけてきた。


「ママさーん、ねぇねぇ~暇~?暇だよね~??ちょっと話したいことがあるからお茶でも飲もー」

「この状況を見て暇!?いやいやいや!俺まだ仕事あるんで」

「えぇー、だってママさんの仕事この子たちがやるんでしょ?暇じゃーん!ちょっと話したいことあるんだー」

「母様から離れろ変態」

「会って早々毒吐くよね~さすがの俺も傷ついちゃうよ~!!」


 嘘泣きしながらいつの間にか亘の側にいたセイに絡むダリンジー。双方、土下座する部下たちは華麗にスルーしている。

 

「変態と話す時間なんてない。母様は今から俺と3時のおやつタイムだから」

「いやいや、お前もなに言ってるの!?俺まだ仕事あるからね」

「大丈夫。こいつらがやるから・・・やるよな?」

「「「はいっ!!もちろんです!!!!」」」

「職権乱用か!ダメダメダメ!セイも仕事する!」

「えぇー・・・母様ともっといたいのにー!!」

「じゃあ、3人でお茶しよ~」

「「嫌です」」

「即答!?俺の扱い酷すぎ~!!!」


 2人からの塩対応に「ひどいひどい!」と言いながらも、その顔は嬉しそうだ。そんなやり取りを見て、今だ土下座中の訓練生たちは戸惑いを見せる。


《あの、副団長を雑に扱えるなんて・・・本当にこの親子は何者!??》


 その後、「仕事が終わっていないから」と丁寧に断る亘を無視して、ダリンジーは2人を引っ張り団長の執務室に連れて行く。最初、食堂にでも行くのかと思った亘たちは行き先が分かると素直に後を着いていく。


「団長がね~話したいって言うからさー」

「それを先に言ってくださいよ。そしたら俺もあそこまで拒否しないです。団長とお茶ならいつでも行きます」

「なんで団長だとそんなすんなりなのよ~・・・団長ー、連れて来ましたよ~!入りまーす」


 ダリンジーの後に執務室に入れば、こちらに背を向けている長髪黒髪の青年が見えた。


誰だろ?

同じ黒髪なのに俺と全然違う

シャンプーのCMに出てそうなくらいサラサラじゃん!

 

 この街ではなかなか見かけなかった黒髪に、故郷日本を思いだし、ついまじまじとみてしまう亘。


「わざわざ来てもらってすまない。こちらが・・・「師匠!!」」


 団長が入ってきた亘たちに向けて青年を紹介しようとした台詞に被せて発した青年は、亘の後に入ってきたセイの前に突進し跪く。


何だろう?

セイはあれかな?イケメンほいほいなのかな?

いや、俺はフツメンだからあれかな?

面倒臭いタイプに好かれる性質なのかな??

そうなのかな?


・・・夕飯何にしようかなぁー

 

 新たな展開に頭を抱える亘は現実逃避する。

 


 

導入してなかった設定

騎士団の業務内容

街の見回り+詰所事務仕事

城門警備

特訓

を、ローテーションで回しています。セイが就任してからはぶっちぎりで特訓日がきついです。

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