おハーブおじさん
《エピローグ》
脱法ハーブ騒動から一週間が経過した。
おじさんたちは日常を取り戻し、今日もハーブショップが開店中。
「タクミ君! スギトの村の屋台から報告が来た。ハーブバスソルトとハーブキャンドルの在庫が足りないって。すぐに届けよう」
「お、おう。任せた」
綺麗なゼニンドの反応に、未だぎこちない。
「これでまた稼ぎが増えますよ。ハハハハ!」
一応、改心したらしい。真面目に働いている。
衛兵に引き渡す予定だったものの、ローレルさんが待ったをかけた。
おハーブの恨みは根深いはずだったが?
「大量の労働力もといバイトゲットですわぁ~」
彼は、いろんな村や町に拠点を持っている。正式なハーブ屋台の運営を任せることにした。
中毒問題を引き起こした以上、無罪放免とはいかない。保護観察処分として、罪の執行に猶予を与えてもらったらしい。これぞ、おハーブの一声である。
おハーブで村おこし。特産品として、世間に広める計画は着々と進んでいた。
閑話休題。
ちょうど店内にお客がいなくなった午後時。
「はぁはぁ……おハーブキメてぇですわ……」
ローレルさんがいつも通り、空のマイカップを震わせていた。
「このところ仕事に忙殺されてしまい、おハーブティーを疎かにしていましたの」
「今朝、ティーポット1本飲み干しただろうに」
「半日前の出来事」
カミツレさんが呆れ、やれやれとポニテを揺らすばかり。
おじさんの手をしっかり握りしめた、おハーブ大好きお嬢様。
「早くっ。タクミ様のおハーブを、わたくしに注いでくださまし!」
「その言い方は誤解を招くなあ」
「今更だろう? エンドー氏、私にも一杯頼むよ」
「オーケー。じゃあ、今日は何にする?」
確認するまでもなく、おじさんの足はハーブ畑の中庭へ向いていた。
「ローリエとカモミールのブレンド。もちろん、フレッシュですわ!」
「おハーブマイスターが精進した成果、確かめさせてもらうぞ」
ローレルさんとカミツレさん。
2人を満足させないと、新商品が商品棚に並ばないのだ。
一体どんなハーブ商品を作れば良いか、近頃のおじさんはそればかり考えている。
簡単に出そうで辿り着けない答えに、参ったものだなあ。
おハーブが都会の女子たちに人気となり、大ブームが起こるのは。
――これより、少し先の話である。
<完>




