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放置ゲー廃課金者、転生する!  作者: さぶいち
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第019話

♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


サガンの街へと戻った俺達は、コンラッド達と別れ、宿屋に向かう。その日は久し振りに風呂へ入り、フカフカのベッドで寝る事にした。……何故か部屋のベッドが4人で寝れるサイズになっていたのだが。



翌日、目を覚ました俺達は朝食を取りいつもの散策へと出掛ける。


「よう!今日も朝からご苦労なこっでぇ!」


いつもの串屋のおっちゃんに声をかけられる。…おっちゃんも朝から仕込みやらで大忙しだけどな。


「駆け出しの冒険者だからね…。とりあえず、4本ちょーだい」


チカ達に1本ずつ渡し食べる。甘いタレの味が広がり、懐かしい記憶が蘇る。


「……旨い。…なー、おっちゃん。これなんていう料理なんだ?」


「はぁ??今まで散々食べてきたのに知らなかったのかよ…。これは『焼き鳥』って言うんだぜ?王都でも大人気の料理さ!……まぁ、魔物の肉を使ってるから『鳥』では無いがな」


…やっぱり『焼き鳥』って言うんだ。味わかんなかったから自信無かったんだよなー。


「そうか…。このタレの味も良いよな!」


「だろー!!これは俺が長年研究した『秘伝のタレ』だからな!旨くないわけがねーよ!」


褒められたのが嬉しかったのか、おっちゃんがご機嫌で色々と話してくれる。…『秘伝』とか言ってたのに材料バラしてもいいのか?


王都には他にも人気の料理があるらしく、一度は行った方がいいと言われた。中でも『アルテファンス』という高級店の料理は貴族からも人気が高く、それなりに値段もするらしい。


味がわかるようになった俺は、王都に行く事を胸に決めながら散策を続ける事にした。まぁ、散策といっても殆ど食べ歩くだけなのだが。


食べ歩きしながら、俺は昨日考えていた実験を行う。まぁ、想像通りだったのだが、ジョブを変えれば味は感じられなかった。つまり、食事をする時には『美食家』のジョブに切り替えなければならないという事だ。……すぐに切り替わるから別に手間じゃないからいいんだけどね。


ああ、そうだ。言い忘れていたけど、チカ達の格好だけど、今日は『警察官』だ。帽子は付けてないけどね。そして…俺は『いぬのおまわりさん』だ。フード付きの。


なんで俺は着ぐるみなんだろうか…。普通に警官で良くないか?肩から腰にかけて『パトロール強化中』ってタスキを掛けてるし…。まさにシュールだ。


でもまぁ、子供からは人気だし別に良いか。好評されるのは良い事だし。


ぶらぶらと散策を続けていると、ドーンとフィンに遭遇した。


「ぶふっ!!おいおい、アルスさん。なんつー格好してんだぁ?」


「ふっ…。前のヤツも強烈でしたけど、今回も中々ですね…」


「うるせーよ。好きで着てるわけじゃねーよ!」


格好を笑われ、少し恥ずかしくなったが仕方ない事だろう。


「……それより、その格好はなんて言うんだ?…アルスさんのは犬ってわかるけど、チカさん達のは…?」


「『警察官』って言うんだけど…まぁ知らないよな」


「聞いた事ないですね…。その『警察官』っていうのはなんですか?」


「んー……悪い奴を取り締まったり、治安を守ったりする職業だな。兵士の見回りみたいなものだよ」


「へぇー。アルスさんの街ではこの様な格好をしてたんですか?」


「お、おう。俺達の街ではこれだったな」


…あぶねー。普通に話してたわ!


「しっかし、あの格好じゃ動き辛いだろうな。スカートも短いし、守りが弱いだろ?」


知らんわっ!!そういう嗜好なんだよ!!


「ま、まぁ戦闘はしないからな。あくまで治安を守る存在だよ。そういうのはちゃんと他の人に任せているのさ」


「…なるほど。住民により近い兵士って事ですね。それ、凄く良いですね!」


変にフィンが納得していたが、深くは追求しないでおく。…だって変な事言っちゃいそうだもん。


「それよりお前ら何してんだ?今日は休みなのか?」


「いや、今から仕事さ。今日はフィンと一緒だから、待ち合わせしてたんだ」


「フィン…。お前昨日も仕事だったのに大変だなぁ…」


「ははは…。まぁ兵士ってこんなもんですよ。でも休みはしっかり有りますし、キツくは無いですよ?」


…兵士ってイメージ的にはブラックそうだったけど違うんだなぁ。


「そうか。なら仕事頑張れよ!」


「はい!頑張りますっ!……ところでアルスさん達は今から何するんですか?」


「俺ら?……街の人に顔売る為に散策かな?」


「それならギルドに行けば良いじゃねーか。街の人達の依頼があるだろうし」


……確かに!顔を覚えてもらうって事しか考えてなかったけど、そういうのも大事だよな!


「そうだな!…それじゃ、ギルドで依頼でも受けてこようかな」


「それがいいぜ!何せ金も貰えて名前も広まるからな。一石二鳥だぜ!」


ドーン達とその場で別れると、チカ達に声をかけてギルドへ向かった。適当に依頼を選び受付に提出する。おねーさんに格好を笑われたが、それも仕方のない事だ。


手続きを済ませてから、俺達は依頼を達成するべく外へと出て行くのであった。



♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


「…で?なんでここにいるんだ?」


「いや、お前が言ったじゃん。依頼受けろって」


「言ったけど、どーして正門にいるんだよ!」


「そりゃ、依頼が『財布を探して欲しい』だったからだよ」


俺達が受けた依頼は『オアシスからの帰り道で財布を無くしてしまった』というものだった。どういうルートで帰ったのかも書かれていたし、『探索』使えば簡単に見つかると思って受注したのだった。


「……で?どこら辺で無くしたとか聞いてるのか?」


「ああ、依頼書に書いてあったよ。オアシスからの帰り道のルートもね」


「…そりゃあ厳しい依頼だな。見つからなかったら達成にならないだろ?」


…確かに。見つけない事には達成にはならないな。まぁ、俺には問題無いけど。


「だろうな…。でも、チカが『探索』の魔法使えるし、問題無いよ」


「………そうなのか?」


「そうなんです」


ドーン達に行ってくると伝え、俺達は依頼書のルートを辿って行く。臆病な依頼主だったのか、最短ルートでは無くジグザグに進んでいた。


「んー……この人すげー帰り方してんなぁ。ってか、ここまでよく覚えているもんだ…」


「どんな感じに進んでいたんですか?」


「ほれ、こんな感じだ」


チカに依頼書を見せると少し顔が曇った。


「…凄いですね。これ一日中歩いていたんでしょうか?」


「わからん。けど、多分そんな感じなんだろうなぁ」


ルート通りに追って行くと、依頼書に書いてある『二股のサボテンの所で休憩』という場所に着いた。……この植物、やっぱサボテンなんだ。


「さぁーて、ここら辺で1回『探索』するぞー。チカよろしく!」


今回の魔法の用途はあくまでも遺失物に対してだ。これは洞窟内で宝箱があるかどうかを調べる時に使っていた。


「……反応は無いみたいです」


「そっかー。そんな簡単には見つからないか…。それじゃ常時発動してて。ローリィ、チカの護衛をしといて!」


「りょーかい!!」


依頼書のルートを辿りながら俺達は進んで行く。しかし、道中では見つからず、結局オアシス手前まで来てしまった。


「うーん…休憩した所から調べてるけど無さそうなだなぁ」


「……役に立てず申し訳ありません」


しょんぼりとした表情でチカが謝ってくる。


「そんな事ないよ。チカの魔法は凄いんだし、もしかしたら違うルートを歩いてたのかも知れないしね」


頭に手を置き、撫でながらチカを慰める。…実際、見つからないって事はルートが正しくない可能性もあるしね。


少し元気になったチカは、より気合を入れて探索を開始した。ちょうどオアシスに着いたし、ここらで休憩しとくか。


「よし、皆ー!オアシスで休憩するぞー!今日は露店でお菓子買ったから食べようぜー!」


「わぁーーーい!!!お菓子だーー!!!」


「…飲み物はもう用意してある。マスター、早く」


ご丁寧にシートまで準備してる…。ナナも顔には出さないけど楽しみなんだな。


シートに腰を下ろそうとした時、チカが大声を上げる。


「ーーッ!アルス様!反応があります!!」


「うぇっ!?どこらへんだ!?」


「えーっと……。あの湖近くの大きな木です!」


慌てて俺はその木を目指して走る。後からは飲み物とシートを持ったナナ達が追いかけてくる。


「…何も見当たらないな。ここら辺か?」


「はい!根元から反応があります!」


木の根元にある砂を掻き分けていくと、紐が出てきた。それを掴み、引っ張り上げると袋が出てきた。


「おっ!あったあった。…風で砂が運ばれて埋まってたんだな。そりゃ、見つからないわけだ」


無事に財布が見つかったので、依頼は達成だな。ちょうど木陰になっているし、ここで休憩するか。


「お手柄だぞチカ!依頼も達成出来たし、休憩しようか」


再びシートを広げ、お菓子をその上に置く。待ってましたと言わんばかりに、ナナ達はお菓子に手を出す。


「んーーーーーっ!!美味しいっ!!」


「美味。素敵な味わい」


……ただのクッキーだよ?なんか木の実が入っているらしいけど。


満足そうな表情で食べているナナ達に対し、チカは黙っている。


「ん?どうしたチカ?美味しくなかったか?」


「い、いえ!とっても美味しいですよ!……ただ、ちょっと気になる事がありまして…」


「どうしたんだ?」


「さっき『探索』を掛けたんですけど、財布とは別にあと2つ反応がありまして…」


「え?……どこら辺に?」


「そのぅ……まずはこの木の根元の地中深くに1つ。もう1つは湖の真ん中ら辺にあります…」


「地中深くってどんくらい??」


「……ちょっと待ってくださいね。………大体50m程度でしょうか。鉱石の様な反応があります」


…もしかして、ダンジョンとかあるのかな?誰かから聞いた事あるような…。


「…どうしますか?魔法で穴を掘る事は出来ると思いますけど」


「んー………。ひとまず置いておこう。俺達の判断で動いたら不味いかもしれないしね。コンラッドに報告してからにしようか」


好奇心は唆られるけど、なーんかトラブルになりそうな臭いがするし、コンラッドに任せた方がいいな。


情報だけをチカから聞いて、俺達は休憩を取る事にしたのであった。

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